電力ベンチャー・パワーエックス 岡山に新設する蓄電池工場整備で27億円を調達
再生可能ネルギーや蓄電・送電技術を活用した事業に取り組む電力ベンチャー㈱パワーエックス(本社東京都 伊藤正裕社長)は1月10日、JA三井リース㈱、損害保険ジャパン㈱、正栄汽船㈱、四国電力㈱、アンカー・シップ・パートナーズ グループなどから27億円を調達し、累計額が約99億円となったと発表した。今回調達した資金は、岡山県玉野市に建設中の工場「PowerBase」で製造する蓄電池の生産や研究開発に充てられる。
現在建設中の「PowerBase」(敷地面積:2万8,273㎡)は、岡山県玉野市の沿岸部に位置し、工場、事務所、研究開発センターを統合した施設となる。2023年末より試験稼働を開始し、2024年に蓄電池の量産を行う予定だ。
同工場および徳島の提携工場で製造するのは、再エネを最大240kWで出力できるバッテリー型EV超急速充電器「Hypercharger」と系統用や余剰電力を貯めて電気代削減や非常用電源などに活用できる定置用蓄電池定置用蓄電池「Mega Power」、そして船舶用蓄電池「PowerX Mega Power for Marine」。
「Mega Power」は、標準的なコンテナサイズに最大3000kWhの蓄電池を搭載。オリジナルのモジュールとクラウドBMS(バッテリー・マネジメント・システム)により、2次・3次利用も可能となる。
「Hypercharger」は、320kWh の大型蓄電池搭載により、 従来の急速充電器の設置の際に必要となっていた高圧受電設備を必要しない低圧での接続か可能となり、設置工事無しで利用できる。
「PowerX Mega Power for Marine」は、6000サイクル以上を実現するリン酸鉄リチウムイオン電池(LFP)を採用。容量は163kWhと186kWhの2タイプで、ラック型から10ft、20ftコンテナ型まで対応する。
2022年8月には、「Hypercharger」と「Mega Power」の予約受注を開始し、それらの累計予約受注容量は2022年末時点で3.3GWh (330万kWh、約1,861億円相当) を突破した。
従来の急速充電設備と「Hypercharger」の比較
同社ではこのほか、今年の夏頃より都内を中心に10カ所で順次サービスを開始するEVチャージステーション事業や電気運搬船「Power ARK」事業にも着手しており、「Power ARK」は、今年上半期を目処に詳細仕様を発表し、2025年に1号艇の実証実験を行う計画となっている。
(IRUNIVERSE ISHIKAWA)
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