オーストラリアでのリチウム生産の縮小が止まらない。同国資源のミネラル・リソーシズ(mineral resources、ミンレス)と同業のライオンタウン・リソーシズ(Liontown resources)が11月13日までに、それぞれ同国内で手掛けるリチウム生産の停止や減産を発表した。リチウム価格の低迷が長引く中、コスト負担に耐えかねる企業が後を絶たない。
■「リチウム価格が許容できる水準に戻るまで…」
ミンレスは11月13日、上場先のオーストラリア証券取引所(ASX)で、「西オーストラリアで運営するボールドヒルリチウム鉱山 (Bald Hill) の操業を一時停止する」と発表した。即日でメンテナンス体制に入り、従業員宿舎などの周辺施設も含めて12月上旬までに完全に操業を停止する。出荷は12月分まで。リチウム価格が許容できる水準に戻った後、4-6週間で操業を再開する。この措置により、従業員約300人が影響を受けるとみられ、社内の他部署への配置転換などで対応する。
プレスリリース:02880011.pdf
一方、ライオンタウンは11月11日、自社ホームページ上で、「西オーストラリア州のキャスリーン・バレー(Kathleen Valley)でのリチウム生産を縮小する」と発表した。年産計画を現在の300万トンから2027年末に280万トンへと引き下げ、固定費などのコスト削減を目指す。同社はこのキャスリーン・バレーでのリチウム生産を2024年半ばに始めたばかり。テスラやフォードなどの米自動車大手に向け、電気自動車(EV)の車載電池材料を提供するとしていた。
プレスリリース:Kathleen Valley update and H2 FY25 guidance - Liontown Resources Ltd
■9月以降で既に4件、身売りにつながった例も
豪州では、10月末にピルバラ・ミネラルズがリチウム減産を発表したばかりでもある。また、9月には米アルカディウム・リチウムが豪州でのリチウム生産を停止。アルカディウムはその後、英豪資源のリオ・・ティントに買収された。
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リチウム関連の生産縮小の主な事例
(注:名称は通称、各社発表をもとにIR Universeが作成)
リチウム価格は低迷を続ける。11月7日に仲値RMB7万5500/mtを付け、2021年2月以来ほぼ4年ぶりの安値圏で推移する。EV失速と中国の景気悪化を受けて需要が戻らず、上昇のきっかけが見えずにいる。
過去5年間の炭酸リチウム価格の推移(99.5% china)(RMB/mt)
(IR Universe Kure)