Arata AbeのELV RECYCLE Report vol.78最近の中古車輸出のデータから(8)アフリカを国別・品目別に見る
2022年に単価が上昇する中で、アフリカ向けは大幅には減っていない。単価の低い数量が減る一方で、単価の高い数量がそれを補うように増加している。仕向地別に見るとどうだろうか。図1は2022年のアフリカ上位15か国の中古車輸出台数の推移を示したものである。2020年、2021年はケニアがアフリカ最大の仕向地だったが、2022年はタンザニアにその座を受け渡している。その他ザンビアのように急拡大しているところもあれば、マラウィやガーナのように減少しているところもある。
2022年のアフリカ全体における主要国のシェアは、タンザニア:24%、ケニア:20%、南アフリカ:12%、ウガンダ:9%であり、上位2か国、4か国で44%、64%である。かつては南アフリカとケニアでアフリカの半数、タンザニアとウガンダを含めた4か国で4分の3を占めていたが、多少仕向地が分散しているようである。
図 1 アフリカ主要国向けの中古車輸出台数
出典:財務省貿易統計より作成
注:バス、乗用車、貨物車の合計
アフリカではどのような品目が多く輸出されているだろか。vol.74では、全仕向地の合計で乗用車4品目(1000cc超1500cc以下、1500cc超2000cc以下、2000cc超3000cc以下のガソリンエンジン車とハイブリッド車)で全体の70%超を占めることが示された。また、ハイブリッド車のシェアが拡大しており、ガソリンエンジン車のシェアを次々と追い抜き、シェア最大の1000cc超1500cc以下に迫っている様子を示した。
アフリカにおいても1000cc超1500cc以下の乗用車(ガソリンエンジン)のシェアが最も高いが、36%であり、全仕向地の場合(27%)よりも高い。これに続くのが1500cc超2000cc以下(16%)であり、さらに2000cc超3000cc以下(13%)が続く。
アフリカの特徴としてハイブリッド車のシェアが低いことである。ハイブリッド車のシェアは5%であり、5t以下2000cc以下、5t以下2000cc超の貨物車(ガソリンエンジン)よりもシェアが低く、6番目に位置する。
図2はアフリカにおける上位6品目の月別数量のシェアの推移を示したものである。これを見ると1000cc超1500cc以下の乗用車は他を圧倒しているが、そのシェアは下がってきていること、ハイブリッド車のシェアは小さいながらも緩やかに拡大していることなどがわかる。
なお、ハイブリッド車の2022年の主要仕向地はケニア、モーリシャス、南アフリカ、タンザニア、ジンバブエであり、シェアはそれぞれ30%、20%、17%、15%、10%である。ただし、2023年1月~5月ではモーリシャスのほうがケニアよりも多いことから、この点は流動的である。
図 2 アフリカ向け中古車輸出台数の品目別シェアの推移(主要6品目)
出典:財務省貿易統計より作成
注:シェアはアフリカ向け中古車輸出台数(バス、乗用車、貨物車)の合計のうちの各品目の割合を算出したもの。
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阿部新(Arata Abe)
山口大学 国際総合科学部・教授
2006年一橋大学大学院経済学研究科博士後期課程単位取得退学。
同大学研究補助員を経て、2008年より山口大学教育学部・准教授
2020年より同大学国際総合科学部・教授
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