スイスの資源大手グレンコアがオーストラリア北部で運営するマッカーサーリバー亜鉛・鉛鉱山の操業を一時停止した。米ブルームバーグ通信などの外電が3月22日に伝えた。3月18日に同地域を襲ったサイクロンに伴う大雨のため。
■過去最大級の降雨量、影響見極め
マッカーサーリバーは世界最大級の亜鉛鉱床として知られる。報道によれば、グレンコアはマッカーサーリバーで、2023年に亜鉛26万2,200トン、鉛5万トンを生産した。同地域は18日に記録をさかのぼることができる1974年を上回る過去最大級の降雨量に見舞われたという。グレンコアとしては洪水の影響を見極めるために操業を停止したようだ。
報道を受け、ロンドン金属取引所(LME)亜鉛の現物価格は3月21日に$2501/tonと前日から1.6%上昇した。ただ、2022年4月に$4000台に乗せた後は2年近く低迷が続く。
過去3か月間のLME亜鉛価格の推移($/ton)
3月22日のロイター通信によると、ペルーの亜鉛、鉛、銀の鉱山会社であるVolcanも同国のルミチャカ尾鉱ダムの操業許可の更新のために3月18日から3鉱山で操業を停止。ロシアではオゼルノエ亜鉛鉱山の操業開始が遅延している。グレンコアの県と併せ、足元の亜鉛供給は細っている。しかし、世界の製造業の回復も遅れる中、目立った需要も喚起できておらず、需給バランスが低めで均衡してしまっている状態だ。
■鉛は前日比0.7%上昇も前年比では5%安
過去3か月間のLME鉛価格の推移($/ton)
鉛も同様で、3月21日は前日からは戻したもののそもそもの水準が低い。LME鉛の3月21日現物価格は$2031/ton。前日からは0.7%上昇したものの、$2100に乗せていた前年の同時点に比べると5%ほど安い。
背景には構造的な供給過剰がある。国際鉛亜鉛研究会ILZSGが2023年10月にまとめた鉛地金世界需給見通しでは、鉛は2023年に3万5,000トンの供給超過になった。2021年の洪水で閉鎖中だったカナダ資源大手トラフィグラのストルベルグ製錬所が操業を再開したことなどで生産が増えた。2024年も供給過剰を消化する動きが優勢となっている。
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(IR Universe Kure)
 
     
             
             
             
            