シナネングループ、系統用蓄電池事業に参入へ

シナネングループが導入する大規模蓄電池のイメージ
エネルギーソリューションを提供するシナネンホールディングス(東京都品川区)が、電力に関連する事業の一環として、系統用蓄電池事業に参入する。事業会社のシナネン(同)が、グループの遊休地を活用し、大規模な蓄電池を設置。電力系統とつなぎ、2025年7月にも運転を始めて、電力市場などから調達した電力を蓄電する。電力市場などでの取引を通じて、再生可能エネルギーの有効活用や、系統の調整力として貢献させる。
参入について、シナネン経営企画部は、「脱炭素を進めていくなかで、電力は貯めることができず、安値で買って高値で売ることなどがやりにくかった。主力事業の石油のように在庫を持ち、価格の高低を考慮して取引することで、利益を出していくことができる」と語る。今後、導入する蓄電池を拡大させていきたい考えだ。
今回は、東京都が、エネルギーの安定確保に向け、蓄電池導入を加速させる取り組みとして実施した助成制度を、シナネンが活用した。子会社の店舗敷地内の遊休地(千葉県旭市)に容量5・3MWhの大規模なリチウムイオン蓄電池を設置。東京電力管内の系統に直接接続する。25年2月にも着工する計画だ。蓄電池は、伊藤忠商事から提供を受ける。
所有する太陽光発電所で発電した電力の蓄電はせず、卸電力市場から調達した電力を蓄電して充電。供給量が足りない場合などに電力を放出するなどして活用する。事業は、シナネンで再エネビジネスを展開しているスマートエネルギー開発部が担う。
シナネングループは、もともとは固形燃料の製造、販売会社として創業。近年では、電力や再エネ事業にもウイングを広げてきた。電力小売りではブランド「シナネンでんき」を立ち上げて参入し、法人や個人に再エネ電力などを供給している。また、全国7か所にわたって太陽光発電所を設置し、稼働させている。
こうした取り組みで、主力の石油・ガス事業以外でも、電力小売りの電力事業や、太陽光発電を中心とした再エネ事業などが拡大。売り上げの2割程度を占めるまでに成長しているという。
(IRuniverse Kogure)
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