出光など5社の周南コンビナートCN共同行為で、公取委「独禁法上問題ない」と回答
出光興産株式会社・東ソー株式会社・株式会社トクヤマ・日鉄ステンレス株式会社・日本ゼオン株式会社の 5 社は、山口県周南コンビナートにおけるカーボンニュートラル実現に向けたコンビナート5社による共同行為について、公正取引委員会へ相談を申し入れ、今回、公正取引委員会より同共同行為について「独占禁止法上問題がない」 旨の回答を受領したと発表した。
これには、現在 5 社で進めている 2030 年に向けた年間 100 万トン超のカーボンフリーアンモニア供給体制の確立を目的とした企業間での情報交換に加え、2050 年に向けた発電など用役設備の統廃合の共同検討などが含まれる。
また、周南地区で検討しているバイオマス化学品への転換・使用済みプラスチックリサイクルなどの 資源循環、CO2 の固定化・活用(CCUS)といった、コンビナートのカーボンニュートラル化を推進するための包括的な取り組みに対する共同行為も対象となっている。
「独占禁止法上問題がない」旨の回答を受領したことに 加え、公正取引委員会からはカーボンニュートラルという新しい分野への開かれた議論を推進するため、特別な 情報遮断処置(クリーンチームの組成等)は必要ないとの見解が示された。これにより 5 社は迅速的かつ実効的な検討が可能となる。
周南コンビナートでは周南市の牽引の下、公益社団法人化学工学会と連携した「周南コンビナート脱炭素推進協議会」を 2022 年 1 月に設置。産官学が一体となり、現行の設備・産業インフラ等を最大限に活用することで、2050年のカーボンニュートラルコンビナート(以下、CNK)の実現を目指している。昨年 5 月には 2050 年の CNK 実現に向けた「周南カーボンニュートラルコンビナート構想」および「周南コンビナートカーボン ニュートラルロードマップ」を発表した。
5社はこれらの構想を具体化するにあたり、複数の企業間でのより踏み込んだ共同検討が不可欠になると判断し、昨年 3 月に公正取引委員会から公表されたガイドライン「グリーン社会の実現に向けた事業者等の活動に関する独占禁止法上の考え方」に基づき、CNK 実現のための共同行為に対する独占禁止法の考え方を公正取引委員会に相談してきた。
今回の相談にあたり、公正取引委員会および経済産業省は、脱炭素の実現や産業競争力強化を目的とした意義ある取り組みとして前向きに対応、公正取引委員会においては、事業者や経済産業省から の情報提供を踏まえ、独占禁止法がその阻害要因とならないよう、さまざまな観点から検討してきた。
これにより2030 年に向けた周南コンビナート年間 100 万トン超のカーボンフリーアンモニア供給体制確立の実現に向けた協議をはじめ 2050 年カーボンニュートラル達成に向けた取組みが加速する。
■周南コンビナート脱炭素推進協議会の概要
(周南市ウェブサイト:「周南コンビナート脱炭素推進協議会」)
https://www.city.shunan.lg.jp/site/complex-decarbonization/
■公正取引委員会の報道資料 石油化学コンビナートの構成事業者によるカーボンニュートラルの実現に向けた共同行為に係る相談事例について
https://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/2024/feb/240215shunan.html
(IR universe rr)
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