パワーIC市場化合物半導体#8 SIC製品とその種類
ショットキーバリアダイオード(SBD)とは、金属とn型半導体の接触によるショットキー接合を用いたダイオードのことである。ショットキー接合とは金属と半導体の接触が整流作用を示すものを言い、その原理を用いて作ったダイオードがショットキーバリアダイオードである。ちなみに「ショットキーバリア」は、これを発見したドイツの科学者 Walter Hans Schottky氏(1886– 1976)にちなんで名付けられた。
一方、一般整流ダイオードやファストリカバリーダイオード(FRD)、ツェナーダイオードなどは、p型半導体とn型半導体のpn接合を用いて作られたダイオードとなる。
ワイドバンドギャップ素材のSiC MOSFETはSiC(シリコンカーバイド)を用いたMOSFET(金属皮膜電界トランジスタ)である。
JFETはJunction Field Effect Transistor、「接合型電界効果トランジスタ」の頭文字を取った用語である。電界とは、電圧がかかっている空間であり、電圧が作る世界を指す。従来は電流制御であったバイポーラトランジスタだが、電圧制御のトランジスタとしてJFETが発明された。各々製品化されている。Fig1は製品の定義を整理したものである。
Fig1
Fig2 インフィニオンテクノロジーのSiCデバイス SiC MOSFET(左)、SBD(中央),JFET(右)
2SiCデバイスメーカー:中国では先端技術半導体への米国の規制には関わりのない化合物半導体の開発を急いでいる。ここでは2023年現在SiC市場に参入しているメーカーを紹介する。中国のSiCデバイスメーカーと生産種目をFig3 に示す。
2中国SiCデバイスメーカー(◎生産量大 〇量産準備中 ●開発中)(ソース:OMDIA)
□主要中国パワー半導体メーカー
1、Shenzhen BASiC Semiconductor Ltd.は、中国の次世代パワー半導体業界のリーディングカンパニーであり、同社は先進的なSiCコア技術を持ち、SiC パワーデバイスの材料製造からチップデザインと製造技術、パッケージングと試験、駆動アプリケーションまで様々な分野の研究開発に取り組んでいる。 現在、同社は深センを本社とし、北京、上海、南京、無錫、名古屋などの多地区統合産業レイアウトを形成し、国内および海外の二重循環サプライチェーンシステムを確立しています。 BASiC SemiconductorのSiCパワーデバイス製品は、電気自動車、太陽光発電、蓄電システム、通信電源、サーバー電源、充電ステーション電源、家電製品など、600以上のグローバル顧客にサービスを提供するために、2000万個以上を出荷している。(Web)
2、BYD EV自動車、バッテリーグループ企業各社を通じて、IT部品(二次電池、携帯電話部品・組立)と、自動車事業などを展開している。リチウムイオン電池の製造で世界第3位(2020年時点)である。(Web)
3、China Resources Group の傘下にある China Resources Microelectronics Limited は、マイクロエレクトロニクスは華化電子、中国華京、CSNCテクノロジーなどの中国の半導体先駆的企業を次々と統合してきた。数年間の発展と一連の統合を経て、同社は中国で大きな影響力を持つ総合半導体企業となった。 2004 年以来、同社は工業情報化部によって中国の電子情報企業トップ 100 に継続的に評価されている。中国半導体産業協会の統計データに基づくと、2018年の中国半導体企業トップ10の中で、売上高において当社はIDMモードを主力事業とする唯一の半導体企業となった。(Web情報)
(椿匡之)
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