ステンレス鋼材国内市場近況2023 #30 7月 熱間圧延鋼材生産・消費・在庫(第2報)
2023年9月15日、鉄鋼連盟が2023年7月の特殊鋼熱間圧延鋼材・生産・消費・在庫内訳を発表した。
7月のCr系生産量は前年同月(84,911トン)比13.0 %減の73,855トン(前月76,670トン比3.7 %減)、Cr-Ni系(304系)は同(79,611トン)比 25.4 %減の59,397トン(前月59,883 トン比0.8 %減)、Cr-Ni-Mo系 は42.1 %減 の15,313トン(前月16,210トン比5.5 %減)と前年同月比では共に減少した。
一方、その他系は同3.2 %増の19,034トン(前月20,655トン)と前年同月比では増加となった。
第1報は下記を参照ください。
ステンレス鋼材国内市場近況2023 #29 7月 熱間圧延鋼材生産・消費・在庫 | MIRU (iru-miru.com)
なお、以降の図表番号は、上記からの連番としている。
<鋼種別熱間圧延鋼材>
ステンレス鋼(熱間圧延鋼材)鋼種別(Cr系、Cr-Ni系、Cr-Ni-Mo系及びその他系)生産量推移を図2に示す。月率換算を右軸に示す。その他系にはCr-Mo及びCr-Mnが含まれる。
2023年に入ってからのステンレス鋼の生産量は減少傾向にあるが、特にCr系の生産量減が大きく、2020年のコロナ禍のレベルをさらに下回る状況であったが、6月及び7月は、コロナ禍レベルに回復した。
図2 ステンレス鋼(熱間圧延鋼材)鋼種別生産量推移 (経産省統計、2023年1月より鉄鋼連盟統計)
2023年度7月のステンレス鋼(熱間圧延鋼材)生産量の鋼種別内訳では
Cr系が73,855トン、前月2023年6月(76,670トン)比で3.7 %減、[22年同月(84,911トン)比13.0 %減、21年同月(84,351トン)比12.4 %減、20年同月(46,360トン)比では59.3 %増]と、前月比、前年同月比及び21年同月比ではともに減少した。
7月の生産量は、2022暦年の月換算量7.9万トン、2022年度の月換算7.7万トンをも、下回った。
Cr-Mo系、Cr-Mn系については実際には生産はあるが、生産企業が1社に絞りこまれることで具体的な生産量は公表されていない。
Cr-Ni系(304系)は59,397トン、2023年6月(59,883トン)比で0.8 %減[前年同月(79,611トン)比25.4 %減、21年同月(82,985トン)比では28.4 %減、20年同月(61,626トン)比では3.6 %減]と、前月比、前年同月比及び21年同月比ではともに、減少した。
7月の生産量は、2022暦年のCr-Ni系(304系)生産月換算量7.6万トン、2022年度の月換算量7.0万トンをも、下回った。
一方、Cr-Ni-Mo系は15,313トン、2023年6月(16,210トン)比で5.5 %減[前年同月(26,438トン)比42.1 %減、21年同月(24,585トン)比37.3 %減、20年同月(19,936トン)比では23.2 %減]と、前月比、前年同月比及び21年同月比ともに、減少した。
7月の生産量は、2022暦年のCr-Ni-Mo系生産月換算量2.7万トン、2022年度の月換算量2.5万トンを共に下回った。
その他は19,034トン、2023年6月(20,655トン)比で0.2 %減[前年同月(18,449トン)比3.2 %増、21年同月(28,617トン)比28.5 %減、20年同月(18,902トン)比では23.2 %減]と、前月比及び21年同月比では減少したが、前年同月比は増加した。
7月の生産量は、2022暦年のその他生産月換算量2.1万トン、2022年度月換算量2.0万トンを共に下回った。
<2018年1月~2023年7月 鋼種別生産量推移>
図3には、平成30年1月~2023年6までのステンレス鋼熱間圧延鋼材品種別月別生産量の推移を示す。
図3 ステンレス鋼(熱間圧延鋼材)鋼種別生産量 月別推移(経産省統計、2023年1月より鉄鋼連盟統計)
2022年度下期のステンレス鋼の鋼種別生産量は、2021年度に比べて減少傾向を示した。
特に、2023年1~3月期(2022年度第4四半期)においては、Cr系の生産量は2020年度のコロナ禍における減少量を更に下回る数値となった。Cr-Ni-Mo系以外は、2023年4月を底に増加傾向を示した。
<2019年2月~2023年7月 鋼種別生産量推移>
図4には、ステンレス鋼 熱間圧延鋼材の生産量と在庫量の推移を示す。
図4 ステンレス鋼 熱間圧延鋼材(生産・在庫)(経産省データ、2023年1月より鉄鋼連盟)
各鋼材の生産量は棒グラフ、在庫量及び生産量の小計は折れ線グラフで示す。生産量の小計は、2021年(令和3年)8月までは緩やかに上昇傾向を示したが、2022年(令和4年)に入ってからは20万トン台で低位安定。5月、6月、10月、11月は、20万トン台を僅かに下回った。2023年に入ってからは漸減傾向にあったが、7月は微増し、17万トンを超えた。
一方、小計の在庫量は微増傾向を維持していたが、2023年2月からは14万トンを下回っる減少傾向を示している。 2023年7月末在庫量は前月から1,424トン減少して12万8,468トンとなった。前年同月(14万3,161トン)比では10.3 %減となる。
図5に鋼種別生産及び在庫量の推移を示す。
図5 Cr系、Cr-Ni系及びCr-Ni-Mo系(熱間圧延鋼材)の生産及び在庫量推移
Cr系の2023年7月末在庫量は前月から2,180トン増加して4万3,476トンとなった。前年同月(4万5,272トン)比では4.0 %減となる。
Cr-Ni系の2023年7月末在庫量は前月から1,601トン減少して5万2,426トンとなった。前年同月(6万6,433トン)比では21.1 %減となる。
Cr-Ni-Mo系の2023年7月末在庫量は前月から1,056トン減少して1万8,098トンとなった。前年同月(1万9,992トン)比では9.5 %減となる。
2023年5月より、生産量を在庫量が上回って推移している。
グラフには示しいないが、
その他系の2023年7月末在庫量は前月から947トン減少して1万4,468トンとなった。前年同月(1万1,467トン)比では26.2 %増となる。
(IRUNIVERSE tetsukoFY)
関連記事
- 2025/05/01 2025年4月フェロアロイの平均推移(月平均)
- 2025/05/01 ニッケルブログ#20 EU競争力指針-ニッケル産業からの意見
- 2025/04/30 大平洋金属:25/3期業績見通し修正し、新中計を発表、フェロニッケルから新規事業へ転換
- 2025/04/30 欧州からの風:2025 April「EU使用済自動車規則案:揉めるプラスチック再生材含有ターゲットの行方は?」
- 2025/04/30 2025年2月チタンスクラップ輸出入統計分析 輸出は数量・金額ともに2カ月連続前月割れ
- 2025/04/30 2025年2月シリコマンガン輸入統計分析 3カ月ぶり減少2万トン大幅割れ 累計も前年割れ
- 2025/04/30 【貿易統計/日本】 2025年3月のモリブデン輸入推移統計
- 2025/04/30 【貿易統計/日本】 2025年3月のフェロマンガン輸出入推移統計
- 2025/04/30 【貿易統計/日本】 2025年3月のフェロクロム輸出入推移統計
- 2025/04/30 【貿易統計/日本】 2025年3月のニッケルくず輸出入統計