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電極覆面座談会2022春(改訂版) やはりボトルネックはNC、原料調達は困難に

2022/05/19 15:05
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電極覆面座談会2022春(改訂版) やはりボトルネックはNC、原料調達は困難に

 MIRU.com恒例の「電極覆面座談会」は4月下旬のとある夕方、東京・茅場町の一室に関係者が三々五々集い五月雨式に始まった。いつものことながら電極に至る前、「ニッケル騒動」に話が及ぶや、〝事情通〟が多いだけにLMEのあり方や中国・青山グループに絡むウラ話と憶測、イギリス当局の捜査の行方などに話題が次々と展開し、本題にたどり着いたのはたっぷりと1時間は過ぎてからのことだった。

司会: さて、前回、去年の秋の座談会では、カーボンニュートラル、地球、宇宙の神秘まで話が広がった一方で、短期的にも長期的にも電極価格は上がっていくという結論でした。電極は国際価格でトン当たり70万円代を付けてまだ上がり切っていないという話でしたね。ニードルコークス(NC)が今後ボトルネックになるという指摘もありました。ここで現状はどうかということをうかがいましょう。

 

→(関連記事)電極覆面座談会2021晩秋 カーボンニュートラル時代における電極、レンガの存在価値

 

A: 現状はですね、キャスティングボートを握っているのは中国だということ。中国の動きによってGTIも日本も大きく影響を受けます。中国は今まで細物だったけれど太物20インチくらいまではもだいぶできるようになってきた。そんなに折れない抜けないというレベルまで来てる。そうすると一時の高騰を忘れ今は値段が安い中国回帰ということがあるわけですよ。

 

B: その電極は日本で使っている電気炉用のNCを使ってる?

 

A: 使ってるとこもありましたけど なかなか厳しいですよ。石油と石炭の問題両方から日本がNCをなかなか造れなくなってきているので。石炭系は特に大きい。

 

B: そうすると東海カーボンは原料が入らなくなってくる…

 

A: 日本の電極メーカーはまだその危機感持っていません。これまでは日本の電極・黒鉛関係の原料製造者から独占的に供給されてますからね。電極を製造する為の石炭系原料、即ちニードルコークスやピッチは高炉メーカーで発生するコールタールを使って作るわけですけど、ここ1~2年の間に高炉メーカーが そのコールタールを自分で使用するようになり今までのようにコールタールが出て来なくなりつつあります。

 実際とところ、電極向けは付加価値が高いのでまだいいですが、電極でない黒鉛製品をすべて賄うだけのピッチが足りていない状況が既に発生しています。今後カーボンニュートラルにともなう高炉の粗鋼生産減少傾向とともに、電極メーカーはいかに電極原料を、数量・質ともに確保できるか、はたまた出来ないかが重要な要素となってきます。

 

 

司会:実は、Aさんは前回の座談会でもこう言っている「これからは中国がキャスティングポートを握るでしょう。中国の電極メーカーがプライスリーダー。マーケットメーキングすることになります。中国の電極トップ、方大がどう動くかがキーポイントでしょうね」。言い当てていたんですね。

 

A:ここで例えば東京製鐵のことをいえば、東鐵は32インチなど超太物電極メインだから中国はまだまだ使える品質の電極を造れないですよね。東鐵はだから話を一緒にはできない。でも、そうじゃない所は、交流炉で20インチくらいを使っている所普通鋼電炉は中国製でも何とかなっている。特殊鋼製造や直流電気炉で使用するのはほぼ無理ですけどね。

 

D: きょう最初に雑談的に話していたニッケルは、LMEのような指標があってウォッチできるようになっていたんだけど、電極はそうなっていない。基本、相対取引ですね。だから今のようなバブルが起きたんじゃないですかね。

 

E: でも電炉メーカーにとってみれば、本来は電極の値段が上がったコストは大したことはない。でも上がった数字だけの変化を見てるから会社側も「電極が上がった」と言うんです。

 

