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車載バッテリー需要、10年間で10倍に IEAリポート、EV普及の流れ変わらず

 国際エネルギー機関(IEA)は4月23日に発表した電気自動車(EV)に関する定例リポートで、中長期的な車載電池について「最大で2035年に2023年の10倍に拡大する可能性がある」と予測した。脱炭素の流れを受けた各国政策主導のEV普及の流れが変わらないとみて、電池需要も引き続き拡大するとしている。

 

 

■2030年、生産能力9TWh、リサイクル能力は1,500GWh

 IEAはEV電池需要について、控えめな予想でも2023年比で2030年に4.5倍、2035年には約7倍に拡大すると予測する。生産能力の方は、現時点で発表済みの各社の生産計画から試算して、2030年までに9TWhを超える可能性があるとも予測した。ただ、現在計画が発表されていない南米諸国や、生産公約の4分の1しかカバーできていないインドなど、能力が公約に満たない国には、大きな成長の余地があるとも指摘した。

 バッテリーリサイクルをめぐっては、現時点ではまだ萌芽状態ではあるものの、能力は2030年に1500GWhを超える可能性があり、そのうち70%が中国、欧州と米国がそれぞれ約10%を占めるとの見方を示した。

 

電池の形態別リサイクル状況

 

■中国は電池も生産過剰、業者は倒産と隣り合わせ

 2023年の需要は750GWhと2022年比40%増えた。増加率が高かったのは米国と欧州でそれぞれ前年比40%増、中国が35%増だった。

 バッテリー需要そのものはそれぞれの地域生産で賄えるものの、サプライチェーン(供給網)の上流に当たる原料加工部分で中国が主導的な役割を担う。中国は現在、世界の正極活物質製造能力の90%近く、負極活物質製造能力の97%以上を占める。ほかに正極活物質の製造能力で大きなシェアを占めている国は、韓国(9%)と日本(3%)のみ。リン酸鉄リチウム(LFP)電池に至っては、中国が生産能力のほぼ100%を占める。ただし、中国の生産能力は過剰状態にあり、IFAは、中国の業者は倒産に追い込まれる危険と隣り合わせているとも指摘した。

 

バッテリー価格の推移

  2023年のバッテリー価格は下落した。原材料となる金属価格が低迷したため。バッテリー価格が最も廉価なのは依然として中国ではあるものの、過去数年間で中国と他地域の価格差は収れんしてきており、価格安定化の方向に向かっているとも述べた。

 

■EV販売、新車の半分に

 

EV販売の推移

 

 EV全体については、プラグインハイブリッド車(PHV)を含めた2024年の世界の販売台数は、前年(1400万台)に比べ2割超多い約1700万台になると予想した。新車の5台に1台以上がEVかPHVになる計算となる。2035年には、EVが世界の新車販売の5割超を占めるとみている。

 

プレスリリース(英語):The world’s electric car fleet continues to grow strongly, with 2024 sales set to reach 17 million - News - IEA

 

 

(IR Universe Kure)

 

 

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