アジアン廃プラマーケットレポート2024年9月② 輸送コスト低減は市場の活性化に繋がるか
コンテナ運送料の高騰が抑えられ、その影響が材料価格にも現れはじめている昨今。リサイクル材料は物によって市場の様相がまちまちである中、プラスチックに関しては特にリサイクル材料について苦境に立たされている状況だ。以下の内容は中国のFukutomi Co Ltd 代表であり、中国の再生プラスチック協会の理事長でもあるSteve Wong氏のレポートをもとに作成した。
(原油および樹脂材料相場の推移)*原油はUS$、他はトン当たり人民元価格)
プライムバージン価格は、中国の主要なバージンポリマー・ウェブサイトから取得
人民元(RMB)表示、消費税込み、為替レートは1米ドル=7.0972中国円。
(NY原油(WTI)の推移 US$/burrel)
主要材料:米国の金利引き下げの可能性によって、世界的な需要と価格が押し上げられている。その一方で、原油価格の下落が主要材料の原料コストを低下させている。40フィートコンテナあたりの運送料が9,000ドルから5,500ドルに引き下げられたことで、中国から西洋諸国への輸出が可能になり、中国国内市場の価格は安定に向かったが、それが同時に世界的な価格に影響を与えている。中国の生産能力は年間2億5,000万トンを超え、世界需要の65%以上を占めている。現在の価格は、外国からの注文と停滞中の中国国内需要によって左右されており、主要価格のほとんどが過去2週間で5%の範囲内で変動している。特に、PETの価格は6,800元から6,300元に下落している。
リサイクル材料:中国市場はデフレの兆候が見られ、依然として悲観的な傾向にある。リサイクルABSの価格は、下流の注文量の低迷により1トンあたり200元下落している。小型家電向けのリサイクルHIPSペレットも下落傾向にあるが、リサイクルPMMA、POM、PA、PCペレットについては品質が良好なものであれば市場のニーズは依然として強く存在する。リサイクルPEやPPは不振で、リサイクル業者は東南アジアや西洋市場の持続可能性プログラムによる価格や需要の変動に焦点を合わせている。FDA承認の牛乳ボトルから作られたリサイクルPETおよびHDPEのPCRナチュラルは、米国で1トンあたり2,000ドル以上で取引されている。
スクラッププラスチック: 混合硬質プラスチック(MRP)などの低グレードのプラスチックは、アジアの港でCIF価格1トンあたり120ドルで販売されており、資源回収施設(MRF)からのグレードCのフレコンやポリ袋は1トンあたり80ドル以下で取引されている。自動車メーカーからの混合樹脂やランナー、回収率が50%未満のその他の材料は、需要の弱さから市場を見つけるのに苦労している。リサイクル業者は販売価格の低迷と生産コストの上昇に直面しており、収益性のある材料を確保するのが難しい状況だ。リサイクル業界の将来は依然として不透明な様相となっている。
(PET(アジア市場取引価格 US$/ton)とPC(ポリカーボネート JPY/kg)の推移 年間)
(IRUNIVERSE/MIRU)
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