旭化成と豊田通商、リチウムイオン電池用セパレータのキャパシティライト契約締結

「ハイポア™」塗工製造ラインを新設中のシャーロット工場外観
旭化成の連結子会社であるAsahi Kasei Battery Separator America, LLC(AKBSA)と、豊田通商の子会社であるToyota Tsusho America, Inc. (TAI)は31日、車載用リチウムイオン電池(LIB)向けにAKBSAが供給するLIB用セパレータ「ハイポア™」のキャパシティライト契約を締結したと発表した。
LIB用セパレータは、LIBの正極・負極間に位置する多孔質膜で、正極・負極間でリチウムイオンを透過させる機能を有するとともに、正極と負極の接触を遮断し、ショートを防止する部材のこと。同契約は、TAI向けにAKBSAの「ハイポア™」のキャパシティ(生産供給能力)の一部を確保し、優先的に提供することを取り決めたもので、AKBSAは2027年中ごろから契約に基づき、現在新設中の米国ノースカロライナ州シャーロット工場のセパレータ塗工設備からTAI向けに「ハイポア™」を供給する予定だ。
旭化成は同契約を通じ、市場の変動リスクを軽減しつつ、リソースを効率的に活用しながら、安定的な供給を維持する方針。また、豊田通商は、シャーロット工場で製造されたLIB用セパレータを北米の車載用LIBメーカーへ安定的に供給することで、車載用電池サプライチェーンの構築を推進していく考え。
旭化成で上席執行役員を務める谷口龍氏は、「今回の提携は、豊田通商と共に北米におけるサプライチェーンの構築・強化を図り、電動車市場の中長期的な成長機会を取り込むもの」としたうえで、旭化成の戦略に沿った取り組みは着実に進捗しており、今後もパートナー企業との協業を進め、北米の自動車電動化を支える供給体制を構築する。そして、高品質なセパレータを安定的に供給することで、LIB用セパレータにおけるリーディングポジションの確立を図り、カーボンニュートラル社会の実現に貢献していく」とコメントしている。
(IRuniverse K.Kuribara)
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