富士フイルム 最先端半導体材料の生産能力を大幅向上
欧州の半導体材料工場の製造設備を増強、研究開発や品質保証の設備も拡張、総額約 45 億円
富士フイルム株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長・CEO:後藤 禎一)は、電子材料事業をさらに拡大するため、欧州の半導体材料工場の製造設備を増強する。
今回、半導体材料の欧州現地法人であるFUJIFILM Electronic Materials(Europe) N.V.(本社:ベルギー・ズウェインドレヒト、代表者:Hans Vloeberghs)が、半導体製造プロセスの基幹材料である、ポリイミド※1 やフォトリソ周辺材料など最先端半導体材料の製造設備を増強する。また、新製品の開発加速や顧客への技術サポートのさらなる強化に向けて、ポリイミドなどの研究開発や品質保証の設備も拡張する。いずれの設備も、2025 年に稼働させる予定。尚、今回の設備投資額は、約 45 億円。
半導体は、5G/6G による通信の高速・大容量化、自動運転の拡大、メタバースの普及などを背景に、年率約 10%※2 の市場成長と高性能化の進展が見込まれている。富士フイルムは、電子材料事業をさらに拡大するため、積極的な設備投資を行っている。現在進行中の中期経営計画「VISION2023」(2021-2023 年度)では、電子材料事業において研究開発と設備投資をあわせて 1,100 億円(3年間累計)の成長投資を計画。CMP スラリーの生産設備の導入(日本)やイメージセンサー用カラーフィルター材料の新工場の建設(韓国)などを決め、最先端半導体材料の生産能力の増強を進めている。
今回、富士フイルムは、伸張する欧州の半導体市場などに対して製品供給能力を拡大するため、ベルギーにある半導体材料工場に約 45 億円の設備投資を行う。製造タンクや品質評価機器を導入し、ポリイミド、現像液やクリーナーなどのフォトリソ周辺材料といった最先端半導体材料の生産能力を大幅に増強する。また、クリーンルームを増設するなど、研究開発や品質保証を行う設備を拡張。半導体製造の前工程のみならず後工程でも需要が高まるポリイミドなどの新規開発を加速するとともに、品質保証体制をより強化する。さらに、工場敷地内に太陽光発電パネルを設置するなど、環境負荷の低減にも取り組む。
富士フイルムは、フォトレジスト※3 やフォトリソ周辺材料、CMP スラリー※4、ポスト CMP クリーナー※5、薄膜形成材※6、ポリイミドなど半導体製造の前工程から後工程までのプロセス材料、イメージセンサー用カラーフィルター材料をはじめとした Wave Control Mosaic(WCM)※7 を展開している。
また、これらの幅広い製品のみならず、グローバルな安定供給体制や高い研究開発力、顧客との強固な信頼関係を生かして、事業拡大を進めている。今後も、最先端半導体材料の開発・提供を通じて、事業成長を図るとともに、半導体業界の発展に貢献していく。
※1 高い耐熱性や絶縁性を持つ材料。半導体の保護膜や再配線層の形成に使用される。
※2 当社調べ。
※3 半導体製造工程で、回路パターンの描画を行う際にウエハー上に塗布する材料。
※4 硬さの異なる配線や絶縁膜が混在する半導体表面を均一に平坦化する研磨剤。CMP は、Chemical Mechanical Polishing(化学的機械研磨)の略。
※5 CMP スラリーによる研磨後に、金属表面を保護しながら、粒子、微量金属および有機残留物を洗浄するクリーナー。
※6 低誘電率の絶縁膜を形成するための材料。
※7 広範囲な波長の電磁波(光)をコントロールする機能性材料群の総称。デジタルカメラやスマートフォンに用いられる CMOS センサーなどのイメージセンサーのカラーフィルターを製造するための着色感光材料を含む。
(IR universe rr)
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