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【Fastmarketsオンラインウェビナー】2026年のアルミニウムスクラップ市場における貿易障壁への対応(前編)

2026/03/14 13:38
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【Fastmarketsオンラインウェビナー】2026年のアルミニウムスクラップ市場における貿易障壁への対応(前編)

3月12日、農業、カーボン、林産物、金属・鉱業、次世代エネルギー市場の総合コモディティの価格報告機関Fastmarketsが、2026年のアルミニウムスクラップ市場における貿易障壁への対応についてのオンラインウェビナーを開催した。本ウェビナーではアルミニウム・リサイクル市場の最新動向や、一次・二次アルミニウムおよびアルミスクラップの価格形成に重点を置いた発表がなされた。

前編である本報では、本ウェビナーで発表された欧州市場、東アジア市場・東南アジア市場について、次報の後編ではインド市場、分析チームによる一次・二次アルミおよびスクラップ見通しについて報告する。

欧州市場:CBAM、供給逼迫、地政学が市場を再編

欧州のアルミリサイクル市場は現在、3つの要因によって構造的な変化の局面に入っている。

  1. CBAM(炭素国境調整メカニズム)などの規制変更
  2. EU内でのスクラップ供給の逼迫
  3. 中東情勢を含む地政学的混乱による物流・エネルギーリスクの上昇

1. CBAM(炭素国境調整メカニズム)などの規制変更

CBAMの金融的な影響はすでに始まっており、輸入一次アルミには炭素コストが実質的に積み上がり始めている。一次アルミのCO2排出量はアルミ1トン当たりおよそ8~12トンに達する。一方、二次アルミは0.5~1.5トン程度と大幅に低い。この差が、欧州内でのスクラップや二次材の相対価値を押し上げている。

その結果、買い手は高炭素な輸入一次アルミより、低炭素な二次アルミの確保に強く動機付けられている。特に、ポストコンシューマースクラップ(飲料缶、廃車など)は炭素コストの扱いが有利であり、極めて魅力的な原料となっている。

一方、プレコンシューマースクラップ(工場端材など)はトレーサビリティが求められ、炭素履歴が証明できない場合は高めのデフォルト排出係数が適用される可能性がある。これは、高炭素な一次金属を「スクラップ化」して再輸出することで炭素コストを回避する、いわゆる抜け穴への対処と位置づけられている。

欧州政策当局はスクラップの域外流出を気候目標達成上の問題とみなしており、アルミリサイクル材の輸出規制を検討している。この検討において、年内に30%の輸出国別課税が導入される可能性も示唆された。

この規制観測だけでも市場行動に影響が出ており、

  • 売り手は早期売却を避けて保有を選ぶ
  • 精錬業者は在庫積み増しを進める
  • 買い手は政策明確化まで調達を先送りする

といった動きが生じている。

その結果、スポット市場の流動性が低下し、実際の供給量以上に「市場に出てくる量」が減って見える状況になっている。

2. EU内でのスクラップ供給の逼迫

欧州では新規スクラップ発生量が伸びにくい。収集量も市場によって不安定であり、スクラップ価格上昇の恩恵を二次精錬業者が十分享受できているわけではない。業界推計では、EUの二次アルミ生産能力の約15%が休止または低稼働状態にある。需要面でも、自動車など主要最終用途の回復は鈍い。

つまり、欧州の二次アルミ産業は戦略的な重要性は高まっているものの、実務面では強い圧力にさらされているという逆説的な状態にある。

3. 中東情勢を含む地政学的混乱による物流・エネルギーリスクの上昇

中東、とりわけイランを巡る緊張の高まりは金属取引の輸送網に直接影響している。一部船社は航路停止や迂回を実施しており、多くの貨物が喜望峰回りとなった。その結果、欧州・アジア航路では10~14日程度の遅延が発生し、燃料費も上昇している。

アルミスクラップは完成品の金属より単位重量当たりの価値が低いため、高価値貨物が優先される状況では後回しにされやすい。加えて、戦争リスク保険料も上昇している。さらに、ホルムズ海峡は世界の原油供給の約2割を担うため、混乱はエネルギー価格上昇を通じて、欧州の再溶解炉や電炉にも悪影響を及ぼす。

欧州アルミスクラップの主要輸出先は依然としてアジアであり、インドや東南アジアが主要な買い手である。欧州からのアルミスクラップ輸出はおよそ120万トン規模とされ、インドは輸入依存型の成長市場として特に重要である。

仮に、欧州とインドの間で取引自由化が進めばインド向け供給が増え、欧州のスクラップ価格に対して実質的な下値支持を与える可能性がある。一方、欧州当局は“スクラップ流出”に神経質になっており、自由貿易と資源囲い込みのせめぎ合いが続いている。

東アジア・東南アジア市場:中国需要の強さと供給再編

中国市場

中国ではアルミのリサイクル材需要が増加しており、輸入量は前年比13.1%増、国内の関連指標も前年比5.12%増とされた。ただし、下流では供給過剰が続いており、アルミ合金メーカーにとっては必ずしも楽な局面ではない。従来、中国は国内供給不足時にスクラップ輸入を増やす傾向があったが、現在はスクラップ価格自体が非常に高い。同時に、自動車・建設需要の弱さもあり、ADC12生産者などにはコストと需要の両面から圧力がかかっている。

