積水化学 鉄鋼分野のCN実現に向けCO2→CO変換ケミカルルーピング技術実証研究を開始
積水化学工業は、国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託を受け、「実証要件適合性等調査/鉄鋼分野のカーボンニュートラルを実現するためのCO2→CO変換ケミカルルーピング技術実証研究(EU)」 (以下、本NEDO事業)を、2023年11月から開始した。以下が詳細になる。
1.背景
積水化学はこれまで、CO2を高い転化率でCOに変換する積水化学独自のCO2→CO変換ケミカルルーピング技術の開発を進めてきた。2021年よりArcelorMittal, S.A.(CEO:Aditya Mittal、以下「アルセロール・ミタル」)のスペイン・アストゥリアス工場で、製鉄の際に排出される実ガスを用いた試験を進め、昨年6月にはCO2転化率90%および水素転化率75%という成果を収めた※1。
当初の狙いよりもさらにCO2転化率および水素転化率が向上していることから、商用化に向けたスケールアップを視野に新たなプロジェクトを検討してきたが、この度、NEDOの「2023年度「脱炭素化・エネルギー転換に資する我が国技術の国際実証事業(実証要件適合性等調査)」第2回公募」に応募し、採択された。
※1:この成果は、NEDO 「クリーンエネルギー分野における革新的技術の国際共同研究開発事業(JPNP20005)」の結果得られたもの。
2.新プロジェクトの概要
アルセロール・ミタルの製鉄所(実証場所は今後数か月の間に決定予定)から排出されるCO2を、積水化学のCO2→CO変換ケミカルルーピング技術を用いてCOに変換し、高炉での還元剤としての直接活用、および国内外のパートナーが保有する技術も活用したCOのさらなる変換など、さまざまなCOの用途展開(CCU)について技術の実現性および経済性の検討を進め、CO2から、有望なCOの用途展開までの一連の技術実証を行う。
なお、実証におけるCO2変換量のスケールは、これまでのスペイン・アストゥリアス工場における試験時の1kg/日から10トン/日にスケールアップをする予定。
今回の実証要件適合性等調査の期間は、2023年11月~2024年3月の予定だ。本調査ではEUにおけるエネルギー事情、GHG削減に関する政策、現地実証に向けた法規制・環境およびアルセロール・ミタルの製鉄所ならびに周辺環境、立地、供給インフラなどの情報収集を行い、CO2→CO変換ケミカルルーピング技術のスケールアップとCCUの技術実証に向けた取り組みを開始する。
積水化学では、本技術の商用化に向けた取り組みを進め、2030年度の事業化や新たな資源循環システムの構築を目指し、サステナブルな社会の実現に貢献していきます。
(IRuniverse G・Mochizuki)
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