日本からのタングステン粉の輸出は、前月からの反発により2023年10月単月の輸出量が過去最低となった。全体的にはベトナムや台湾向けの輸出減少が目立つ。塊の輸出は、突出した昨年より減少しているが、ほぼ例年並みで推移している。こちらはドイツやメキシコ向けの増加が目立つ。
【1】タングステン粉輸出概況
2023年10月の日本へのタングステン粉輸出量は120キロだった。単月の輸出量としては、1989年11月の180キロの過去最低記録を34年ぶりに下回った。前年同月比99.3%減少し、2か月ぶりのマイナスとなった。前月の輸出量は、22トン弱と、昨年7月以来の10トン超えとなったが、期が変わり、反動減が加わったようだ。
2023年1-10月の同累計輸出量は50.9トン、前年比25.8%減少だった。同累計としては、2年連続で減少し、また2020年以来の少ない量となっている。

10月のタングステン粉の輸出平均単価は、キロあたり2万5,715円、前月より1万9,247円高だった。昨年8月の同輸出平均単価の最高値記録を1万円近く上昇した。ただ、今回の同輸出量は少なすぎるため、異例と見てよい。
2023年の同輸出は、米国や韓国向けが堅調に推移している。また輸出量が少ないが中国やインドネシア向けが昨年より増加している。ただ、2年前に同輸出量が大きく伸びた台湾やベトナム向けが大きく減らしている。これが、輸出量全体の減少に繋がっている。

2023年10月のタングステン粉の主な輸出先と輸出量は以下の通りである。それそれの輸出量が少ないため、今回はキロで表記する。また輸出平均単価は省略する。
韓国 23キロ
台湾 20キロ
インドネシア 40キロ
米国 10キロ
【2】タングステン塊輸出概況
2023年10月の日本のタングステン塊の輸出量は2.3トンだった。昨年7月以来の2トン超えとなった。また前年同月比98.0%増加し、2か月連続のプラスとなった。
2023年1-10月の同累計輸出量は10.5トン、前年比55.5%減少した。昨年、スペイン向けに突出した輸出があったことから、昨年に比べて半分以下に減少している。ただ、一昨年並みの輸出量で推移しており、2023年が特に同輸出量の少ない年と言う訳ではない。

昨年2月からその年の9月までの期間、スペイン向けに大量の輸出があった。しかし、その後、輸出は無く、2023年もここまで輸出ゼロでなる。
それ以外の輸出先で2023年は、同輸出の主力の輸出先の韓国や中国、台湾向けが減少している。それに代わってマレーシアやスウェーデン向けが増加している。また、近年輸出量が増えてきたドイツやメキシコ向けも増加している。

2023年10月のタングステン塊の主な輸出先と輸出量と、キロあたりの輸出平均単価は以下の通りである。
韓国 1.0トン1万1,284円
中国 0.1トン2万 829円
マレーシア 0.3トン1万9,138円
スウェーデン 0.1トン6万5,468円
ドイツ 0.5トン1万3,522円
メキシコ 0.3トン 9,810円
※記事内のグラフ・図表は、MIRU.comにて作成
(K.AKIYAMA)