Loading...

アルミ合金&スクラップ市場近況2026#14 スクラップ・製品ともに続落――しかし、発生薄、中東情勢の再緊迫化により不透明感も

2026/07/16 16:57
文字サイズ
アルミ合金&スクラップ市場近況2026#14 スクラップ・製品ともに続落――しかし、発生薄、中東情勢の再緊迫化により不透明感も

 ピークアウトした国内アルミ合金・スクラップ市況にさらに調整色が広がっている。指標となるLME相場(現物)がホルムズリスクプレミアムの剥落などで急落、高値掴みの在庫整理を急ぎたい一部問屋筋の売り急ぎも誘って、下押し圧力が高まったためだ。16日現在、主要スクラップが上旬比で35-45円幅で値を消し、製品の国産ADC12も同比で安値が10円値下がりし、1キロ550‐570円で推移している。ただ、足元の相場は、再び緊迫化し始めた中東情勢に伴うLME相場の上方修正の動きをまだ織り込んでいない、いわば「周回遅れ相場」。猛暑による解体作業遅れで発生薄に拍車がかかる兆しもあり、一本調子の下げ局面が続くのか、目先も不透明感が強い。

 

  主要スクラップ市況は16日現在、上物の2S新切、ビス無がともに7月上旬比で35円安の1キロ470円、同480円。裾物のビス付は同比40円安の同415円で推移している。争奪戦が続き、超高値圏に押し上げられていたUBCは下げ足に拍車がかかっており、同比45円安の385‐390円と、400円の大台を割り込んだ。「LMEの下げ相場を見た問屋筋の対応は2つに分かれた。資金力のある問屋筋が売りのタイミングをはかる様子見姿勢を見せる一方、一部問屋筋の間では高値掴みの在庫の整理を急ぎたいとの心理からろうばい売り的な対応も見られた」(市場関係者)といい、これが相場の下押し圧力を高めた。

  

2S新切り相場

アルミサッシ63(ビス無)相場

ビス付きサッシ(プレス品)相場

UBC相場

 

 スクラップの代替品として合金材料に使われる国内ベースメタルは16日現在、上旬比安値25円、高値20円安の1キロ510‐520円で推移しており、上旬時点で「今後、30円幅の下げを見込んでいる」(地方合金メーカー)との声も挙がっていた。海外原料のゾルバ(Metal97~98% CIF China)も、同比安値250ドル、高値150ドル安の1トン2,500‐2,650ドルのレンジにある。

 

国内ベースメタル相場

ゾルバ(Metal97~98% CIF China)相場

 

 16日に発表のあった大手合金メーカーの原料買取価格は、そうしたスクラップ市況を踏まえて、東西ともに上物20円、裾物30円幅の下げとなりメーカーの買い手市場色をさらに深めた。

 

 製品である国産ADC12も16日現在、上旬比で安値が10円安の1キロ550‐570円の水準で推移している。「これ以上の下げを食い止めるため高値570円で売るメーカーもいる一方で、今後の下げ相場を意識して、火傷の度合いを抑えるという観点で、10円安などで販売するメーカーも出て来ている」(複数合金メーカー)ためで、「目先高値にも調整が入って560円水準まで下げ余地はある」(同)という。

 

 国産ADC相場

 

  競合品の中国産ADCは16日現在、上旬比で高値、安値ともに200ドル超の幅で調整が入っている。安値で230ドル、高値で210ドル値を消し、1トン3,050‐3,100ドルの水準にある。1ドル=162円で換算すると、1キロおよそ509‐517円(諸掛り込み)になる。「経済不況などを映し、中国サプライヤーは、在庫を早くはきたいのだろう。一方で、(当時のLME高値相場を織り込んだ)先物の荷との価格ギャップはかなりある」(業界筋)。

 

 

中国産ADC相場

 

 他の海外産ADCでは、マレーシア産が上旬比200ドル安の3,090ドル、インド産が3,030ドル、EU産が3,530ドル、アフリカ産が3,120ドルでの推移となっている。 

 

  足元、下げ一色の国内アルミ合金・スクラップ市況だが、目先どう展開するのか、強材料も顔を出してきて、見通しは不透明だ。指標となるLME相場は、2日に大台割れ寸前の1トン3,061.5ドルまで下げたものの、中東情勢が再び緊迫の度合いを増し始めた流れに歩調を合わせて上げ始め、15日までに同3153.5ドルまで戻してきている。

 

LMEアルミ相場

 

 また、国内に目を転じても、猛暑による解体作業遅れから、長期にわたって引きずってきている発生薄現象に拍車がかかる可能性も出てきた。実際、熱中症リスク低減を目的に、建設現場における日中の作業時間帯を見直す動きも、ゼネコンの間で出てきている。

 

 こうした動きに加え、円安基調が続いていることも考え併せれば、底値を探った後、反転する余地も十分広がってきている。「戻りホルムズリスクプレミアム」の再燃があるのか、当面の焦点はそれであり、中東情勢から目が離せそうにない。

 

G・Mochizuki

関連カテゴリ

関連記事

新着記事

ランキング