中国税関総署が8月7日に発表した中国の2025年7月の貿易統計で、7月単月でのレアアース輸出量は5994トンと6月単月の7742トンから23%減った。6月に当局が輸出規制を緩めるとの思惑から輸出が急増した反動が出た可能性がある。
1-7月のレアアース輸出量も前年同期比13.3%増と、増加率は1-6月の11.9%増から拡大した。ただ、レアアース輸出額は人民元の対米ドルでの軟調を受け、前年同期比24.2%減と、1-6月の25.3%減に続きマイナスだった。
■中国当局の姿勢読みづらく
7月は米中のレアアース交渉をめぐる思惑が交錯した。4月の輸出規制開始後、6月の米中首脳の電話会談を機に中国当局が規制を軟化させているとの思惑が広がった。ただ、やはり軍用向けレアアースを中心に実際の輸出が滞っているとの報道もあり、関係者は先が読みづらくなっている。
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一方、1-7月の中国のレアアース輸入額は前年同期比4.1%増と、1-6月の0.4%減から増加に転じた。輸入量は16.8%減で、減少率は1-6月の20.6%減から縮小した。
■8月12日の関税交渉期限控え駆け込み
7月の貿易統計全体では、輸出は前年同月比7.2%増、輸入は4.1%増で982億ドルの貿易黒字だった。輸出の伸びは6月の5.8%増から一段と改善し、輸入も1.1%増だった5月から増加率が拡大した。国別では対米輸出が21.7%減と減少が続いた一方、東南アジア向けなどが伸びて相殺した。米中間は8月12日に関税交渉の期限を控えるため、状況が変化する前にとの思惑から駆け込み貿易が増えたとみられる。
1-7月では輸出が前年同期比6.1%増、輸入が2.7%減で6835億ドルの貿易黒字だった。
(IR Universe Kure)