F: ところで、前回このテーマで議論した電極の動きの中に中国鉄鋼業界の変化であるとかカーボンニュートラル、それに伴う鉄鋼産業の構造変化があるんじゃないかとか、あるいはNCの関係なんかも話したけれど、もっと大きなテーマに言及しないと議論にならないということが出ましたよね。

 

司会:はいはい、サーキュラーエコノミーの ヴィーガニズム(※)まで行きました。

 

F: 結局、そういうサーキュラーエコノミーって本当はなんだって言ったら、ベースにあるのはシェアリングエコノミー。財産を共有するという意味で共産主義とも通じます。それをDXで達成するというのがヨーロッパでの最先端のコンセプト。休日配置を含めた生活を変えて、保有するインフラセット、その供給源としての産業セットを変えようというところまで議論されています。

 シェアリングエコノミーの本質を理解しないで語ると議論がかみ合わない、間違えるよという話なんですよね。自動車保有台数の削減は、シェアリング・DXで実現可能です。欧州は、資本主義の前提となっている人間の欲望とC/NをDXで両立できるかがポイントで新産業のポテンシャルが大きいと見ている。また、例えば日本の産業人は、(カーボンニュートラルを訴える活動のシンボルとなったスウェーデンの少女)グレタさんに代表される欧州若手層の主張、行動を、表面だけ見て批判する人が多い印象です。グレタさん自身は、ヴィーガンで、畜産抑制による森林回復まで見ています。批判するならそこを踏まえて「あなたの言うほど人間は欲を抑制できませんよ」と言うなら議論になります。

※ヴィーガニズム=人間ができる限り動物を搾取することなく生きるべきであるという主義。英国にあるVegan Societyの定義によるとヴィーガニズムとは、「衣食他全ての目的に於て‐実践不可能ではない限り‐いかなる方法による動物からの搾取、及び動物への残酷な行為の排斥に努める哲学と生き方を表す」。脱搾取主義とも言う。

 

 

司会:そうしたことも考えるとヨーロッパはいま、大変でしょう。(カーボンニュートラルの潮流の中での)電力高、エネルギー高で。もしかするとヨーロッパはすでに景気後退に入ってるんではないですかね。電極問題もそうなんだけども、ロシア問題で一番、割食っているのはヨーロッパじゃないですか。

 

D: で、日本が協力するという意味ならやっぱり原発再稼働なんじゃないですか? それで天然ガスなんかをヨーロッパに送ればいい。

 

F: イギリスのフィナンシャルタイムズなんかドーンと書いている。「原発動かしてくれ」って。現在、人類が投入できる最大のエネルギー源の一つは、日本の原発です。ロシア産天然ガスからのカロリーを日本の原発に置き換えて、グローバルのエネルギーバランスを調整したいという主旨です。

 

C: だけど、ヨーロッパの争乱になんで日本が参加しなくちゃいけないの、アジアの我々には関係ないじゃん、なんで日本がヨーロッパをサポートしなくちゃいけないの?ていうのもある。

 

F:  日本の国益を考えて最終判断はすべきというのはその通りです。。短期でみれば、LNG輸入するより国内で原発動かした方が国富は増えます。。

 

E:  では原発を動かすデメリットは何かというと、(核の)ゴミですよね。それと(原発)アレルギー。アレルギーは30年周期だといわれていますが、フクシマが終わってまだというか10年ちょっとですよね。

 

F:  現在日本の報道では、食料品値上げなどが問題視されています。輸入インフレを避けたいと思うなら短期ではエネルギーの輸入を抑える手段を日本は持っています。

 

 

E:  だけど一時的にはいいかもしれないけれど、これでまた原発動かすとフォーエバーになるリスクがある。

 

F:  だからこの前も議論したけれど、構造的には日本で電源は何に使うかということになるんです。日本列島の地学的特性からは、原発を持つべきではないということも理解します。日本としてどのような産業セットを持つべきなのかということです。電気の輸入ができるというのも何回も話した。

 

B:  でも韓国と新幹線を通すという話を拒否したのは日本なんですよ。新幹線を通すということで電力の輸送もできるはずだった。

 

