2024年2月のタングステン市場は国際価格を中心に相変わらず動きが鈍い。ただ、中国市場は春節(旧正月)を終えて操業を本格的に開始した生産者が増え始め、取引も徐々に再開。底打ち感と年明けの楽観ムードから小幅に上昇するものも出始めた。

 

 ■APTは3ヶ月横ばい

　ベンチマークとなるタングステンAPTの国際価格は2024年2月下旬時点で仲値$312.5/MTUと、2023年11月下旬から3か月近く値動きがない。長期スパンで見ると2021年から$300を上回って堅調だ。市場では「中国の鉱山は精鉱在庫を担保に銀行から融資を受けていることを背景に高値を維持できている。価格を落として放出する理由はないため、タングステン価格は当面、高止まりだろう」(金属商社幹部)との声があった。

 

過去3か月間のタングステンAPT価格の推移(EU Free market)($/MTU)

 

■鉱石価格は安定、酸化タングステンは横ばい

　原材料となるタングステン鉱石も1月から横ばい。国際価格は仲値$253.5/MTUで1月上旬から、中国国内価格はRMB12万3000/mtで1月下旬からそれぞれ動きがない。

 

過去3か月間のタングステン鉱石価格の推移(WO3 65%)($/MTU)

過去3か月間の中国タングステン鉱石価格の推移(WO3 65%)(RMB/mt)

 

　酸化タングステン価格も上値が重い。2月1日に仲値$346.4/MTUに上げたものの、2月8日には1月末からの水準である$322.5に再び下落した。

 

過去3か月間の酸化タングステン価格の推移(Wo3 99.99%min FOB China)($/MTU)

 

■炭化タングステン、タングステンバー、フェロタングステンは上昇機運

 

過去3か月間のフェロタングステン価格の推移($/kg)

 

過去3ヵ月間の炭化タングステン価格の推移(99.7%min 2.5-7.0um Fob China)($/kg)

 

過去3か月間のタングステンバー価格の推移(w-4 99.9% China)($/kg)

 

　一方、フェロタングステン、炭化タングステン、タングステンバーとは上昇の兆しが見えてきた。フェロタングステンは1月25日に仲値$40.5/kgと節目の$40を回復し、2023年3月下旬以来11か月ぶりの高値に上げている。Felloynetによると、中国では取引再開に伴いやや楽観ムードもあるようで、特に鉄鋼需要については底打ち期待が強まっているという。

　 炭化タングステンも仲値で1月末の$3797/kgから2月8日に$38.2と節目の$38台を回復した。2023年9月以来5か月ぶりの高値水準になる。タングステンバーは1月初旬の仲値$39.3/kgから1月下旬に$39.5、2月8日に$39.7と段階的に上昇。2023年7月以来の高値に戻したが、節目の$40にはもう一歩だ。

　

 

(IR Universe Kure)

 

 

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