中国のニッケル銑鉄&鉱石価格動向(24年4月第2週)続落傾向 輸入品の供給増加で
2024年4月第2週のニッケル銑鉄とニッケル鉱石価格は下落。雨季を終えたフィリピンの鉱山で生産が再開し原材料の供給が増えている。中国のニッケル銑鉄(NPI)メーカーは原材料輸入に当たって高値での取引を躊躇する姿勢が根強く、様子見姿勢が続く。
■銑鉄・鉱石ともに段階的に下落
ニッケル銑鉄価格は4月5日に高値RMB940/MTUに下落し、その後も同水準で推移している。3月13日に付けた直近高値(RMB980)から段階的に値下がりした。中長期には2月以来の安値水準で、RMB1000を超えていた2023年秋の水準には遠い。
過去3ヶ月間のニッケル銑鉄価格の推移(NPI content 10-15% China)(RMB/Nickel/MTU)
ニッケル鉱石価格は4月4日に仲値$72/tonを付けた。3月7日に2月から維持していた$76から$73に下落。4月に入り一段と市況が悪化している。
過去3ヶ月間のニッケル鉱石価格の推移(1.8min CIF China)($/ton)
■ニッケル価格は上昇基調
一方、精錬ニッケル価格は上昇している。ロンドン金属取引所(LME)でのニッケル価格は4月11日に現物$1万7715/tonを付けた。上海先物取引所(SHFE)のニッケル価格は同日、現物でRMB13万9910/tonだった。どちらも2022年の好調に比べれば低水準にあるものの、底堅い推移となっている。
3月までにロシアのへの追加経済制裁でロシア産ニッケルの供給が細るとの観測が浮上したうえ、BHPなどが豪州のニッケルの精錬所の停止を発表するなど国際資源大手でニッケル減産の動きが相次ぎ、供給が細るとの観測が根強い。ただ、鉱石輸出を禁止したインドネシアが精製ニッケルの輸出を続けており、供給減は限定的との見方もある。インドネシアでは当局が企業のニッケル精錬を承認するRKAB(企業予算作業計画)を導入しているが実施が進まず、混乱も見られるという。
関連記事: ニッケル価格の動揺は回復 まだ上昇余地がある? | MIRU (iru-miru.com)
関連記事: 中国のニッケル銑鉄&ニッケル鉱石価格動向(24年3月第3週)やや下落 | MIRU (iru-miru.com)
(IR Universe Kure)
関連記事
- 2025/06/17 カナダTMC、高麗亜鉛から出資受け入れ 米国向けのコバルトやニッケル供給を拡大へ
- 2025/06/17 チタン原料市場市況2025年6月 総じて下落 イルメナイトとフェロチタンが4年半ぶり安値
- 2025/06/17 ステンレス鋼材国内市場近況2025 #24 2025年4月 熱間圧延鋼材生産・消費・在庫
- 2025/06/17 2025年4月のステンレス熱間圧延鋼材生産統計 前年同月比3.6%減の155,789トン
- 2025/06/16 動き出す「金属盗対策法」――指定金属切断工具の隠匿携帯には罰則
- 2025/06/16 LME Weekly 2025年6月9日-13日 米中貿易交渉の進展期待も中東情勢緊迫化でCu Ni下落、Al続伸
- 2025/06/15 非鉄各社26/3期新前提とのギャップについて(6/13時点)
- 2025/06/15 LMEの現物と先物の鞘(6/13)
- 2025/06/14 日本製鉄: USスチール買収計画、トランプ大統領パートナーシップ承認
- 2025/06/12 インドネシア ガグ島のニッケル鉱山、観光と環境への影響懸念で操業停止