日本ピラー工業(6490) 23/3期WEB決算メモ ポジティブ継続
23/3期19.7%増収21.5営利増で連続最高益、24/3期17増収9.7%営利減予想も増額期待
株価4045円(5/25) 時価総額 1012億円 発行済株25042千株
PER(24/3DO予:10.8X)PBR(1.59X) 配当(予)120円 配当性向3.0%
要約
・23/3期半導体製造装置向け拡大し19.7%増収21.5営利増と増額着地し連続最高益更新
・四半期も23/3Q4で20.3%増収14.2%増と好調維持も受注は半導体向け一服で35.1%減
・24/3期は資材高等のコスト増、調達難などで8.2%増収3.6%営利増予想も増額期待
・新中計として26/3期に売上高660億円、営業利益170億円目標は上振れ達成期待
23/3期半導体製造装置向け拡大し19.7%増収21.5営利増と増額着地し連続最高益更新
流体制御関連の総合シールメーカー。半導体製造装置向けフッ素樹脂製品に強味を保ち、特にフィッティング等で90%シェア。5/12に22/3期決算が開示され、5/25にWEB決算説明がなされた。23/3期は売上高487.02億円(2/7増額修正予想比20.02億円増額、19.5%増)、営業利益102.96億円(同12.42億円増額、21.5%増)、経常利益141.36億円(同13.36億円増額。19.6%増)、税引利益104.28億円(同11.28億円増額、25.9%増)と増額且つ連続最高益更新となった。また受注額は542.27億円(5.9%増)、受注残高213.75億円(35.2%増)と積み上がっている。
セグメント別では電子機器関連が売上高368.19億円(同15.19億円増額、21.1%増)、営利117.59億円(同10.59億円増額、20.8%増)、受注419.95億円(5.5%増)、受注残高183.80億円(39.2%増)に。半導体製造装置向けフッ素樹脂製品群の活況が続き、新三田工場での能力増強効果がフルに寄与した。産業機器関連は売上高118.44億円(同4.44億円増額、16.7%増)、営利20.59億円(同1.59億円増額、29.6%増)、受注122.31億円(7.6%増)、受注残29.94億円(14.8%増)となった。産業機器向けはメカニカルシールなどが半導体製造装置向けに伸長し、メンテナンス事業も稼働率向上で拡大、加えてタンケンシールセーコウのQ4寄与も加わっている。
仕向先別では国内335.37億円(18.7%増)、海外151.65億円(22.1%増)。海外は米国向け49.17億円(31.5%増)と製造装置向けが繁忙、アジア向けも40.89億円(20.9%増)と半導体関連が好調、一方中国向けは41.36億円(2.7%増)に止まり、コロナ影響等で伸び悩んだ。
市場別売上(単独ベース)では、半導体・液晶向けが333.39億円(21.5.%増)と好調持続、最大手ユーザーのスクリーン向けも64.69億円(20.2%増)となっている。またCMP向けのロータリージョイントも荏原やアプライドマテリアルズ向けに増加した。土木・建築向けは17.43億円(28.0%増)と、半導体工場向け免震装置、都市再開発向け等が好調。化学分野は電池、半導体関連部材向けに伸び48.50億円(16.5%増)となった。
営業利益の増減では原材料価格、電力料金等のコストアップ20億円増を販売増、製品値上げで吸収、円安効果11億円も寄与。また販売管理費が人件費増やタンケンシールセーコウのグループ化費用増などで12.9億円増となるも全体として増額着地に。
四半期も23/3Q4で20.3%増収14.2%増と好調維持も受注は半導体向け一服で35.1%減
