
6月11日に電子情報技術産業協会(JEITA)の新会長に就任した漆間啓氏(三菱電機社長)は同日開かれた記者会見の質疑応答で、半導体の関税対象化問題に対する懸念を表明。「一番我々として気にしなければならない問題」であり、「(関税化は)本当に避けていくことが必要」と見解を示した。
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アメリカのトランプ政権は4月に半導体を使った電子機器や半導体製造装置は相互関税の対象から除外すると発表した一方、新たに追加関税の措置を検討しており、半導体の関税対象化が与える影響を調査しているとも伝えている。
会見にて半導体戦略について質問を受けた漆間会長はこの問題に言及したうえで、関税対象化を避けるための働きかけを日本政府に対し求めた。また、半導体の進展は「技術革新のキーとなる」と強調。関税対象化の問題を解消することが日本の競争力の強化につながると述べた。
なお、JEITAの半導体部会は5月15日にも、「国際競争力強化を実現するための半導体戦略2025年版」と題する提言書を経済産業省や文部科学省に対し提出しており、次世代半導体の設計・製造技術の確立のほか、同志国・地域との国際連携強化や地政学リスク、化学物質規制などのサプライチェーン上の課題対応、レガシー半導体分野におけるサプライチェーンの強靭化支援などを提言している。
半導体部会の竹見政義部会長(三菱電機上席執行役員)はこの提言書に関するコメントとして、「さながら国家間の設備投資競争ともいうべき、世界各国・地域の政府による自国の半導体産業に対する補助金や税制優遇などの大型支援が拡充され続けており、半導体・デジタル産業政策の重要性は高まり続ける一方」と警鐘を鳴らしている。今後、日本政府が半導体政策においてどのような方向性に舵を切るかが注目される。
(IRuniverse K.Kuribara)