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バルカー(7995) 24/3Q2決算説明会メモ  ポジティブ継続

24/3期0.3%減収15.5%営利減予想は増額含み、25/3期は再度最高益更新期待

株価3765円(11/8) 時価総額703億円 発行済株18,689千株

PER(24/3DO予:11.9X)PBR(1.41X) 配当(24/3予)150円  配当利回り:3.9%

 

要約

・24/3Q2先端産業向けシール製品一服も特殊タンク増で2.5%増収1.3%営利減と善戦

・24/3期機能性樹脂増額、シール減額で0.3%減収15.5%営利減予想変えず増額期待

・創業100年に向け27/3期に売上高800億円、ROE15%目指す

 

24/3Q2先端産業向けシール製品一服も特殊タンク増で2.5%増収1.3%営利減と善戦

 

 24/3Q2決算が10/30に開示され、10/7にWEB説明会が開催された。24/3Q2は売上高156.93億円(2.5%増)、売上総利益63.86億円(2.4%増)、営業利益18.73億円(1.3%減)、受注89.59億円(14.9%減)、受注残高133.30億円(19.3%減)と先端産業向け一服で収益が伸び悩んだ。なお24/3H1では5.4%増収4.0%総利益増、1.7%営利減となっており、上半期として過去最高の売上高、売上総利益を達成している。

 

 事業別にシール事業は売上高89.37億円(14.1%減)、営利5.79億円(64.0%減)、受注89.59億円(14.9%減)、受注残58.17億円(11.1%減)に。受注は高シェアのエラストマー製品でフッ素樹脂ガスケットやOリングなど半導体産業向け等が不振、市場別売上では先端産業向けが27億円(36%減)と大幅減収に。利益も半導体向け減で大幅減益に。 一方で機器市場向けは38億円(4%増)と一般産業向け販売が増加した。但しシール事業全体の利益面では先端産業向け減少でMIX悪化から大幅減に。

 

 機能性樹脂製品は売上高59.63億円(46.0%増)、営利12.81億円(4.4倍)、受注は46.74億円(24.3%減)。先端産業向けが売上高31億円(63%増)と、スクリーンなど好調を維持した洗浄装置向け、ふっ素樹脂特殊タンク製品の大型案件の計上、プラント向けも同タンクが寄与し20億円(43%増)に。利益面は高機能製品拡大、生産拠点整備完了に伴う効率アップ、MIX良化から営利率が14.4ポイント向上し21.5%まで跳ね上がり大幅増益に。なお受注は特殊タンク大型受注反動減が影響も減少は一過性と見ている。

 

 再生ウエハ事業他は売上高7.95億円(4.1%減)、営業利益0.15億円(0.16億円改善し黒字化)、受注8.04億円(0.1%減)に。主力のウエハ再生事業がメモリ不振の中で健闘、一方でH&S事業は停滞、利益は新規事業の停滞も再生ウエハの正常化で黒字に。

 

 全体を通じ売上面では市場別で先端産業市場向けが65億円(4.4%減)と一服、構成比も44.4%から41.4%に3.0ポイント低下した影響が大きいが、特殊タンクの拡大で減収幅は小さく、プラント市場が44億円(12.8%増)、機器市場も46億円(4.5%増)と自動車向けの回復、景況回復でこれを補い小幅ながら増収を確保した。

 

 利益面では機能性樹脂部門の生産効率向上などでシール事業の利益率低下を補い総利益率は横ばいの40.7%を確保、人件費増などで販管費増から営業利益率が0.5ポイント悪化し、営利減となった。

 

24/3期機能性樹脂増額、シール減額で0.3%減収15.5%営利減予想変えず増額期待

 

 24/3.期会社予想に変更はなく、売上高620億円(0.3%減)、営利75億円(15.5%減)、経常利益75億円(16.9%減)、税引利益53億円(21.4%減)予想を据え置いた。元々上期予想を出していないが、24/3期予想に対し24/3H1の進捗率が売上高で50.3%、営利で51.7%、円安で経常利益では54.2%となっており、全体数字を変える必要は無いとした。なお下期だけを取り出すと売上高308.18億円(同期比5.5%減)、営利36.26億円(同26.5%減)、経常利益34.36億円(29.4%減)予想となっており、下期に利益面で減速感が高まる見通しとしている。

 

 全体では変更を行わなかったが、事業別では先端産業市場向けを250億円(13.5%減)に減額、製品別でも見直しを行っている。具体的にシール事業が売上高377億円(6.1%減)、営利34億円(49.6%減)予想。昨今の半導体製造装置の減産を受け、受注回復が遅れOリングなどの需要減退影響が大きい。一方、機能性樹脂事業は210億円(10.9%増)、営利41億円(83.4%増)予想。先端市場向けが下期は特殊タンクの大型納入一巡もあるも収益に大きく貢献、自動車の回復で先端品以外の回復も寄与する。その他事業は売上高33億円(5.9%増)、営利0億円(1億円改善し収支ゼロ)予想に変更はない。

 

 現状、上期が比較的堅調で、Q1比Q2でも1.3%増収、2.1%総利益増、6.4%営利減となっており、下期に利益率が大きく低下する要素は、特殊タンク受注が反動減(会社側では受注減は一次的なものとみている)となる影響以外では大きなものがないと見られる。円安傾向でもあり、全体として会社予想に対し若干の上振れが見込まれる。

 

創業100年に向け長期目標として27/3期に売上高800億円、ROE15%を目指す

 

 25/3期は、半導体産業向けの回復が期待され、特に国内での半導体新設工場、関連する化学、ガスなどの新設設備投資が加わり、先端産業向けの再拡大で収益の拡大が見込まれる。このような環境でTSMCなどの国内半導体工場新設を睨み、機能樹脂特殊タンク製品の国内生産能力拡大を目指し愛知県田原市に新工場建設を行う等で対応する。またプラント事業は改修が高まる年になり、こちらも増収が見込まれ、全体として、再度、最高益更新の期待が高まる。

 

 なお同社は創業100周年に向け、長期計画として27/3期に売上高800億円、ROE15%を目標として掲げている。事業としては25/3期に再度最高収益更新が見込まれ、さらにM&Aの実行が加われば、長期経営目標の達成は十分可能とみられる。

 

 

 株価は24/3期会社予想EPS302円に対しPER12.5倍と、日本ピラー工業の11.1倍、イーグル工業の10.5倍と似通った水準にある。プライム市場機械平均PER15.8倍に対し割安であり、来期は収益の回復が見込まれ最高益更新が期待されることから、ポジティブ継続としたい。

 

 

 

(H.Mirai)

 

 

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