F:  そういう形もいいんですけど、アルミニウムを海外に持って行ったことで電気をフォルムを変えて輸入している。電気を利用した製品を輸入するということで、電気の輸入はできるということ。非鉄・合金鉄などは、現実にそうなっている。ただ、そのときには日本として何を付加価値として国を守るかを決めなきゃいけない。産業セットをどう保有すべきかのグランドデザインが必要で、そのためには、実は先ほどの話の繰り返しですが保有すべきインフラセット、そのVolumeを決定するためのDX、シェアリングを含めた社会のグランドデザインが必要で、欧州での議論はそこだということです。と。

 

C:  エネルギーを押さえられているのはやはり弱い。ドイツなんか見てるとそんな感じがする。

 

D:  これから水素社会になるとはいっても海外依存になるなら、結局エネルギー根本的解決にはならないよね。

 

 

司会:色々とここまで話してきましたが、では今年はこれからどういう展開になっていくのかということに移りたいと思います。前回の議論でも今後、良質な電極の生産は増やせないということでした。

 

B:  良質というか量自体が厳しくなっていく 。

 

A: 環境問題で高炉メーカーも粗鋼生産減産してるから、石炭系のすなわちカーボン系の原料は従来のようにはもう出ないと思った方がいい。石油系も環境問題を背景に同様。意外とヨーロッパ系は結構早いんですよね動きが。 なのでやっぱりそのへんは影響を受けていますよ。

 

 

司会: これからまた上げの第3シーズンが始まるという状況に電極メーカーは置かれている。

 

A:  日系メーカーがどこを提示するかだけの話なんですよ。言っている会社がアナウンスの3割値上げで本当に行くのか、それともまだ年後半も今の横ばいで行っちゃうのか・・で全く変わってしまう。それがポイントかなと思う。

 

 

司会:電炉メーカーは今、かな大変じゃないですか。スクラップは高い、電気代は上がるは電極は上がるはで。特に丸棒電炉メーカーはかなり危ないと思う。長期契約しているから製品の値上げもできない。一部の丸棒電炉メーカーはずっと赤字ですよ。

 

F : 業界的にロング(売り)から入るということがこのような局面では悪く出ているのではないか。

B:形鋼を造っているところは強い。ロングなんかも昔から隔週で。棒鋼は差別化できないですからね。それが間違っているんですよ。棒鋼にロングから入るってのはやめた方がいい。悪しき慣習です。

 

 

司会:何か理由つけて「フォース・マジュール」でもしない限り、丸棒電炉メーカーは赤字の垂れ流しですよ。そういう契約を続けていた電炉業界の責任というのか、あるいはゼネコンが強すぎたか。インドでも石炭不足から来ている停電で電炉メーカーは大変な状況で構造は似ている。

 

G:  その石炭不足の絡みで言えば、セメント業界は危ないですよ。マテリアルはまだましな方だったけれど、太平洋なんて6割、三井住友なんか年間100万トンのうち80万トンを豪州産に替えようとしている。今まで使っていなかったインドネシア産も使って何とかしようとしている。あとは廃プラでということだけれども、国内では100万トンしか集まらないから取り合いがこれから起こる。

 

F:  結局は電炉のキャパオーバーだからそういうことになるんです。

 

E:電炉はキャパオーバーにもかかわらず、日本政府は電炉化進めるわけですよ。しかもでかい電極を使って。

 

F:  だからこれ自体は何回も違うだろうと言ってきた。スクラップは過去使用の再利用なので世界中で鉄鋼需要がは伸びている場合、必ず鉄鉱石・石炭から(鉄を)作らなければいけないところがあるわけです。日本の高炉は、鉄鉱石・石炭から最も効率的に環境負荷が相対的に低位で生産しているということを評価してほしいと。だから、素材評価するときはスクラップ由来だからCO2ゼロということでなく、素材のライフサイクル全体で見て欲しいと主張し、ISO化もされています。でもユーザーさんには今それが響いていない。。消費財から始まったため、カーボンフットプリントの定義が産業素材については未熟だと感じる。しかし世界の潮流としては、抗うことはかなり難しい状況だと思います。そういうことで神戸のHBI(還元鉄)も評価されているわけです。元々バージンから高炉で造っていた日鉄も電炉での生産に取り組む姿勢を強調している。

