山一電機(6941)24/3期WEB説明会メモ ややポジティブ継続
24/3期22.5%減収67.9%営利減も計画比利益上振れ25/3期はTS回復で営利2.6倍予想
株価3270円(5/15) 時価総額 714億円 発行済株21,829千株
PER(25/3期DO予11.2X)PBR(1.34X) 配当(25/3DO予)87円 配当利回り:2.7%
要約
・24/3期22.5%減収67.9%営利減も計画比利益上振れ
・25/3期は上期TS事業でスマホ向けが寄与26.3%増収、営利2.55倍予想も下期増額期待
・新中計で26/3期に売上高500億円、営業利益100億円を目指すが超過達成期待
半導体テストソケット、高速光通信トランシーバ用コネクタなどを中心に事業展開。24/3期決算が5/14に開示され、同日WEB説明会が実施された。24/3期は売上高364.23億円(11/7修正予想比20.17億円未達、27.1%減)、営業利益29.33億円(同0.33億円増額、67.9%減)、経常利益29.14億円(同0.64億円増額、69.2%減)、税引利益20.60億円(同0.60億円増額、71.4%減)と大幅売上減額ながら、利益は計画線を確保した。
事業別にテストソリューション事業(TS)は売上高158.41億円(同12.59億円未達、34.5%減)、営利18.45億円(同1.45億円増額、74.0%減)に。テスト用ソケッ卜がクアルコム向け中心にスマホ向けが失速。バーンインソケットはロジック向けが車載向けに堅調に推移もメグラフ, 折れ線グラフ
自動的に生成された説明モリ向けが3DNANDの落ち込み、DRAM向けもサーバー需要が低調で減少。利益面では減収影響が直撃、しかもテストソケットの伸び悩み、MIX悪化で営利率が2.8ポイント低下し26.5%となり大幅減益に。同社製品は先端向けが多く、またバーンインテストではメモリ向けでシェアが高いだけに、半導体製造装置大手が中国向け需要拡大で収益を稼ぎ出したようなインパクトが無かった。またHBMについてはバーンインテストを行わないとのことでHBM特需もなかったことで落ち込みが大きかった。
但し、四半期推移ではQ1をボトムにバーンインでロジック向けが車載向けの好調から期を追って上昇、一方、メモリ向けは3DNANDの低迷が厳しくQ4も低迷が続いた。テストソケットではクアルコムの24年モデル向けの寄与があり、Q3ボトムにQ4が回復、利益面ではQ4でMIX良化から営利は増額着地に。
コネクタソリューション事業(CS)は売上高192.29億円(同7.71億円未達、5.5%減)営利9.29億円(同1.51億円未達、43.0%減)に。FA関連がシーメンスを中心にCNC装置向けやPLC向けなどFA向けが不振、車載向けではテスラ向けカードロック機能コネクタなどが拡大し堅調に推移、通信向けは米国での在庫調整が長引き低迷した。利益面では高収益の通信向けが減少、加えて産機向けの減額も影響、新工場立上げ諸費用増も有り、MIX悪化で利益も未達に。
全体を通じ、高機能スマホ需要の低迷、サーバー需要の伸び悩みでテストソリューションの大幅低迷、コネクタソリューションも景気減退でFAの伸び悩み、サーバー需要の低迷によるサーバー向け高速光電装用トランシーバの減退などで収益大幅低迷に。
25/3期は上期TS事業でスマホ向けが寄与26.3%増収、営利2.55倍予想も下期増額期待
25/3期会社予想は売上高460億円(26.3%増)、営利75億円(2.55倍)、経常利益72億円(2.47倍)、税引利益50億円(2.40倍)予想とした。TS事業は上期にスマホの新モデル向けが季節性もありテストソケットが拡大、バーンインではロジックで車載向けが引続き好調維持、メモリもDRAMがDDR5向け等に拡大見通しで、3DNAND向けは低調ながらキオクシアも黒字化しており下期にはボトム脱出が見込まれ、MIX良化で大幅な収益回復見通しに。CS事業は車載向け堅調も、上期は通信、FA向けの不振が続き、下期には通信がサーバー需要の回復などで拡大、FAもボトム確認し、下期回復を見込む。
現状、上期はほぼ固まった数字の様で、下期は半導体でスマホ向けの季節性はあるものの、半導体需要の本格回復、とりわけサーバー需要の盛り上がりなどでDDR-5向けが本格寄与する他、次世代メモリ向け(非HBM)、NANDでも次世代モデルの投入が始まるとみられ、下期に増額が見込まれる。なお現在HBMではバーンインテストは行われていないが、新世代でより信頼性を求められる場合にバーンインテストを実施する可能性がある。特にHBMで遅れを取っている同社主力ユーザーのマイクロンはバーンインテストを実行する可能性もあり得るため、バーンイン実施となればメモリバーンインテストで高いシェアを有するだけに大きなインパクトとなろう。またコネクタ事業も、従来のサーバー向けに加え、より高速伝送を必要とするAIサーバー需要の拡大で高速大容量光通信用トランシーバ向けが本格拡大するとみられ、高速光電装用トランシーバ向けで高い技術力を有する主力企業であり、同社の収益性が大きく向上するため、CS事業も収益の上振れが期待される。
新中計で26/3期に売上高500億円、営業利益100億円を目指すが超過達成期待
同社は昨年新中計として26/3期売上高500億円、営業利益100億円目指としていた。現在、中計2年目にあたるが、25/3期は中計計画に対し売上で10億円、営利で9億円未達の予想で推移している。しかし現状、半導体の回復について半期程遅れがあるものの、生成AI等の需要が予想以上に盛り上がりを見せており、下期以降の成長は従来予想を上回るテンポで拡大する可能性がある。また生成AI拡大でAIサーバー需要が急拡大する見通しで、26/3期は改めて最高益更新の期待がかかり、新中計の達成は十分可能と見られる。
株価は同社24/3期が業績不振も利益で増額着地し、5/14の開示で25/3期の収益変化率が高いアナウンスとなった事で株価が高騰、5/15には500円ストップ高となる3270円で引け、2000年来の高値更新となっている。但し、現在25/3期会社予想EPS244.56円に対しPER13.4倍は、プライム電機PER23.2倍に対し、依然として割安感がある。また類似事業を行うヨコオPER16.8倍に対し割安、エンプラスの14.2倍とほぼ同じ水準にある。現状、会社想定に対し下期増額期待があり、しかも円安に推移、収益の上振れが期待され、20年来の高値更新ながら、ややポジティブ継続としたい。なおバーンインテストがHBMで採用となれば改めてポジティブに評価が高まろう。
(H.Mirai)
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