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MRAI/IBS(Bangkok)インドのステンレス鋼市場の分析と展望

2024/07/30 15:55
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MRAI/IBS(Bangkok)インドのステンレス鋼市場の分析と展望

 

 

 7月25日~26日にバンコクで行われたMRAI/IBS会議では、インドのJindalStainless社も入って、インドのステンレス鋼市場の分析と展望についてパネルディスカッションが行われた。

 

 セッションでは、ヴィシャル・ワドワMr. Vishal Wadhwa(Jindal Stainless Ltd.調達部長)とニルマリャ・デブMr. Nirmalya Deb(BigMintエグゼクティブエディター)がインドのステンレス鋼市場の現状と今後の発展傾向について議論した。

 

Vishal Wadhwa, 調達部長, Jindal Stainless Ltd.

Nirmalya Deb, エグゼクティブエディター, BigMint

 

市場概要


 

 

 インドのステンレス鋼の生産能力は約640万トンと推定されている。2024 年度上半期のインドのステンレス生産量は 340 万トンで、前年同期と比較して 35%の増加となった。しかし、インドのステンレス生産能力は 620 万トンから 640 万トンの範囲であり、稼働率は 60%に満たない。また、インドのステンレス鋼の約三分の一は中国および ASEAN 諸国から輸入されている。

 主な生産地域には、マハラシュトラ州、オディシャ州、ハリヤナ州、パンジャブ州などがある。2021会計年度の完成品生産量は35%増加し、強力な市場基盤を示している。メーカーの稼働率は59%から60%に過ぎないが、将来的には川下産業の需要増加に伴い、生産能力が増加することが期待されている。

 

 

原料輸入とスクラップ価格動向

 

 

 インドは特に中国やASEAN諸国からの原材料の輸入に大きく依存している。2024年には余剰が見込まれているが、電池産業などのセクターからの長期的な需要が価格の安定を維持すると予想されている。

 

ニッケル:INSG の統計によれば、2016 年から 2019 年までの間、世界のニッケル市場は常に供給不足の状態が続いていたが、2020 年には短期間の供給過剰が見られた。その後、2021 年には 175,000 トンの需要未達が発生した。2022 年から 2023 年にかけては供給過剰の状態が続き、INSG は 2024 年に 109,000トンの供給過剰を予測している。LME のニッケル在庫の増加に伴い、LME の 3 ヶ月先物価格にも変動が見られる。

 

ステンレススクラップ:インドは毎月約 50,000 トンの 300 シリーズステンレス半製品をインドネシアから輸入している。2023 年末には、デリーでの 304 ステンレススクラップの価格が 3 ヶ月連続で下落した後、2024 年 5 月には 1 トン当たり 120,000 ルピーで安定している。

フェロモリブデン:2024 年 5 月には、チリの鉱山生産減少と海運遅延により価格が上昇したが、6 月下旬には需要減少により価格が下落した。また、2023 年 10 月にはインド財務省が韓国からの輸入に対して 5%の関税を課したが、国内生産支援のため、2024 年 10 月から 2025 年 10 月までの期間中に関税は5%を課したが、国内生産支援のため、2024 年 10 月から 2025 年 10 月までの期間中に関税は 3.75%に引き下げられる。

フェロクロム:2023 年には、中国の入札と韓国の電池工場の火災(FACOR 工場事故)の影響で価格が上昇し、OMC 入札価格に対する市場の反発や輸入競争の激化により価格が低下した。2024 年初頭には入札が好調で価格が一時的に上昇したが、その後、不振なステンレス業界と中国の安定した入札価格により価格は再び下落した。

 

 2024年1月から6月にかけての価格動向では、欧州の買い手からの需要増加によりスクラップ価格が反発している。インドはモリブデンやクロムも輸入に大きく依存しており、2030年から2032年にかけて供給逼迫が予想されているとのこと。

 

 

世界のスクラップ市場の動向

 

 世界のスクラップ市場の動向はインドのステンレス鋼産業に大きな影響を与えている。EUなどの国々によるスクラップ輸出の制限は、悪影響を及ぼす可能性がある。これは鉄スクラップの市場分析においても言われていた。

 

ステンレス鋼の輸出と消費

 

 2018会計年度以降、インドのステンレス鋼の輸出は20%増加した。輸出関税の撤廃により、世界的な需要が低迷しているにもかかわらず、輸出は増加している。インド国内のステンレス鋼の消費量は、2024会計年度には340万トンに達する見込みで、消費の成長は主に一般消費財産業によって牽引され、43%から45%に増加している。

 ASEAN 諸国および自由貿易協定の影響を受け、2022 年度から 2024 年度にかけてインドのステンレス輸入量は大幅に増加した。特に、ASEAN 諸国は 2024 年度のインドのステンレス輸入総量の 46%を占めている。また、輸出関税の撤廃が輸出貿易を刺激し、2024 年度におけるインドのステンレス輸出量は 20%増加し、ロシアや韓国への輸出が大幅に増加した。

 

インドステンレス市場の展望

 

BIGMINT社の予測では、ステンレスの進出口貿易見通しとして、2024 年度のインドのステンレス輸入量は 100 万トン前後で安定し、輸出量は 75 万トンに増加すると予測されている。国内需要は年々増加すると見込まれており、2024年度にはコロナ後の工業生産の回復に伴い、340 万トンに達する見込みである。BigMint の予測によれば、2030 年度には国内需要が 650 万トンに達するとされ、需要は消費財、プロセス産業、建設、交通輸送、その他の順に高い。今後数年間、世界全体のステンレス鋼需要量が引き続き増加することが予測される。

 

 

 JindalstainlessのVishal Wadhwa氏は次にように述べた。

 世界のステンレス鋼消費は今後も増加し続けるでしょう。ヨーロッパは経済危機に直面しています。IMFや世界銀行は、世界経済の回復には時間がかかると予測しています。

 しかしながら、インドのステンレス鋼の生産能力の拡大と輸出市場の発展には明るい見通しがありますが、ステンレス鋼の高い輸入水準がスクラップ需要を予想以下に抑えているのが現状です。

 

 

(IRUNIVERSE ZhaoChan&YUJI TANAMACHI)

 

 

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