鹿嶋 廃棄されるプラスチック梱包材を土のう袋に再生利用
建設現場でのサーキュラーエコノミー実現に向けた取組み
鹿島(社長:天野裕正)は、9月17日、萩原工業株式会社(社長:浅野和志)、J&T環境株式会社(社長:長谷場洋之、横浜市鶴見区、JFEエンジニアリンググループ)と共同で、建設現場で廃棄される使用済みのプラスチック梱包材を、土のう袋の材料として再生利用できることを実証したと発表した。土のう袋のようなフラットヤーン製品(合成樹脂繊維製品)は、一度使用して回収した材料(ポストコンシューマ材料)を用いて再生することが技術的に困難であったが、同実証では、鹿島の建設現場で分別・回収した使用済みプラスチック梱包材を用いて5万枚の土のう袋を連続的に製造できることを確認したという。
リサイクルシステムのスキーム
【リサイクルシステム構築の背景】
資源循環の観点から、建設現場における使用済みプラスチックの効果的・効率的なリサイクルシステムが求められている。建設現場では、梱包材など日々様々な使用済みプラスチックが発生、それらの一部は再生原料化(マテリアルリサイクル)されるが、その場合、汚れの付着が原因で原料としての品質が悪くなることが多く、その用途は限定的だった。資材を保護するプラスチック梱包材は、開梱後の比較的きれいな状態であっても、他の使用済みプラスチック類と一緒に回収され、焼却処理されることがほとんど。このため、建設分野における使用済みプラスチックのマテリアルリサイクルは進んでいなかった。
これを受け、環境問題への取組みに積極的な3社が連携して、使用済みプラスチック梱包材から、建設現場で用いられる土のう袋へと再生するリサイクルシステムの構築を目指し、共同実証を行うこととなった。
【リサイクルシステムの実証】
鹿島の都内にある特定の建築現場で、使用済みプラスチック梱包材のみを分別・回収した後、それをJ&T環境が再生ペレット化し、萩原工業が再生ペレット15%、バージン材(ポリエチレン樹脂)85%の比率で混ぜ、土のう袋を5万枚連続的に製造。これまで焼却処理されていたプラスチック梱包材をリサイクルすることで、バージン材の使用量を減らすことができた。
土のう袋などのフラットヤーン製品は、再生原料を用いる一般的なプラスチック成型品に比べて部材厚が非常に薄いため、製造時に粒子径で数十μm程度の異物まで除去する必要がある。同実証では、J&T環境および萩原工業が有する高度な洗浄・ろ過技術を用いて異物を除去することで、ポストコンシューマ材料を利用した土のう袋を連続生産できることを確認。なお、リサイクル材はバージン材に比べて強度が小さいため、本実証では再生原料に加えてバージン材を利用して製造したという。
この実証で製造した土のう袋は、鹿島の全国の土木・建築現場で試適用し、品質を確認する予定。
【今後の展開】
3社は引き続き、建設現場で発生する使用済みプラスチックのリサイクルを進めるべく、再生材を活用した製品を研究していく。さらに、原料のバージン材から再生材への転換を促進し、サーキュラーエコノミー実現に向けた取組みを、さらに強化していくという。
(IR universe rr)
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