新着情報

2025/08/01   日本製鉄:26/3...
2025/08/01   日本製鉄: AM/...
2025/08/01   2025年7月LM...
2025/08/01   黒崎播磨:親会社で...
2025/08/01   2025年 7月L...
2025/08/01   合同製鐵:26/3...
2025/08/01   2025年7月LM...
2025/08/01   NEDO CO2分...
2025/08/01   (速報)2025年...
2025/08/01   東邦チタニウム:2...
2025/08/01   (株)タケエイでん...
2025/08/01   富士電機と三菱ガス...
2025/08/01   2025年7月LM...
2025/08/01   2025年度第2/...
2025/08/01   2025年7月LM...
2025/08/01   アルミ合金&スクラ...
2025/08/01   二次電池輸出入Re...
2025/08/01   炭酸リチウム輸入R...
2025/08/01   水酸化リチウム輸入...
2025/08/01   酸化コバルト輸入R...

ヨーロッパのプラスチックリサイクル業界が直面する厳しい状況

 ヨーロッパのプラスチックリサイクル業界は現在、大きな挑戦に直面している。ヨーロッパ市場におけるプラスチック(バージンプラスチックおよびリサイクルプラスチック)の需要減少、リサイクルコストの上昇、そして安価なバージンおよびリサイクルプラスチックがヨーロッパ市場に流入していることにより、現地のリサイクル企業が深刻な課題を抱えている。

 

 プラスチックリサイクラー欧州協会(Plastics Recycler Europe, PRE)が最近発表した業界年次報告書によると、2023年のプラスチックリサイクル業界における全体的なインストール済みプラスチックリサイクル能力(Installed Plastics Recycling Capacity、以下は「リサイクル能力」)、種類別・国別のデータ、そして過去数年間の変化を基に、EU27+3のプラスチックリサイクル業界の現状が分析されている。報告書では、ヨーロッパのプラスチックリサイクル業界の発展が厳しい状況にあり、EU当局による規制や強制的な介入が急務であると指摘されている。

 

 PREの報告によると、2023年のEU27+3には約850社のプラスチックリサイクル企業が存在し、リサイクル能力は1320万トンに達した。2022年と比較して6%の増加となったものの、成長率は大幅に鈍化している。以下のグラフは2017年から2023年にかけてのEU27+3におけるプラスチックリサイクル能力の変化を示しているが、2021年の17%2022年の10%と比べ、2023年の6%という成長率は決して楽観視できるものではない。

 

(データソース:Plastics Recycling Industry Figures 2023*)

 

 業界全体の売上高は2022年比で12.5%減少し、わずか9.1億ユーロにとどまった。また、新規投資額は2022年の1億ユーロから5,000万ユーロにまで減少した。

 

 報告書は次のように述べている。「市場需要の低迷、高騰する電気コスト、バージンプラスチックや輸入プラスチックに対するリサイクルプラスチックの競争力の低さが、ヨーロッパのプラスチックリサイクル業界の発展を阻害する主要な要因である。」

 

国別データ

 

 850社のプラスチックリサイクル企業のうち、スペイン、ドイツ、イタリア、ポーランドの4カ国では、それぞれ100社以上の企業が存在している。しかし、これらの企業の半数以上はインストール済みリサイクル能力が1,000トン未満であり、現在の厳しい市場状況に対応するのが難しい。この能力分布の不均衡は、ヨーロッパ各国のリサイクル基盤や収集・分類システムにおける違いを反映しており、これはヨーロッパ全体が早急に取り組むべき課題となっている。

 

 報告書はまた、2023年の市場状況の悪化とこれらの格差が放置されれば、一部のヨーロッパ諸国はPPWR(Packaging and Packaging Waste Regulation)に規定された目標を達成できないと警告している。

 

種類別データ

 

 2023年のリサイクル能力13.2Mtのうち、最も大きな割合を占めるのはPOフィルム(26%) PET(24%)であった。次いでPPとHDPEが続く。食品包装および敏感接触(Contact Sensitive)材料に関するPPWRの目標により、これらの2つの材料は食品接触用の最適な選択肢として注目されている。

 

 特に注目すべきは、将来新たに設定される可能性のあるリサイクル目標や関連業界の需要の影響を受けて、ELV-WEEE(廃車および廃電子機器)プラスチックのリサイクル能力が2022年比で15%増加したことである。

 

(EU27+3におけるポリマータイプ別インストール済みリサイクル投入能力の割合(%)、データソース: Plastics Recycling Industry Figures 2023*)

 

輸入プラスチックの影響

 

 ヨーロッパ市場に流入する輸入プラスチックは、多くのリサイクル企業や製造業者にとって頭痛の種となっている。一方では、これらの安価な材料に対してヨーロッパの現地企業は価格競争力がない。もう一方では、これらの材料は成分検査が行われておらず、ヨーロッパのリサイクル規範に適合していない場合が多い。この現象はプラスチック業界に限らず、ステンレスなど他の産業でも見られる。

 

 この年次報告書の発表に際し、PREは次のように述べている。「PREは、加盟国およびヨーロッパ機関に対し、EU産業の競争力を確保し、プラスチックリサイクル能力の安定した成長を保証するため、現行法の迅速な施行を求める。」

 

 EU27+3:EU27カ国及びノルウェー、スイスとイギリス3カ国

 

参考文献:

Stagnation in plastic recycling capacities - latest market data shows

European plastics recycling sector faces slew of challenges

Plastics Recycling Industry Figures 2023

 

 

(IRuniverse LIN)

 

 

関連記事

関連記事をもっと見る