双日、JOGMECと豪Alcoaのガリウム生産に向けた調査開始
8月4日、双日株式会社(以下「双日」)は独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構(以下「JOGMEC」)と、豪州におけるガリウム生産に向けた共同調査を行うための合弁会社である Japan Australia Gallium Associates Pty Ltd を通じて、世界最大級のアルミナ生産者である米国 Alcoa Corporation 傘下の豪州法人である Alcoa of Australia Limited(以下「Alcoa」)と、西豪州に所在するAlcoaのアルミナ精錬所(稼働中)におけるガリウム生産に関する共同調査(以下「本事業」)契約を締結したと発表した。今後、共同で事業化調査と検証を進め、2025年末までに最終投資判断を行う予定だ。事業化する場合、2026年の生産開始と安定供給を目指していくとの事だ。なお、双日は、生産したガリウムを日本を中心とした需要国へ販売していく予定である。
ガリウムは、日本政府をはじめ、豪州・米国・欧州などにおいて重要鉱物の一つに定められている。また、LED、太陽光発電セル、そして化合物半導体の材料など幅広い用途で使用されている。今後、半導体需要の伸びにけん引される形で全世界で需要増が見込まれている。
【ガリウム生産設備 建設候補地の Alcoa のアルミナ精錬所 Wagerup (左) と Pinjarra。(西豪州パースの南部)】
ガリウムは自然界で単体鉱石としては存在せず、ボーキサイトや亜鉛鉱石などに微量に含まれる元素であり、アルミナや亜鉛への精製過程で副産物として分離・回収する方法が一般的だ。本事業は、ガリウムの安定調達先の確保に取り組むJOGMECと、1980年よりアルミナ精製事業に携わる双日が合弁会社を設立し、Alcoaとともに、西豪州で稼働中のいずれかのアルミナ精錬所でガリウムを副産物として生産する設備を共同開発し、長期かつ安定的な供給を目指すものであるという。
双日の金属・資源分野においては、カーボンニュートラル社会実現、新興国の成長支援の他、デジタル化の進展に伴い、今後ますます必要とされる半導体や電池材料向け重要鉱物・資源確保といった社会ニーズをとらえ、中長期にわたって安定的な資源の供給体制を構築していくとの事である。
(IRuniverse Ryuji Ichimura)
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