中国 新エネルギー車の補助金完全停止で考える今後の見通し
あと1カ月足らずで、国家新エネ車補助金の撤退が打ち切られる。2010年から実施されてきたこの補助金政策は、数回にわたる廃止や延長を経て、最終的に終止符が打たれることになる。
12年間、「国から補助金」など一連の奨励政策に加え、中国の新エネルギー自動車産業は発展のチャンスをつかみ、世界トップの産業チェーンクラスターを構築した。これと同時に、新エネルギー車の浸透率が高まり、中国は世界一の新エネルギー車市場となった。
政策が市場をけん引し、中国の自動車工業は新エネルギー車というコースで機先を制した。市場の成長と拡大に伴い、中国の新エネルギー車の発展の原動力は、すでに当初の政策駆動から、政策+市場の二重駆動に変わっている。今、「補助金」は完全に撤退し、前途は市場に委ねられることになる。
2016年から、新エネルギー車の補助金は年々下り坂になり、補助金の金額は徐々に下がり、補助金の基準は年々高まっている。補助金が後退するたびに、市場の変動を引き起こした。今、この最後も例外ではない。「国の補助金」を受ける最後の期間中、多くの自動車メーカーはロックダウン補助金や期間限定価格維持など各種の優遇政策を打ち出し、消費者が政策の「最後」に間に合うよう奨励している。
喜ばしいことに、最後の補助金政策との「やり取り」で、市場は十分な余裕を示した。5、6年前までは、自動車メーカーはより高い補助金額を守るため、補助金が下り坂になる前に売れ残った新車を早めにナンバープレートに載せ、消費者に転売していたほどだった。しかし、現在、各自動車メーカーの価格維持政策の力は以前ほどではなく、一部の自動車メーカーの販売価格は下がらず、逆に上昇している、消費者も落ち着いており、1万元以上の「補助金」よりも車の品質を気にしている。
この余裕は、新エネルギー車メーカーひいては新エネルギー車産業全体が、長年の補助金支援期間を経て、ここ数年で補助金依存の禁断症状を加速させていることを示しているとのコメントもある。数年前と比べて、現在の新エネルギー自動車市場の補助金に対する感応度はすでに大きく低下している。
このような観点から見れば、政策はすでに安心して「完結」し、安心して歴史の舞台から退くことができる。とはいえ、新エネルギー車発展の途上では、多くの試練に直面している。
産業チェーンの面では、川上の原材料の値上がり、電池やチップの不足などの要因の影響で、新エネルギー車の生産コストが上昇し続けており、サプライチェーンの安定性が衝撃を受け続けている。これに伴う端末販売価格の圧迫、生産期間の長期化、自動車メーカーの収益難など一連の問題が、現在の新エネルギー自動車産業が直面する最大の課題となっている。
技術面では、近年新エネルギー車製品が発展・成熟し、航続距離や車両の品質が向上しているにもかかわらずだ。しかし新エネルギー車の信頼性、安全性は依然としてたびたび疑問視されている。新エネルギー車の普及率が向上するに伴い、航続中の注水、バッテリーの自然発火、ブレーキの機能不全などのリスク事故の露出がますます増えている。これまで「スマートブランド」「科学技術ブランド」を大きく打ち出してきた新エネ車は、車づくりの初心に戻り、安全・安定・品質などの最も重要で基本的な問題を改めて重視する必要がある。
関連面では、今年1月~10月、中国の新エネ車浸透率はすでに25%に達しており、10月の販売台数浸透率は29.4%に達し、「2025年までに新エネ車浸透率を20%にする」という目標を3年前倒しで超過達成した。しかし、充電スタンドという新エネ車の重要な付帯施設の建設は相対的に遅れており、スタンド比は終始1:3から1:2の間を推移している。付帯施設の建設が遅れていることが、新エネルギー車のさらなる普及・普及の最大の障害となっている。
12年間、中国の新エネルギー自動車産業は市場普及、ブランド建設、技術備蓄、設計・製造プロセスなどの面で長足の進歩を遂げた。今、政策が市場に「バトンタッチ」し、新エネルギー自動車産業は再出発が求められている。より積極的な姿勢で、前途のさまざまなリスクや課題に対応し、解決していくことを期待したい。
(趙 嘉瑋)
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