アミタ マレーシアで資源循環・脱炭素化支援拡大、未利用バイオマス利活用調査・開発加速
アミタグループが9月10日に発表したところによると、9月2日、アミタの海外事業統括会社であるAMITA CIRCULAR DESIGN SDN. BHD.(以下、ACD)は、マレーシア政府系企業であるUEM Lestra Berhadの子会社で、再生可能エネルギー関連の事業を行うCenergi SEA Berhad(以下、Cenergi社)と「戦略的業務提携に関する基本合意書」を締結したと発表した。
同合意に基づき、両社は共同で、マレーシア国内における未利用バイオマス資源の利活用事業に関する事業性調査及び事業モデル開発を行う。具体的には、パーム油の製造工程で排出されるempty fruit bunch(パーム椰子房から果実を取り出した後に残る繊維状の房(以下、EFB))等を代替燃料として、マレーシア現地企業や日本国内に供給する事業モデルを検討する。これにより、ACDとナザグループによる合弁会社のAMITA BERJAYA SDN. BHD.が同国において展開する100%再資源化事業の拡大に寄与するとともに、石炭などの天然資源からバイオマス資源へとエネルギー転換を促し、顧客企業における脱炭素化支援を目指す。
<締結式の様子>
1. 本合意の概要
事業性調査を進めるにあたりACDは、マレーシアでバイオマスを含む再生可能エネルギー事業等を行うCenergi社との基本合意を締結した。Cenergi社は、パーム油生産企業との連携などを通じて、パーム搾油工場で排出される廃液からメタンガスを回収・発電する事業を展開し、同事業はマレーシア国内で12.8%の最大シェアを占めている。
ACDとCenergi社は同合意に基づき、初期検討事業として、EFBを化石燃料の代替として利活用する事業に関する事業性調査および事業モデルの開発を行う。バイオマス燃料の世界的な市場規模は、近年の再生可能エネルギーに対するニーズの高まりも後押しし、2024年には約1,760億米ドル、2030年には約2,440億米ドルに達すると予測されている。ACDは、石炭などの天然資源の利用からバイオマス資源を活用した代替燃料へとエネルギー転換を促し、企業の脱炭素化を推進する。
<取り組み内容>
・EFBをはじめとする未利用バイオマス資源に関する市場性調査
・EFBブリケット(固形燃料)製造工場の共同出資に関する調査・検討
2. 背景
マレーシア政府は2050年までの脱炭素化を目標に掲げ、第12次マレーシア計画では、2030年までに2005年比で45%の温室効果ガス排出量削減を目指している。実現に向けた「エネルギー転換ロードマップ」では、6つの重点分野の一つにバイオエネルギーを定め、2050年までにバイオ燃料の生産可能容量を35億リットルまで、バイオマスおよびバイオガス発電容量を1.4ギガワットまで増量する目標を掲げている。また、周辺国のシンガポールでは2019年に、タイでは2025年に炭素税の導入が決定され、マレーシアにおいても今後2030年までを目途に、導入が進むといわれている。
現地企業の脱炭素化が重要課題になるとともに、パーム油の生産量で世界第2位を誇るマレーシアでは、副産物であるEFBが年間約1,900万トン発生しており(世界1位:インドネシア)、その多くが、素材の硬さや成分の問題により、未利用・低利用のまま農園に放置されている。
ACDは、マレーシアにおける企業の脱炭素化およびバイオマス燃料の需要拡大とEFBの大量発生という背景を踏まえ、EFBをはじめとする未利用バイオマス資源の包括的な利活用事業の事業性調査・開発に取り組む。
3. 今後の展望
2~3年以内を目途に、マレーシアで未利用バイオマス資源の包括的な利活用事業の確立を目指す。また、同国と同様の課題を抱えるインドネシアへの水平展開を視野に調査・検討を進める。さらに、同調査・開発をきっかけに、アミタグループが日本で展開する脱炭素およびサーキュラーエコノミーに向けた循環型ビジネスの創出を支援するCyano Projectなど、持続可能な企業経営や地域運営を支援する、社会デザイン事業の海外展開を加速する。
4. ACDについて
ACDは2017年にマレーシアで、セメント産業向けの代替原料・燃料を製造・供給する100%再資源化事業を開始した。2024年6月からは、アミタグループが日本で開発・展開を進めるMEGURU STATION®(互助共助コミュニティ型資源回収ステーション)の実証実験を現地大学と共同で開始している。
(IR universe rr)
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