オーストラリア資源大手BHPが鉄鉱石と石炭事業の分離を検討していた模様だ。ロイター通信が4月2日、消息筋の話として伝えた。オールドエコノミー事業を切り離して電池などニューエコノミーにつながる銅とカリウムに注力したい考えだ。ただ同社は既にこの話題を棚上げしたという。
報道によれば、検討していたのは2023-2024年。分離した鉄鉱石と石炭事業はオーストラリア証券取引所(ASX)に上場させると見られていた。
ただ、鉄鉱石事業は同社の売上高の約6割を占め、本拠を置くオーストラリアでの中核事業でもある。2024年6月通期のアニュアルレポートを見ても、鉄鉱石事業は長年の採掘により探査こそ鈍っているものの部門別の売上高は伸びており、やすやすと分離できる状況ではなかったことが見て取れる。
BHPの主要生産施設と主力事業の内容
(出所:BHPの2024年6月通期アニュアルレポート)
世界の生産量ランキングでも、BHPは鉄鉱石のシェアが英豪リオ・ティントと豪ヴァ―レに次ぐ3位。石炭も同8位の世界的大手だ。
■アングロ買収、既に再開は可能に
一方で、BHPは銅事業の拡大に意欲を燃やす。2024年に英同業のアングロアメリカンに向け、銅資産の獲得を目指して買収を持ち掛けたのは記憶に新しい。この買収提案は2024年5月に失敗に終わったが、6カ月の買収再開禁止期間は既に過ぎており、再度買収を持ち掛けられることが可能だ。
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(IR Universe Kure)