26/3期半導体向け微粒子計測機が好調で3.7%増収9.1%営利増予想は連続最高益増額期待
株価2519円(11/20) 時価総額311億円 発行済株12347千株
PER(26/3期DO予9.4X)PBR(0.95X)配当(26/3期DO予)80円 配当利回り:3.2%
要約
・26/3H1は医療機器、環境機器の販売好調で4.5%増収12.7%営利増と半期最高収益更新
・26/3期会社予想3.7%増収9.1%営利増に変更なく全セグメント拡大で連続最高益更新予想
・中計計画で27/3期売上高294億円、営利44億円目標は先端半導体増で前倒し達成期待
26/3H1は医療機器、環境機器の販売好調で4.5%増収12.7%営利増と半期最高収益更新
補聴器、医用検査機器、音響・振動計測器、微粒子計測器(パーティクルカウンタ)の4製品群を軸に事業展開、主要製品全て日本国内でトップシェアを誇る。
26/3H1決算が10/30に開示、11/18に説明会が実施された。26/3H1は売上高136.21億円(期初計画比3.21億円上振れ、4.5%増)、営利19.84億円(同1.34億円上振れ、12.7%増)、経常利益20.31億円(同1.81億円上振れ、12.7%増)、税引利益14.51億円(同1.01億円上振れ、21.2%増)と半期として過去最高収益更新となった。

セグメント別では微粒子計測事業が売上高49.77億円(8.7%増)、営利13.05億円(12.9%減)となった。同部門は半導体を中心にエレクトロニクス分野向けが90%を占め、生成AI向けデータセンタ等向けに先端半導体の増産が続き、半導体の微細化、高精度化などに伴い微粒子計測の需要が高まり、増収が続いている。なお国内が19.98億円(31.1%増)、輸出が29.80億円(3.1%減)となっている。海外向けは高水準を維持、国内は半導体工場新設などが寄与した。ただし利益は設備増強投資負担増や研究開発費が嵩み、総利益率が低下、減益を余儀なくされた。

医療用機器事業は売上高60.61億円(1.0%増)、営業利益5.92億円(47.7%増)となった。売上面では補聴器が49.64億円(1.3%増)と全体は低調も6月に投入した新製品のリオネットプラス(耳掛けタイプ)が寄与し増収を確保した。医用検査機器は売上高10.97億円(0.3%減)と健康診断向けは増加も、大学病院向けなど機器更新が低調で横ばいにとどまった。利益面では新製品の試聴器コストが一巡し収益性が急回復し、大幅増益に。

環境機器事業は売上高25.82億円(5.8%増)、営業利益0.86億円(2.25億円改善し黒字転換)となった。国内では騒音計、振動レベル計の新製品販売で売上高15.76億円(11.6%増)と増収、海外は欧州や中国が低調で売上高10.06億円(2.2%減)に留まった。利益は増収効果に加え、国内で4月に値上げを実施、業務改善などの推進で黒字転換を果たした。

26/3期会社予想3.7%増収9.1%営利増に変更なく微粒子計の拡大で連続最高益更新予想
26/3期会社予想に変更はなく、売上高289億円(3.7%増)、営利44億円(9.1%増)、経常利益44億円(7.1%増)、税引利益31.5億円(10.1%増)予想を据え置いた。
事業別では微粒子計測事業が売上高103億円(7.9%増)、営利28億円(0.8%増)予想となっている。現状、先端半導体向け液中微粒子計測機が堅調に推移、利益では増収効果で設備増強投資負担、研究開発費負担をカバーし微増益予想。医療機器事業は売上高127億円(1.4%増)、営利12.0億円(10.1%増)予想。この要因の中では補聴器で新製品の投入効果が寄与、販促費増の一巡から増益予想に。環境機器事業は売上高59億円(1.7%増)、営利4.0億円(2.5倍)予想となっている。国内においては新製品効果が大きく、利益面でも新製品開発費増一巡で大幅増益を見込む。
現状、上期に収益が若干上振れ、特に下期に期初計画を減額するような要素がないため、少なくとも上期分の上振れが期待される。加えて下期は半導体向けで需要が高まると見られ、液中微粒子計の増加が見込まれ、円安も加わり同部門の上振れが期待される。医療機器も、6月の新製品投入効果がフルに寄与するとみられ、こちらも多少の上振れが期待できる。このため、全体を通じ、会社計画の上振れが見込める。また円安影響から営業外で為替差益が見込めることで、経常利益についても増額が期待され、連続最高収益の更新が続こう。
中計計画で28/3期売上高307億円、営利48.5億円目標は先端半導体増で前倒し達成期待
同社は毎年中計をローリングしており、28/3期に売上高307億円、営業利益48.5億円を目指す計画となっている。過去の中計推移比較では、微粒子計測事業が26/3期売上高87.5億円→103.0億円、27/3期96億円→107.5億円、利益も26/3期23億円→28億円、27/3期25.5億円→28.5億円に増額修正しており、同社にとって微粒子計測事業が成長の原動力となっている。