近年の中国向け輸入では、タイ、英国、日本が強い供給源となっており、2025年は以下の通りとなった。

  • タイ:約48万トンで首位
  • 日本:約23万トンで3位
  • 米国:約13万トンで4位

マレーシアは2024年には上位だったが、2025年には約6.8万トンで10位まで後退し、この背景には、関税、規制、供給ルートの変化があると説明された。

欧州から中国への供給は国によって偏りが大きく、スペイン、ベルギー、フランス、ドイツなどからの輸入増が見られる一方で、スロベニア、ラトビア、ポルトガル、ハンガリー、イタリアなどでは対中輸出が減少している。欧州が輸出制限を強めれば、中国向けフローにも変化が生じる可能性が高い。

UAEやサウジアラビアは、中国向けのアルミスクラップの輸出を急増させている。2021年から2025年の中国へのアルミスクラップ輸出量は以下の通り。

  • UAE:2025年に約16,000トン(2021年は約2,800トン)
  • サウジアラビア:2025年に約13,000トン(2021~2022年は約500トン)

このように、中国市場では中東材の存在感が高まっており、特にUBCなどミルグレードの供給源として重要性が増している。

中国はリサイクルアルミの利用拡大政策を強めており、2027年までに1500万トン以上の使用を目指している。これの達成のため、中国では以下のような国内政策を推進しているという。

  • 2024年10月:中国資源を回収するリサイクルグループ(CRRG)を設立
  • 2024年11月:中国へのアルミスクラップ輸入許可等級リストを拡大
  • 高級再生材や二次純アルミ関連の技術進展
  • 大規模設備・車両回収プログラムの継続
  • エレベーターや消防設備など新たな回収対象の追加
  • 2026年1月:スクラップ・再生アルミの一般利用拡大へのプロモーション計画、固形廃棄物管理のアクションプランの再確認

これら政策は中国国内の価格形成要因にもなっており、ADC12価格は、24,100~24,600元/トンと、2017年以来の調査期間で最高値に達した。これの背景としては、

  • スクラップ消費の増加に伴う冬季の国内供給の逼迫
  • 旧正月後の在庫補充動向
  • 生産能力上限への接近
  • 中東からの供給障害

など、需給双方の複数要因が挙げられた。

日本市場

中国や中東要因の影響は日本市場にも波及しており、ADC12輸入価格は2021年10月以来の高値圏にあるCFR MJPで3,100~3,300ドル/トン前後とされた。日本にとってUAEは一次・二次アルミ双方の重要供給源であり、日本のアルミ合金輸入のうちUAE由来は約25%を占め、前年にはHS7601.20ベースで約2万6,700トンが輸入された。四半期主要市場でもプレミアムは250~350ドル/トン上昇したとされた。

そのほかの東南アジア市場

Fastmarketsは前年にCIF東南アジアのアルミスクラップ輸入価格を立ち上げ、東南アジア地域全体にわたる輸入量の分散について調査した。昨年はバーゼル電子スクラップ規制の変更に伴う港湾検査の厳格化や転送の取り締まり、電気自動車の容量拡大、などによりアルミニウム製錬能力は長期的な成長を反映した。

バーゼル規制の変更に伴い電子廃棄物は分類見直しがされ、Zorbaなど一部のアルミスクラップがタイやマレーシアで厳格に扱われやすくなった。その結果、港でのコンテナ滞留や没収リスクが増しているとの指摘があった。

マレーシアでは輸入業者が適応を進めた結果、品質の低い材料から工場で処理可能な材料中心へと輸入内容が変化し、過去1年で輸入量は倍増したとされた。一方、タイは依然として地域最大の輸入国だが、2025年は前年比で微減見込みであり、競争激化が背景にある。

ベトナムとインドネシアでは明るい兆候も見られる。中国・日本系企業の投資は継続しており、ベトナムではEV政策が進展や特定都市でのICE車規制もあり、国内EV生産・販売増加がアルミスクラップ需要を押し上げる見込みとされた。特に押出材やUBC分野で消費増加が示唆された。

インドネシアでもアルミ溶解能力拡大が進んでいるが、長期的な需要成長はより時間を要する見通しである。両国とも輸入許可制度が厳格で、中継輸送は不可、実際に廃材処理能力を有することの証明が必要とされた。

東南アジア価格の特徴として、過去1年にわたりLME動向や中国の供給懸念からスクラップ価格は上昇した。押出材グレードは高止まりし、ZorbaやUBCも概ね堅調であった。UBCはLMEと比較的一致しやすいが、輸出税など供給制限への懸念が高まっている。

また、中東は東南アジアにとって安価なUBC供給源として重要性を持ってきたため、米イラン・イスラエル紛争に続く中東からのアルミスクラップ供給に対して重大な懸念を示している。

 

【Fastmarketsオンラインウェビナー】2026年のアルミニウムスクラップ市場における貿易障壁への対応(後編)に続く

 

(IRuniverse Midori Fushimi)

Midori Fushimi

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