春も春の4月22日。最高気温は25度を超えた。ようやく着膨れした人を見かけなくなったというのに、電極市場においては、かの企業の連結利益が7倍にも膨れ上がったという。中国需要などの影響で価格も跳ね上がりを見せてきたが、ゴールデンウイークを控えた国内動向やいかに。当日は各方面の精鋭論客が茅場町界隈に集い、不定期の電極座談会を開催した。
→(関連記事)電極覆面座談会2018#冬 高騰シーズンを経て19年の見通し
――昨年沸騰した電極も、細物に関してはだいぶ落ち着いてきた感があります。
A:「18年11月、12月に反転しなかった。HP、SHPは1-3月(19年)下がってきました。新興の電極メーカーが結構出てきたこともある。去年の10月以降、鉄鋼製品価格が下がってきた(米中貿易戦争で)。だから電極は上がることはないと直感的に思っていました。鉄鋼製品価格が下がるということは電極も余ってくるだろう、と見込み。
で、やはり今年に入って、どんどん細物電極は下がってきた。供給増で。中国大手の方大も値段を下げてきた。これはつまり鉄の需要も落ちて、電極も売れなくなってきたからでしょう。
中国の旧正月明けに見積りとったら、1000~1100円(キロ当たり)だった。中国品で。
日本の電極メーカーは1300円だったけれども、これも中国で作っているから、この格差は何なのかな、と。他の中国メーカーは1000円も出てきて、そうこうするうちに800円もでてきた。高いもので800円という相場になった。1年前の1-3月に比べると全く雰囲気は違っている。細物はもう上がることはない、と自分は見ている。
B:「旧正月休みの2月に中国の電炉メーカーの稼働率が20%まで落ちた。だから電極は下がってきた」
C:「おっしゃる通り。年明けでどかんと下がって。石油コークスも下がって電極下がって。12インチの電極は500円も切りました。前年同月比で半値以下ですね」。
A:「もともと300円くらいのものだから(HPは)、正常になってきたんじゃないの?300円なら電極メーカーも赤字にはならないでしょう。HPに関してはかなり正常化してきていると思います」
D:「しかしHP安いからUHPも安いというのは危ない。安いUHPはまがい物が多いですよね。価格は二重構造になっている」
―ということはHPは下がってもUHPは下がってない?
D:「UHP、直近はトン13,000ドルかな?確か?こちらは全然下がってないですね。スクラップ溶解にはUHP電極が必要です」。
A:「日本の電極メーカーはUHP下げたくない。最前線の営業部隊はかなり苦労してるんじゃないかな。会社の方針として下げたくない、という。けど営業マンは困っている。某社とか電極でもうかりたい。もうかれるだけ儲けていきたい。という考えがにじみ出ている」。
―なるほど。。
A:「S社は昔から炭素事業部から社長が出ていた。つまり「黒物」で儲かっていた。しかし、今はやりすぎだと思う。中国が下がったら日本のHPも下がるのが常識だけど、日本の電極メーカー下げてこない」
D:「去年は中国が率先して電極価格を上げていきましたね。しかしGTIは5年契約で紳士的な価格ラインを決めていった。合理的な価格だった。しかし日本の電極メーカーはGTIにのっかっていっただけ。今は中国企業下げてるけど日本のメーカーは下げない。HPも下げない」
B:「GTIの細物は中国OEM品なので、そこそこ下げてるようですね。中国市況に合わせて。」
A:「いっそのこと、日本の電極メーカーは細物やめてもいいんじゃないの?下げられないんだったら。16インチ以下の細物とか」
D:「しかし昔、日本の電極メーカーは一回細物やめたんですよね」。
B:「昭和電工は四川で2万トンのキャパをもっている。電極のデパートという感覚があるのかな。なんでもそろう電極メーカー」
D:「今、日本カーボンとSECは細物作ってない。昭和電工の四川と東海の一部国内で生産しているのみ」。
A:「しかし日本の細物電極の需要はほとんど輸入品(中国品)で賄っている。しかしね、本音いうと国内メーカーに細物作ってもらいたいというのはある。国内メーカーやめたら、中国に支配されるから」
B:「国内の細物が高い理由はキャパシティが決まっているからでしょう。だから下げられない。細物を作るには、細物以外の生産を止めて生産しないといけないし、同じ原料であるなら細い分コストがかかる」
D:「太物電極はGTIと日本しか作ってない。中国も作ってはいるけれど、質が良くない」
→(参照記事)人造黒鉛電極、中国品と日本品は似て非なるもの
B:「今の電極SPOT価格は中国とインド品でしょう。そもそもものが違う。日本は半年~1年契約なので。だけど某証券会社は中国とインド品のSPOT価格でもって市況分析している」
A:「日本でニードルコークスは増産できないの?」
C:「できないみたいですね。。石油系はJXのみ。中国の石油系ニードルコークスは質が悪い。それは中国で手に入る残渣(ニードルコークスの原料)の物性がJXや米国のP66、GTIシードリフトが使用している物と比べて別物だから」
C:「最近の特徴的な変化といえば、もはや細物が下がりすぎて、細物の正規品より太物のスクラップのほうが高いほどです」
A:「そりゃ、もう太物は買えないね。細物つぶしたほうがいいんじゃないの?(笑)」
A:「突っ込んでいうと、日本の電極メーカーも反省してもらいたい。というのも製品価格(鉄鋼、ステンレス特殊鋼など)上がってないのに、電極だけ上がるという歪な構造はよろしくない。製造現場は汗流していい製品を作っている。しかし電極メーカーとの現場ワーカーの不平等格差が広がっているように感じる」。
B:「しかし難しいですよね。電極は冬の時代が長すぎた。設備を廃棄し、人を切り、ワーカーは意気消沈。そこへやっと春が来たという感じでしょう」
C:「そうですね、昔の電極メーカーは大変でしたね。同じように冬の時代を過ごしてきた耐火物メーカーはみんな中国に行ってひどいことになってる。日本国内では採算合わないことになって、みんな中国に行ったんだけど、マグネシアがどかんと上がって、さらに状況悪くなった。まだ日本国内で耐火物やってたほうが良かったんじゃないかとさえ思う。だから同じ轍を踏まないように、電極メーカーは国内にいないといけない」
A:「メーカーにとって電極、耐火物は必要。電気炉メーカーは耐火物は輸入を使う。ほとんど輸入品。しかし質は悪い。耐性が低いとかある。日本の耐火物はやはり良かった。高炉は今でも国内の耐火物を使っている。日本電極は世界最高級のクオリティだと思う」
D:「電極メーカーは国内で残ってるだけまだ良い。それはニードルコークスが日本でしかできないからでしょう」
A:「耐火物メーカーは中国に出たけど2年で撤退しているところもありますしね」
A:「そう考えると、国内にメーカーが存続するということは大事なんだよね。技術の継承もあるし。なんでも海外移転だと技術残らない。今は熱量の計算とかできる人がいなくなってる。昔はきちっとできる職人がいた。経済産業省は技術者を残しておく施策を出さないといけない。昔、黒崎播磨にすごい技術者がいた。今は熱量計算やるときに海外に頼まないとできない。。」
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―ということで電極覆面座談会2019春の陣は余韻を残しつつ終了・・覆面座談会はまた夏近くに行う予定です。
(IRuniverse Electorode )
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