BHP、アングロ買収を断念 買収価格引き上げも度重なる拒否、7兆円買収案は白紙に
豪資源大手BHPは5月29日、自社ホームページ上で、英同業アングロアメリカンの買収を断念すると発表した。BHPは4月からアングロアメリカンに対して数度にわたり買収提案を持ち掛けたが、アングロアメリカンが5月29日に買収提案期限の延長を拒否したことを受け、「法的拘束力のある買収提案は行わない」と表明した。
■南アフリカ事業で合意せず
プレスリリース(英語):240529_Statement-regarding-proposal-for-Anglo-American-plc.pdf
BHPは最少今後6か月間は、アングロに対する買収交渉を再開することができない。BHPのマイク・ヘンリー最高経営責任者(CEO)は発表資料中で「南アフリカの規制リスクとコストに関し、アングロ側と合意に達することができなかった」と、リスクに対処するための「重要な情報」を得られなかったと説明。「我々の提案がアングロの株主に対して最良だと信じていたのだが」と残念がった。
BHPは4月下旬にアングロへの買収打診を発表。提案額は総額311億ポンド(約388億ドル、約6兆円)で、英市場に上場するアングロの普通株1株当たり約25.08ポンドに、上場子会社であるアングロアメリカン・プラチナムとクンバ鉄鉱石の株式を含めるとした。しかし、アングロ側の度重なる拒否に遭い、BHPは3度目の提案で1株当たり買収価格を29.34ポンドまで引き上げた。このため、買収提示総額は490億ドル(約7兆7000億円)相当まで膨らんでいた。
関連記事:BHP、アングロアメリカンへの買収打診を正式発表 6兆円で、アングロ側からは反発も | MIRU (iru-miru.com)
■銅鉱山資産の獲得を目指したが…
アングロ側が態度を硬化させたのは、BHPが買収条件として、アングロの南アフリカ資産であるプラチナムとクンバの分離を条件としたことが大きい。多角的な鉱業事業を営むと自負するアングロにとって、「日和見的な条件」とに映り受け入れがたいものだった。
一方のBHPは、アングロが所有する銅鉱山資産が魅力だった。銅価格は過去最高値圏に上昇しており、LME銅の3か月先物は5月29日に$1万430/tonを付けた。
過去3か月間のLME銅価格の推移($/ton)
(IR Universe Kure)
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