循環型社会構築に向け事業整備などを国に要望、鉱業政策促進懇談会
今年度の第1回目となる鉱業政策促進懇談会(会長=佐竹敬久・秋田県知事)が17日、東京都内のホテルで開かれた。非鉄製錬8社の代表らが出席するなか、鉱業政策を確立するための国への要望書が、全会一致で採択された。循環型社会構築に向けた事業環境の整備などを求めることなどが主な柱。同日午後にさっそく、関係省庁に要望書が手渡された。
東京都千代田区のホテルで開かれた鉱業政策促進懇談会
同懇談会は1977年に発足。年に2回ほど開き、地方自治体や労働組合、業界の3者が一体となり、鉱業政策促進のために関係先に要請を行ってきた。「三位一体の要請活動」(関口明・日本鉱業協会会長)は、他の産業には例がほとんどないという。
今回の会合では、事務局を務める日本鉱業協会側から要望書案が示され、参加した主要企業の代表らに諮られた。約10人の出席者らからは異論は出ず、全会一致で採択された。要望先は、経済産業省と財務省のほか、環境省も含む。この日午後に、代表団が省庁を回り、各省幹部らに要望書を手渡すなどして、政策への反映を求めた。
非鉄金属製錬業は、国際情勢のあおりを受けて化石燃料などが高騰し、電気料金が高止まっているため、製錬コストの負担が増加したり、脱炭素化の推進が求められたりするなど、多くの課題が継続したままで、厳しい事業下にある。さらに、世界的な地政学リスクが拡大し、資源ナショナリズムの高まりなどで、資源・エネルギーの供給懸念や経済安全保障への対応が不可欠になっており、非鉄金属の安定供給確保はこれまで以上に重要性が増しているとされる。
要望書では、最重点項目として、資源確保のための支援策の強化と低廉・安定的な電力供給の確保、循環型社会構築に向けた事業環境の整備の3つの柱が掲げられた。日本鉱業協会の関口会長(DOWAホールディングス社長)は、「非鉄金属は、DX(デジタルトランスフォーメーション)やGX(グリーントランフォーメーション)といった資源循環型の実現に必要不可欠な素材だ」と指摘。加えて「経済安全保障の観点では、ますます加速する電動化の動きは資源確保の重要性をかつてないほどに高めている」と説明した。
さらに、税制面において、新規の探鉱の継続などで多額の投資が必要となる鉱山開発などで資金確保を円滑にさせるための減耗控除制度は2年ごとに更新されており、今年度末に適用期限を迎えるという。そのため、この制度の延長も強く訴えかけていくという。
エネルギー面では、地熱エネルギーといった再生可能エネルギー導入のための支援も引き続き求めていくほか、リチウムイオンバッテリーのさらなる技術開発支援も訴えていくという。
また、関口会長は「製造業などの動脈産業と、リサイクル業などの静脈産業とを有機的に連携させ、東南アジアをはじめとした、国際的な枠組みを強化し、リサイクル原料が円滑に循環することが必要。手続きの簡素化なども求めていく」と語った。
(IRuniverse Kogure)
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