ユミコア・米ブルーカレントへ投資・全固体電池技術開発へギアシフト
ベルギー・ユミコア社と米国ブルーカレント(Blue Current)社は、シリコン弾性複合材料に基づく全固体電池技術の開発のためのパートナーシップを強化することに合意した。ユミコア社のブルーカレント社への出資により、ユミコアの電池材料をブルーカレントの全固体電池技術に統合することを目的として共同開発契約をすると3月31日発表した。
ユミコアは、共同開発契約に基づいて最先端のバッテリー材料を供給することに加えて、2020 年代半ばまでに独自のシリコン弾性複合バッテリーの市場採用を促進するために、資本注入によりブルーカレントとさらに協力することを目指している。
ブルーカレント社は、カリフォルニア州Haywardを拠点として、サンフランシスコとオークランド、サンホセの間の風光明媚な湾岸にあり、安全性、エネルギー密度、および性能が最優先される自動車および非自動車市場向けの全固体電池の実現に重点を置いた、化学主導のテクノロジー企業で、同社はローレンス・バークレーとアルゴンヌ国立研究所、カリフォルニア大学バークレー校、ノースカロライナ大学からの出身者で成長してきた。同社は 2018 年以来、完全に乾燥した化合物電解質を使用したシリコン アノードに専念し、この分野で広範な知的財産を保有している。
ユミコア社ニュー ビジネスインキュベーション担当シニア イノベーション役員ステファン・ルバスールStéphane Levasseur氏は、「このような契約は、バッテリー材料のエコシステムや、R&D から最終顧客までのバリュー チェーン全体にわたる他の研究努力を補完し、前例のない速度で変化している業界に貢献し、現在および将来のバッテリー材料技術における当社のリードを強化する」と語った。
Blue Current の最高技術責任者である Kevin Wujcik は、「 過去 1 年間、私たちはそれぞれの全固体電池技術の互換性を検証するために協力してきましたが、大きな進歩を遂げた。全固体電池の商業的成功には、機能するように特別に設計された活物質と固体電解質が必要で、このパートナーシップは、このような次世代材料の開発にとって重要です。」とした。
「固体電解質の重要な点は、液体電解質では周期的に使用できない電極が周期的に使用できるようになったことです」と、ブルーカレント社の共同創設者であり、ローレンス・バークレー国立研究所の上級教員科学者であり、学部の電気化学教授である Nitash Balsara 氏は述べている。同氏はカリフォルニア大学で化学および生体分子工学の博士号を取得している。更に「シリコンを持続的に循環できる複合固体電解質の使用は、この材料の高容量を考えると、特に魅力的です。」とした。
全固体電池は、液体電解質を使用する現在のリチウム イオン電池技術に勝る多くの利点を提供する。同社の複合電解質とシリコン アノードにより、電気自動車 (EV) の設計者は、セル レベルの安全性が高く、セル レベルとシステム レベルのエネルギー密度が高い、小型、軽量、低価格のバッテリーパックを作成でき、これにより、EV の走行距離が伸び、充電が高速化され、エンド ユーザーにとって重要なメリットとなる。
ユミコア社
ユミコアの充電式電池材料の研究戦略には、固体技術で使用されるものを含む、シリコンベースのカソードとアノードの短期、中期、長期のステップが含まれる。ユミコアは、独自の研究と内部活動に加えて、スタートアップやスケールアップ、学術機関などの外部関係者との技術開発も行っている。
ユミコア社は、循環材料技術企業として、革新する事がユミコアの成功の中心にある。グループは、さまざまなパートナー (オリジナル製品メーカー (OEM)、新興企業、および学術部門) との多くの契約を締結して、全固体電池用の活性カソード材料、アノード、および電解質の開発におけるフロントランナーである。ユミコアは2021年に、電気自動車向け全固体電池の大手開発企業であるSolid Powerへの資本参加を発表し、2022年6月ユミコア社と出光興産は全固体電池用の高性能陰極液材料Cathorite共同開発に合意し両社は、カソード活物質と固体電解質に関するそれぞれの専門知識を組み合わせて、走行距離を延ばし、より多くの e-モビリティへのステップを刺激する技術的ブレークスルーを達成することを目指している。
(IRUNIVERSE Katagiri)
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