次世代型太陽電池開発状況について
日本政府がペロブスカイト塗布Filmを利用した「曲がる太陽光パネル」の量産開発に今後力を入れる発表がされました。(脱炭素社会で次世代電力の新たな1つ。)
もともとは、2009年桐蔭横浜大学 宮坂力教授が発明したペロブスカイトを用いた太陽電池の事で材料は、PbI2(ヨウ化鉛)+CH3NH3I(ヨウ化メチルアンモニウム)-― (CH3NH3)PBI3(ヨウ化鉛メチルアンモニウム)となります。
ちなみに日本は世界No.2のヨウ素(Iodine)の生産国であり本電池製造に最適環境の有力国と思われます。
以下に現行太陽電池との簡単な比較表を示します。
既存の太陽電池 次世代型太陽電池
<次世代型のメリット>
A/コスト:表のように工程画非常に多い単結晶シリコン利用と違い、高温プロセスも不要で一般的な化学物質から合成が可能故、製造原価は安価とされます。
B/施工性:非常に薄い塗膜でも高い変換効率があり、薄膜化で軽く壁や柱、窓など多岐にわたる簡便な施工性が認められ、場所を取らず応用、設置しやすい。
C/発電能力:理論では、30%を越える変換効率が考えられ、又、曇った日でも発電可能。
<現状の問題点>
A/耐用性:現在のペロブスカイト層は、水分に弱く、酸素の影響を受け加熱劣化あり。
B/安全性:材料に鉛を使用するので外部流出、溶出を止める完全封止が必要。使用済み時の回収と再利用にも対応が必要。
C/変換効率:商業ベースの25%達成には、組成改良や塗布方法の問題解決が必須。鉛の代わりに錫を使用する狭バンドギャップ錫系ペロブスカイトも研究中。(変換効率Max33%)
D/薄膜形成:塗布厚1μ以下で均一且つ広い面積を塗る技術確立が必要でKey Factor。
上記のように夢のエネルギーと言われているが、量産までに改良、確立せねばならない
問題点があり、各々の方式で開発中。
主な開発会社名と塗布層の方式、基材、達成変換効率:
・ペクセル・テクノロジーズ: Inkjet、不明、不明
・エネコートテクノロジー: Spin Coat、Glass & Film。14.3%
・積水化学工業: Roll to Roll、PET Film、15%
・東芝: エステップ メ二スカス法(非公開)、Film、15.1%
・アイシン: Spray、不明、17%レベル
・カネカ: 太陽光量産技術の応用、Polyimide、20%?
・ホシデン: Touch Panelの技術応用、不明、不明
・Panasonic: Inkjet、Glass基板、16.09%
・Saule Technology(Poland):Inkjet、Film、12~3%
・Wonder Solar:詳細不明、Glass基板、10%
・南京工業大学:Screen印刷、Glass基板か?14.98%
この他、世界中で量産技術の検討が進んでおります。
(出展は、全て公開HP、雑誌などからの引用)
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K.Sakuma
化学品商社で経営企画、開発、貿易を担当してきました。
海外駐在を含め、70ヶ国に及ぶ訪問国が示すように新規製品開発・
市場開拓・現地活動を得意としており、Positiveで超行動的人間です。
英文契約書や種々の海外交渉・提案型の具体Business Coordinate・
Consultant・戦略構築はお任せ下さい。
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