2025年4月のタングステン市場は上昇している。中国当局が2月にタングステンを輸出規制の対象に加え、ベンチマークであるAPT価格が約11年ぶりの高値圏に上昇した。中国の鉱石価格やタングステンカーパイト価格も10か月ぶりの高値圏に上げ、中国内外ともに供給ひっ迫感が強まっている。

 

■中国、タングステン輸出6割減　生産も6%減少

　中国税関総署が4月18日に発表した中国の3月の輸出統計月報で、タングステンの輸出量は3月に前年同月比62.8%減り、減少率は2月の51.6％から拡大した。中国当局は2月4日、タングステンなど5品目を輸出規制の対象にした。税関の審査を通過すれば輸出できることになってはいるが、審査基準が不透明で速度も遅く、現実的には輸出は滞っているとみられる。ロイター通信は4月20日、中国の輸出規制により、「レアメタルは世界的な供給規模が歴史的な低水準になっている」と指摘した。

 

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　タングステンは中国国内でも供給ひっ迫懸念が強い。FerroAlloy.netは4月25日のレポートで、「2025年のタングステン鉱石の最初のバッチ(三酸化タングステン含有量65%)の総採掘量は5万8000トンと、前年比6.45%減った」と伝えた。資源枯渇に伴うタングステン鉱石の品質低下と物流コストの増大が国内の供給停滞をもたらしているとされる。

 

■APT、酸化タングステン、フェロタングステンが10年超ぶり高値

　供給ひっ迫懸念を受け、タングステンAPTの国際価格は4月17日に仲値$380/MTUと、2013年12月以来およそ11年4か月ぶりの高値を付けた。3月からの上昇基調が4月に入ってからも続いている。

 

過去3か月間のタングステンAPT価格の推移(EU Free market)($/MTU)

過去15年間のタングステンAPT価格の推移(EU Free market)($/MTU)

 

　APTに追随しやすい酸化タングステンも同じ動きで、やはり2013年12月以来の高値圏にある。4月17日の仲値は$390/MTU。

 

過去3か月間の酸化タングステン価格の推移(Wo3 99.99%min FOB China)($/MTU)

 

　鉄鋼向けのフェロタングステンも値上がりしている。4月24日に仲値$49.5/kgと2014年4月以来11年ぶりの高値圏に上げた。

 

過去3か月間のフェロタングステン価格の推移($/kg)

 

■鉱石やカーパイトは環境査察以来の高値

　鉱石価格は国際価格・中国価格がいずれも中国の環境査察の余波を受けた2024年6月以来の高値水準にある。国際価格は3月6日に付けた$270.5/MTUから高止まりしている。

　一方、中国の鉱石価格は4月24日にRMB14万6500/mtを付けた。3月中旬から下旬にかけて弱含んだが持ち直し、2024年6月以来の高値に戻した。

 

過去3か月間の中国内外のタングステン鉱石価格の推移(WO3 65%) ($/MTU) (RMB/mt)

 

　中国の鉱石価格に連動しやすいタングステンバーとタングステンカーバイドも環境査察以来の高値に上げている。

 

過去3か月間のタングステンバー価格の推移(w-4 99.9% China)($/kg)

過去3ヵ月間の炭化タングステン価格の推移(99.7%min 2.5-7.0um Fob China)($/kg)

 

(IR Universe Kure)

 

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