エンビプロ24年6月期、トレーディング事業好調もレアメタル相場低迷で増収減益

エンビプロ・ホールディングスは9日、2024年6月期決算短信を発表した。資源循環事業やグローバルトレーディング事業が好調で全体をけん引したものの、レアメタルの相場低迷の影響を受けたリチウムイオン電池リサイクル事業の減益が響き、増収減益で着地した。
売上高は前期比6.1%増の522億1400万円、営業利益は8.6%減の14億900万円、経常利益は6.3%減の17億8200万円、親会社株主に帰属する当期純利益は56.5 %減の5億3700万円となった。
資源循環事業の売上高は12.7%増の212億5400万円、セグメント利益は3.6%増の16億2100万円。高度選別工場の稼働に伴うコスト増や待遇改善による人件費の増加が利益を圧迫した一方、日東化工株式会社のグループ化、焼却灰の回収量増加に伴う金銀滓回収量の増加、好調な片付け・解体工事が利益に貢献した。
同様に、グローバルトレーディング事業も好調を維持し、売上高は1.4%増の349億5500万円、セグメント利益は86.5%増の4億1100万円(前期比)となった。リサイクル資源流通部門では国内販売強化や機動的な営業活動で出荷量が増加し、為替の影響も後押しし増収増益となった。しかし、製鋼原料における輸出環境は依然として厳しい状況が続くものと想定され、予断を許さない状況だ。物流代行サービス部門でも大量仕入れによるコスト減や通関業の内製化によるコストダウンが功を奏した。
リチウムイオン電池リサイクル事業は電池材料の需要が軟調に推移する中で積極的な営業により取扱量を増加させたものの。電池材料であるレアメタルの需給が緩和したことで相場が低迷。売上高が4.0%減の15億7000万円(前期比)、セグメント利益は62.0%減の21億800万円となった。
次期(25年6月期)の業績予想は、売上高が2.5%増の535億円、営業利益が6.4%増の15億円、経常利益が12.2%増の20億円(前期比)、純利益が175.4%増の14億8000万円。グローバルトレーディング事業では、金属スクラップの国内高、海外安が継続することを前提に、貿易商材や国内商流の拡大を図る。資源循環事業での組織統合に伴う集荷力の強化も予想値の達成への重要なポイントとなりそうだ。
(IRuniverse K.Kuribara)
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