政府がガリウムや黒鉛(グラファイト)供給源の多角化に関する民間支援を強化する方針を固めたもようだ。11月11日の共同通信が伝えた。11月中に決める経済対策に盛り込んだ上で、2022年度予算で設けた基金の積み増しを想定し、2024年度補正予算で助成金を確保する。
11月12日の日本経済新聞によると、経済対策には「ガリウムをはじめとするレアメタルや銅の供給源の多角化を支援する」と明記するもよう。
積み増し対象となる2022年度予算案では、供給源の多角化支援を目的に2158億円を用意した。また、エネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)を通じ、南アフリカで白金の探鉱事業に官民で出資。民間企業によるオーストラリアのニッケル・コバルト鉱山の開発も助成した経緯がある。
中国は2023年からガリウムやゲルマニウム、黒鉛などの輸出禁止を相次いで行い、日本政府には過度な中国依存に対する危機感が2022年当時に比べても強まっている。足元の価格はガリウムが仲値$525/kgで。球状黒鉛価格がRMB1万850/tonで、比較的安定している。
過去1年間のガリウム価格の推移(EU Spot market)($/kg)
過去1年間の球状黒鉛価格の推移(99.95% min 17un max in china)(RMB/ton)
ガリウムは、2023年8月の中国の輸出禁止の発表から1年余りが過ぎ、直後のろうばい的なひっ迫感が既に一巡した。一方、球状黒鉛は2023年12月の中国の輸出禁止前後でも価格の反応は鈍く、じり安傾向が続く。現時点では焦って備蓄を確保しなくてはならない状況ではもちろんない。
ただ、今後、日本をはじめ各国政府による美徳確保の動きが強まれば、ある程度の価格の押し上げ要因になることも考えられそうだ。その意味でも中長期の価格動向を注視しておく必要があろう。
(IR Universe Kure)