ペロブスカイト太陽電池開発を支援、東京都が助成
東京都は、日本発の技術である次世代型ソーラーセル「ぺロブスカイト太陽電池」の実用化に向けて、開発事業者の支援を始めた。都は、2023年度からリコーといった開発企業4社などと協定を結び、都の下水処理場や庁舎を、この太陽電池の実証の場所地として活用してもらう取り組みを進めてきたが、電池開発自体に資金的な援助をするのは初めてになる。
ペロブスカイト太陽電池は、通常の普及したシリコン系と比べて、高い競争力が期待され、太陽光パネルのさらなる普及に大きく貢献するとされている。
「薄くて、軽く、曲がるなどフレキシブル」であるため、設置対象の場所の範囲が広がることが大きな利点だ。ほかにも、製造技術開発によって大量生産、製造コストの低下の可能性があり、また、日本発の技術であることに加えて、主原料のヨウ素について、世界産出量の約30%が、千葉県など国内産というメリットがある。
こうした利点に着目し、東京都では、開発事業者が行う実証事業の一部を助成し、社会実装の加速化を図ることにした。東京都気候変動部によると、国内でペロブスカイト太陽電池を開発している事業者は10社程度あるという。
東京都は、30年には、再生可能エネルギー電力割合を50%にすることを目標に掲げている。今回の助成制度について、都気候変動対策部計画課の担当者は「特に都心部は、普通の太陽光パネルを設置する場所が少ない。屋根設置を推進しているが、住宅以外で、商業用ビルなどの屋上部分でも検討しているが、すでに機器や室外機など設置されていて、なかなかスペースが確保できないことが課題になっている」とし、ペロブスカイトが普及すれば、「ビルの壁のほか、これまで重くて乗せられなかった屋根や、学校の体育館などでも設置できる。再エネ電力の大量導入の解決策として期待している」と話す。
今回の助成対象について具体的な要件は、東京都内でぺロブスカイトの普及に向けた課題抽出や効果検証などを行う事業者で、その後の成果を引き続き都内で活用して、さらに都内での早期社会実装に向けて取り組む計画であることが条件になる。
調査・設計費、設備費、工事費などの経費のうち3分の2を補助し、4000万円を上限に助成する。予算額は計1億2000万円を確保し、25年3月末まで申請を受け付けるが、予算額に達し次第、募集を終える。申請受付の窓口は、東京都環境公社・東京都地球温暖化防止活動推進センター(03・6258・5313)。
(IRuniverse Kogure)
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