この背景にはAI半導体中心に先端半導体の拡大に伴い、液中微粒子計測器(LPC:パーティクルカウンタ)などが液体中の粒子管理において、品質や歩留りの向上に欠かせない中心的な装置となっているため。現在この市場はニッチであり、米PMS( Particle Measuring Systems)、リオン、米TSI(主に気中MS)、米ベックマン・コールター、堀場製作所(金属イオンなども検出)など、技術力のある数社による寡占状態にある。しかもこの市場は「純水(UPW: Ultrapure Water)」と「薬液(Chemicals)」で技術的難易度やシェアの傾向が異なっている。純水においては如何に超高感度を得られるかが競争となっているが、米PMSが世界的なデファクトスタンダードで、最先端ロジックやメモリ工場の純水ラインでは非常に高いシェアを有している。PMSは同分野で世界最大手であり、純水・気中・薬液すべてをカバーする「総合デパート」であるが、特に純水用で圧倒的なブランド力を持っている。検出感度の限界に挑む技術力が高く、Intelなどの米国大手半導体メーカーが標準採用してきた歴史があり、20nm以下の微小粒子検出において技術的リーダーシップを有している。これに対し、同社は薬液計測において日本トップであるだけでなく世界でもトップシェアを有する。薬液用においては強酸・強アルカリへの耐食性が必要であり、液種により屈折率が異なるため校正が難しい、さらには反応に対し気泡と粒子の判別の困難さなどに対応できるかが鍵となる。同社の強みは多種多様な薬液に対応できる高い屈折率補正技術を持ち、薬液配管内では気泡が発生しやすく、これを粒子と誤検知しない気泡キャンセル技術に優れている。さらに腐食性の高いフッ酸などに対し、非常に高い耐久性を持つサファイアフローセルセンサーも提供している。
現在、同社の微粒子計測器の90%はエレクトロニクス関連が占め、残りはライフサイエンス向け。世界市場は300億円程度と言われている。今後、回路が3次元的に積層される先端半導体では、各層でのわずかな汚染が製品全体の不良につながるため、気中以上に製造に使用する薬液や純水中のパーティクル(液中パーティクル)の管理が極めて重要となる。パーティクルカウンタは、粒子にレーザーを当てて散乱光を見る(光散乱方式)が、純水は屈折率が一定(約1.33)なため、メーカーはそれに合わせて調整すれば済む。しかし薬液は硫酸、過酸化水素水、IPAなど、液によって屈折率がバラバラなため、「粒子の大きさ」の計算が狂いやすく、同社の高度な補正技術を持つ製品が選択される可能性が高まる。様々なセンサの情報を含めて統合処理を行う清浄度多点監視システム(環境モニタリングシステム)の重要性が高まり、同社は気中測定、液中測定両機種を手掛けているだけに、先端半導体の設備投資活発化で更なる需要拡大が期待される。
なお同社はLPCとしてKS-19とKS-20Fの代表機種を持ち、どちらも薬液(特にフッ酸など腐食性の強いもの)に対応したハイエンドモデルとなっている。KS-19については最小可測粒径が0.03μmで、ボリュームゾーン向けで多くの量産ラインに採用されている。これに対しKS-20Fは同社のフラッグシップモデルとして先端半導体向けが主力。最小可測粒径が0.02μmで3nm/2nm世代ロジックや先端メモリなど向けである。現在PMSも対抗製品を出しているものの、リオンは「気泡と粒子の判別技術」で薬液分野において信頼を勝ち取っている。なお、NEDOのBeyond 2nm及び短TAT半導体製造に向けた技術開発にも参画、先端半導体の拡大とともに中計を上回る収益拡大が見込まれる。

医療機器事業は日本市場に特化、トップシェアを有する(世界補聴器市場は5グループで90%シェアを有する)。現在国内補聴器出荷台数(日本補聴器工業会調べ)は2023年で65.2万台と過去最高を記録したが、2024年は64.1万台(1.7%減)となっている。国内は高齢化の進展と経度難聴者層をはじめ補聴器使用者層の増加に伴い、中期的に伸びが期待されるが、日本は補聴器装着率が米国の30%に対し15%と低い。しかも手頃なものでも片耳5~15万円、ハイスペック品は片耳50万円の製品もある。現在、補聴器の公的補助は、「国の制度(障害者手帳)」と「自治体独自の制度」の2階建てになっているが、実態として利用ハードルが高いのがネックとなっていた。これに対し、最近の動きとして普及率向上に向け、自治体の補助制度の拡大が加速してきた。具体的には24年1月現在238自治体が採用していたが25年8月現在で400自治体に急拡大している。特に東京都内の区部や地方都市を中心に導入が加速している。この背景には認知症予防の観点から導入する自治体も多いとのこと。さらに見かけ上ワイヤレスイヤフォンと似たデザインの耳掛け型の比率が高まって着実な伸びが期待されるほか、高機能化(AI搭載、充電式、スマホ連携)も追い風となる。同社はデジタル信号処理技術の向上により、音の再生帯域拡大や微調整が可能で、自然で豊かな音を実現できる“リオネットエンジン2" 搭載の「リオネット2シリーズクオリエンス」を発売、緩やかながら需要拡大が続こう。
環境機器は従来計画に対し未達で推移しているが、これは欧州、中国の不振、国内では能登半島地震の影響で震度計の予算が後ずれしているため。今後は新政権のもと、国土強靭化政策により緩やかながら設置台数が増えてこよう。
全体として27/3期は半導体生産の拡大、とりわけAIデータセンタによる先端半導体需要の高まりから微粒子計測器中心に売上拡大が見込まれ、中計の前倒し達成が期待される。
株価は収益拡大を受けて緩やかな上昇を続けているが、半導体向けの収益性が先行投資などの影響で増収ながら営業利益が減益で推移したこともあり、小さいゾーンでの株価変動に留まっている。現在会社予想EPS255.70円に対しPER9.8倍は東証プライム電機平均PER22.6倍に対し割安である。主力の半導体製造用液中微粒子計の売上拡大が続いており、26/3期収益予想も多少上振れが期待される。さらに27/3期は先端半導体の拡大で微粒子計測器の収益拡大から連続最高収益更新、中計の前倒し達成が期待され、先端半導体関連銘柄としてポジティブ継続と評価したい。
*図表は会社説明会資料、インベスターズガイドより掲載、チャートはヤフーから掲載



(IRuniverse Okamoto)