JX金属、鉱硫船KORYU号への風力推進補助装置搭載
JX金属(社長:村山 誠一)のグループ会社であるパンパシフィック・カッパー株式会社(社長:堀一浩、以下「PPC」)は、大手鉱山会社であるBHPおよび船の風力推進補助装置の世界的メーカーであるNorsepower Oy Ltd.(以下、「ノースパワー社」)との間で、海上輸送における脱炭素プロジェクトに合意した。センコーグループの日本マリン株式会社(センコー株式会社60%、JX金属40%出資)が運航する鉱硫船*1「KORYU号」に風力推進補助装置「ローターセイル」を搭載する検証を進めており、BHPがチリに保有する鉱山と日本国内の同社グループ製錬所との間で銅精鉱および硫酸を輸送する際に排出されるCO2の削減を目指す。実現すれば、スープラマックスサイズのばら積み貨物船では世界ではじめてのローターセイル搭載事例となる。
ノースパワー社のローターセイルは従来製の帆の約10倍の効率を持ち、一度稼働させると操作を必要としないことが特徴。風力を利用してマグヌス効果*2を生み出し、船の燃費効率を最大限に高めることができ、風の状態が良好であれば、速度と航海時間を維持しながら主機関の回転数を落とすことで燃料使用量およびCO2排出量の削減を可能とする。現在技術面での評価を進めており、2023年第3四半期中の搭載を予定している。
これは同社が本年8月3日に発表した「サステナブルカッパー・ビジョン」において、今後同社が取り組むこととした「4つの施策」のうちの一つ「銅のカーボンフットプリント(CFP)削減」に向けた具体的取り組みの一部となる。同社グループは、2050年度にCO2自社排出量をネットゼロとする目標を掲げているが、今後はこれにとどまらず、原料生産・物流も含めたサプライチェーン全体でのCO2排出量削減目指すいわゆる「Scope3」へ対応に向けた取り組みも積極的に進めて行く。
*1銅精鉱と硫酸を輸送できる特殊船(53,762載貨重量トン)。世界で当社グループのみが運航。年間約15万tの銅精鉱と約10万tの硫酸を日本-チリ間で往復輸送し、業界内でも最も高い輸送効率を実現
*2回転しながら進む物体に風が当たることで揚力が発生する現象
■KORYU号へのローターセイルの取り付けイメージ
(IRuniverse.jp)
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