旭化成株式会社（本社：東京都千代田区、社長：工藤 幸四郎）は、高純度エチレンカーボネート（EC）および高純度ジメチルカーボネート（DMC）を技術ライセンスしたJiangsu Sailboat Petrochemical Co., Ltd.（本社：中華人民共和国・江蘇省連雲港市）の新プラントが、2024年11月に中華人民共和国・江蘇省連雲港市で商業運転を開始したと発表した。

 

　これらの高純度カーボネートは、電気自動車（EV）用リチウムイオン電池（LIB）の電解液溶剤に用いられており、このたびの二酸化炭素（CO2）を主原料とする大型高純度カーボネート類生産技術の確立とその工場の稼働は、CO2を化学製品の原料として消費する機会を大きく広げることができる。

 

高純度ECおよび高純度DMCの新ライセンスプラント

 

１．背景

　昨今、LIBは自動車産業のEVへの世界的なシフトや電力貯蔵システム（ESS）の増加が見込まれており、さらなる需要拡大が予想されている。また地球温暖化対策の観点から、LIBの主要構成要素にもCFP※1が低い環境に配慮した設計が求められている。

 

２．高純度カーボネート類製造技術のライセンス

　同ライセンス技術は、原料の約50%がCO2であり、年間数万トンのCO2を消費・吸収する技術として世界中から注目されている。

 

高純度カーボネート類製造技術プロセス図

 

　旭化成とSailboatは、年間10.8万トンの高純度ECおよび高純度DMC製造技術のライセンス契約を2021年9月に締結し、共同でプラントの設計・建設、試運転を進め、2024年11月にライセンス契約における検収運転を終了し、商業運転を開始した。このプラントは年間5.4万トンのCO2を原料として消費する。

 

３．両社のコメント

【Sailboat】カーボネート（ＥＣ・ＤＭＣ）プロジェクト総責任者　許 加楽

「Sailboatは、LIB用電解液溶剤の高純度ECおよび高純度DMC生産によって、LIBの新材料産業チェーンを更に拡大し、持続可能な社会に貢献していきます。」

 

【旭化成】常務執行役員　環境ソリューション事業本部長　松山 博圭

「旭化成は、2020年よりLIB用電解液溶剤として使用される高純度ECおよび高純度DMCを、CO2を原料として生産する技術をライセンスしています。今後もCO2ケミストリーの実用化に注力し、世界の環境課題に対するソリューションを提供することで持続可能な社会に貢献していきます。」

 

 

　今回のカーボネート類電解液原料生産技術のライセンス実績と、2004年 から行っているCO2を原料とするポリカーボネート生産技術のライセンス実績を合わせると、同社の技術によって毎年30万トンのCO2を原料として消費しており、CO2排出量の削減に貢献している。同社は、今後もCO2排出量の削減に大きく寄与する技術を世界に広めていくことで、持続可能な社会への転換に貢献していく。

 

※1　CFP： Carbon Footprint of Productの略語。製品やサービスの原材料調達から廃棄、リサイクルに⾄るまでのライフサイクル全体を通して排出される GHG の排出量を CO2 排出量に換算し、製品に表⽰された数値もしくはそれを表⽰する仕組み。

 

＜参考＞

■Sailboatについて

　Sailboat社は盛虹ホールディンググループの100%出資子会社として2010年に創業し、ハイエンド石油化学品を製造しています。

盛虹ホールディンググループは1992年に創業し、石油精製、新エネルギー、新材料、ハイエンド繊維の全産業チェーンを統合的に開発している国際的なハイテク産業グループです。2024年のグローバルフォーチューン500で第171位、中国企業トップ500で第48位。

 

■ライセンス契約の概要

(1)対象製品・生産能力：高純度EC3.8万トン/年と高純度DMC7万トン/年

(2)供与するライセンス権：中国における非独占的製造権および全世界への非独占的販売権

(3)原料CO2消費量：年間約5.4万トン

 

■同社技術ライセンス事業ホームページhttps://www.asahi-kasei.co.jp/tlb/

 

 

（IR universe rr）

 

 

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