23/3期通期では最高益更新と好調も、四半期推移ではQ4で受注に変調が見えてきている。23/3Q4は売上高132.29億円(同期比20.3%増、Q3比3.4%増)、営業利益35.46億円(同14.2%増、同1.8%増)と好調を持続した。但し受注は半導体製造装置向けが急減速、特にCMP向けロータリージョイントが在庫調整影響も有り96.29億円(同35.1%減、同34.3%減)となった。但し受注残はQ3比14.3%減も、同期比で35.2%増と、依然として受注残が積み上がった状況に変化はない。セグメント別で電子機器関連が半導体製造装置向け等の変調から69.59億円(同期比39.7%減、Q3比39.3%減)に急減している。産業機器も受注26.68億円(19.2%減)と精密機器装置向用メカニカルシールなどの在庫調整等が影響している。
24/3期は資材高等のコスト増、調達難などで8.2%増収3.6%営利増予想も増額期待
24/3期は売上高570億円(17.0%増)、営利125億円(9.7%減)、経常利益125億円(11.6%減)、税引利益85億円(18.5%減)予想と、売上では産業機器事業でタンケンシールセーコウの連結による売上増が大きいが、利益面では半導体製造装置向け一服でMIX悪化、円安効果一巡、償却負担増などで減益予想に。
事業別では電子機器関連を売上高410億円(11.4%増)、営利110億円(6.5%減)予襲うとしている。半導体製造装置業界では洗浄装置が堅調、同社最大ユーザーのスクリーンの収益拡大が続く見通しで、同社もその恩恵を受けるとみられる。なお荏原、アプライドマテリアルズ向けはCMP一服で伸び悩もう。一方、国内での半導体、半導体関連材料メーカーの大型設備投資が相次ぎ、免震装置などの拡大は寄与しよう。利益面では材料高、大型設備実行での償却負担増も有り、営業減益を見込むが、実質は減価償却費増が主因で大きな落ち込みではない見通し。
産業機器関連事業は売上高160億円(35.1%増)、営利15億円(27.1%減)予想。タンケンシールセーコウがフル寄与、(売上寄与40億円程度、利益寄与は小さいと想定)、これを除くとほぼ横ばいに止まる。精密機器向けの在庫調調整継続、景気減速による設備稼働率減退に伴う需要減、M&Aに伴う2億円程度の諸費用増などで利益は減益予想に。
現状、豊富な受注残があり、しかも同社の主力製品であるフッ素樹脂フィッティングが好調持続するスクリーン向け等に拡大が見込まれ、CMP向けは減速も、会社想定並みの売上が見込まれる。なお、利益面ではフッ素樹脂をはじめとする原材料のコスト高、電力料アップなどが有り利益率が低下する見通しも、為替が前提より円安に推移する見通しで、会社予想を上回る収益が見込まれる。
新中計として26/3期に売上高660億円、営業利益170億円目標は上振れ達成期待
同社は今回、新中期経営計画を策定、26/3期に売上高660億円、営業利益170億円を目標として掲げた。事業別では電子機器事業が売上高480億円、営利145億円、産業機器事業が売上高180億円、営利25億円を目指す。
現状、24/3期については半導体製造装置向けの伸びがスクリーン向け以外では一服しているも、受注は24/3期下期より回復が見込まれ、25/3期には国内半導体工場新設もラッシュとなる見通し。また車載関連ではADAS向けのフッ素樹脂基板なども次世代ミリ波対応で再拡大が見込まれ、増収増益に転じ、25/3期は利益で再度最高益更新が見込まれる。続く26/3期も半導体の微細化で洗浄装置の重要性が増す他、半導体の3D化でCMP工程なども伸長見通しで荏原に加えアプライドマテリアルズ向け等もシェア拡大で大幅増が見込まれる。また産業機器ではM&Aによるシナジー効果、また電池や水素製造向けに新製品投入なども期待される。26/3期も半導体事業中心に増収増益が続く見通しで、全体として新中期経営計画は十分達成可能な目標とみられ、前回中計同様に上振れ達成が期待される。
現在株価は24/3期会社予想EPS361円に対しPER11.2倍と、年初来高値更新ながらプライム市場機械平均PER17.4倍に対し、割安感がある。25/3期には再度最高益更新が見込まれ、新中計の上振れ達成が期待され、ポジティブ継続と考える。
(H.Mirai)
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