ニュージーランド、2035年までに鉱物輸出額を倍増へ 戦略草案を発表
ニュージーランド政府は5月23日、ホームページ上で、2040年までの鉱物分野の戦略草案を発表した。2035年までに鉱物輸出額を2億ドル規模と、2022年の10億3000万ドルから倍増させることを目指す。
■7月まで草案に意見を募集
プレスリリース(英語): Government sets out vision for minerals future | Beehive.govt.nz
7月31日を締め切りとして草案への意見を受け付ける。同国のシェーン・ジョーンズ資源相は発表資料中で、「鉱物セクターはニュージーランド経済の小さいながらも生産的な部分だ」とし、2022年に5000人程度が鉱業分野で直接雇用されていると指摘した。さらに、ジョーンズ氏は別に同日発表された鉱業分野に関するスピーチで、2040年までの鉱業分野の同氏のビジョンとして、下記の目標を達成していることを目指すとした。
- 鉱物埋蔵量を活用してすべてのニュージーランド人に利益をもたらし、富の基盤を拡大
- 輸入鉱物・鉱物製品への依存度を低減
- グローバルな鉱物サプライチェーンへの貢献を強化
スピーチ全文(英語):New Zealand’s minerals future | Beehive.govt.nz
■金など生産も規模小さく
JOGMECによると、ニュージーランドで生産される主な鉱物は石炭、金、銀、チタン磁鉄鉱の砂鉄。中でも金の生産が多く、グローバルノートの2024年版のデータでは年間5800kg程度を生産する。ただ、それでも世界50位の規模で、世界的に見て大きくはない。ジョーンズ氏によれば採掘の歴史自体は古く、欧州からの入植以前にマウリ族による黒曜石などの採掘が行われていた。
ニュージーランドの地質と鉱物生産状況
(出所:JOGMEC)
世界的な脱炭素の流れに伴う重要鉱物ブームに乗って、ニュージーランドでも鉱業重視の姿勢が打ち出された格好だ。ただ、埋蔵資源の規模は小さく、外資による投資を含む産業規模も隣のオーストラリアなどに比べ見劣りがする。しかも、ニュージーランドの2023年の実質国内総生産(GDP)の伸び率は前年比0.6%成長とほぼ横ばい。鉱業分野にどれだけ注力できるか、余力も乏しいのが現状だ。
ニュージーランドのGDP推移
(出所:ニュージーランド統計局)
(IR Universe Kure)
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