 そういう流れで電炉化が進む半面、日本で高炉を1本閉めて鉄鋼需要の伸びるアフリカに1本造ったら逆にグローバルレベルでCO2は増えてしまう。だけど関係ない。ミクロで自分たちはいいことやっているんだということで。

一同: うーん

 

F: サーキュラーエコノミー論の優れているのは、世界中の人が自動車を持ちたいと思うなら既存の産業界が「新しく造るしかない」と言っているのに対して自動車の保有台数を減らしましょうと言っていること。DXによる基づく稼働率アップ。前回も話しましたが、例えば日本の自動車の平均稼働率は4%だけど、それを40%にまで上げれば、10分の1になる7200万台ある自動車を700万台ぐらいに減らせる。エネルギー投入量は走行距離比例なので下がらないけれど、インフラに投入されるボリュームは下げられる。そういった方向で地球を持たせようとしている。

 

G:  ヨーロッパは二酸化炭素を発する文化が造ったものは買わないということになりかねませんからね。そうするといくら日本が電気自動車造ってもヨーロッパでは売れなくなってしまう。それは近い将来だろうと思うんですね。

 

 

司会: 実に色々な話題に発展しましたが、ここで改めて電極に戻しましょう。

 

A:  結局、原料が足りないということですよ。電極を造るための。供給ができなくなる。

 

 

司会:するとやはり電極価格は上がり続けるということですね。

 

A:  日本の電極原料メーカーは相当な値上げを電極メーカーに言っている。海外でも同じように原料が足らなくなる。そうすると、円安により海外からの引合いが増え、それが高ければ値段が高い海外メーカーに売るか、日本人同士で操をたてるかということですね。

 

 

司会:今回の波が第3次電極バブルだとすると、この波は結構強いんじゃないですか。

 

A:  カーボンニュートラルに直結していることもあり。。

 

B: 構造は変わってます。パラダイムがガラッと変わる感じだから。

 

 

司会:電極の価格的には第1バブルを超えそうですか。

 

A:  いや、それはなんとも言えないですね。市況ですからね。足りない量を奪い合ったことによってあのトン180万円(2018年)になった。換算価格で250万~300万でも買う海外の製鋼メーカーも出たぐらい。

 

F: やはりボトルネックはNC。あとピッチも。もう原料がないよということです。これは前に(座談会を)やった時も出たけど、電炉化電炉化と言ってるけど高炉閉めたらコークス炉が閉まり、NC原料がなくなる。そうなると電炉用の電極が足りなくなってしまって、なんだよこれはとなりかねない。電炉化をやりすぎてその分高炉を落としちゃうと、こんな風にバランスが取れないことになってしまう。結局、需要が上がることと供給が減ることが同じことに起因するという構図に行き着く。「高炉から電炉へ」は「需要は上がるが供給は下がる」ということにつながってしまう――この矛盾をどうやって解消するのか、答えはまだないですよね。

 

E:ところで、 12月いっぱいでGTIが提示した5年長契が終わるんでしょ。ここのところはどういう展開になるんでしょうかね?

 

A: 2018年からの5年契約。その契約を結んだ後に日本の電極メーカーがその長契に乗っかって電極の値段を同じように、あるいはそれ以上に上げた。これってGTIのおかげじゃないのって思うところはある。

 今度それがなくなることによって、日本のメーカーは次にまたGTIが 何かやってくれると期待しているんでしょうね。だけどそれって日本のメーカーがやってもいいわけじゃない。昭和電工とか。ただリング外のところでGTIにやってくれと頼んでくる事はありえないですけどね。

 

 

司会: ということで、今年の電極は流動的。6月か7月に波乱が見えるかもしれないということでしょうか。みなさん、本日も長時間、実に幅広いテーマにわたって議論していただきました。ありがとうございました。

 

 

(IRUNIVERSE Abe&YT)

 

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