6125岡本工作機械製作所 26/3H1決算、セミコン報告 ポジティブ継続
26/3期14.3%増収59.2%営利増予想と半導体向け回復で収益急回復、27/3期回復期待
株価4535円(12/26) 時価総額303億円 発行済株6703千株
PER26/3期DO予(10.0X)PBR(0.99X)配当(26/3予)160円 配当利回り3.5%
要約

26/3H1は半導体向け収益回復も工作機械赤字で0.4%増収0.6%営業減益と計画未達成
11/12に26/3H1決算が発表され、12/4に漸く決算説明会が実施された。説明会では情報不足で、セミコン・ジャパンにて常務執行役員開発本部長に取材のもと、レポート作成となった。26/3H1は売上高201.17億円(期初計画比28.83億円未達、0.4%増)、営業利益8.85億円(同4.15億円未達、0.6%減)、経常利益8.63億円(同4.37億円未達、64.4%増)、税引利益4.58億円(同2.42億円未達、46.8%増)と伸び悩んだ。これは工作機械事業赤字転落が影響、期初計画未達で着地した。受注は186.40億円(8.1%増)と回復した。なお受注残高の消化が進み、受注残は283.47億円(21.9%減)と減少し、漸く正常な回転期間水準となった。

事業別では工作機械事業が売上高128.02億円(12.2%減)営業損失3.01億円(同期比8.13億円減少し赤字転落)、受注138.39億円(8.9%増)、受注残176.73億円(26.9%減)と低迷した。

製品別売上では工作機械が66.56億円(24.8%減)と大幅減、歯車は29.88億円(1.9%増)、鋳物が18.64億円(28.9%増)となった。国内は前年同期に好調だった大型平面研削の販売減少が影響、ロボット向け精密歯車は需要回復で増加、鋳物も主力ユーザーからの需要回復で増加したものの、全体では60.75億円(14.5%減)にとどまった。輸出も輸出全体で67.27億円(10.1%減)と減少した。地域別では北米がトランプ関税影響での駆け込み需要があり21.09億円(29.6%増)と大幅増加となった。一方、アジアは中国向けが一服し35.87億円(22.8%減)と、欧州も米国通商摩擦で7.53億円(28.9%減)と振るわなかった。

工作機械事業の受注については明細の開示がないが、国内は工作機械の各種補助金の後押しもあり小型、中型平面研削盤受注が好調に推移、ファナックのロボット回復から精密歯車受注も拡大し、全体でも増加した。輸出受注は米国が同期比横ばい、欧州が減少、中国向けではEV向け、自動運転などで車載カメラ需要増に伴うレンズ用金型向けで平面研削盤のまとまった受注があり、輸出全体として受注は増加したとのこと。

利益面では主力の工作機械販売が低迷、特に工作機械売上が推定66.87億円(24.7%減)となったこと、収益性の高いとみられる大型研削盤の減少によるMIX悪化から稼働率低下などで損益分岐点を割込み、赤字転落となったと推測される。
半導体関連事業は売上高73.14億円(34.2%増)、営業利益18.53億円(80.1%増)、受注48.0億円(5.8%増)、受注残176.73億円(26.9%減)となった。売上面では豊富な受注残高と、一部納期を延長していたグリーンフィールド向けのファイナルポリシャー(FP、以下FPで省略)の納入が進み、国内が40.05億円(28.7%増)、アジアが中国中心に27.01億円(51.1%増)と大幅増加に。欧州もパワー半導体向けとみられるグラインダなどの増加があったようで6.36億円(26.7%増)と、いずれも増加した。

受注の地域別開示はないが、新規受注は国内や東アジア向けでFPが増加した。また次世代パワー半導体向けや高周波デバイス向けグラインダなどの受注も出始めている。なお受注残高は大幅減となっているが、これはグリーンフィールド向けのFP納入が一巡したためとみられる。

利益面では装置売上が64.51億円(42.6%増)とFPの増収効果が大きく大幅な利益回復となった。
26/3期14.3%増収59.2%営利増予想に変更なく半導体向け回復で収益急回復見通し
26/3期、上期収益が計画未達も会社予想に変更はなく、売上高500億円(14.3%増)、営利48億円(59.2%増)、経常利益47億円(61.1%増)、税引利益30億円(48.2%増)、受注500億円(45.1%増)予想を据え置いた。
部門別では工作機械事業が売上高343億円(11.0%増)、受注321億円(21.2%増)予想。サブセグメント予想の開示はないが、工作機械については工作機械工業会受注予測が7.7%増としており、工業会予想を大きく上回る予想としているが、26/3H1での伸びは小さい。下期、工業会見通しも不透明感から伸び悩み見通しとなっており、工作機械事業では歯車が最大手ユーザーのファナックのロボット生産回復、EV関連ギアへの対応拡大などで需要回復が続くと見られ上振れがあっても、全体では売上、受注とも会社計画未達が懸念される。但し、三井物産の100%子会社のエリソンテクノロジーズ(全米工作機械販社として最大手クラス)との提携による米国での工作機械販売拡大などが寄与すると見られ、大きな未達とはならないと思われる。
半導体関連装置は売上高157億円(22.0%増)、受注179億円(2.2倍)予想としている。基本的に受注が23/3期の179億円程度まで回復するとの前提。従来全体の90%近くを占めていたと見られる300mmウエハ向けFPが先端デバイスにおける平坦度要求の拡大に伴い需要の急回復を見込む。また非FPとして化合物半導体向けなど難削材向けグラインダ需要の拡大などで受注拡大を見込む。加えて3Dデバイス拡大に伴い両面全自動BGテープ平坦化研削用のグラインダも本格拡大が見込める。
全体として、工作機械事業は同社の工作機械事業で自動車関連のウエイトが他社よりも低いものの、受注残高が少なく計画未達成が懸念され、半導体関連装置事業は、中国での継続的なウエハ製造設備投資の実行、更にはAI半導体の拡大に伴うウエハ平坦度要求の高まりなどで計画を上回るとみられ、全体として会社計画並の収益が見込まれる。なお、既存の生産設備増強に加え、100%子会社化した大和工機が4月より共同事業を開始、下期以降の生産拡大に寄与するとみられる。
28/3期に半導体関連装置向け270億円達成し、売上高690億円、営利110億円目指す
同社は昨年5/22に三井物産との間で資本業務提携を行った。ある面では不当な買収リスクを回避するための施策ともみられるが、第三者割当増資198.59万株(議決権比率30%)を実施した。この提携により成長が見込まれる次世代半導体市場の成長を捉え、競合他社に対し優位性のある製品開発を行い、この12月にさいたま市にテクニカルセンターを開設した。ここではショールームなどの拡充、さらには新規設備投資も多額の資金投入を行い、外部パートナーとウインウインの関係を築くとしており、成功事例となっているディスコのR&Dセンター的な機能を持つと見られる。新中計数値目標として、28/3期に売上高690億円、営業利益110億円、配当性向45%を目標としている。
事業別では半導体関連事業について売上高270億円(26/3期予想比72%増)、工作機械関連420億円(同22%増)と、中心となるのは半導体関連事業で、31/3期には半導体事業だけで300億円の売上を見込む。

半導体事業はSi半導体に加え、SICウエハ加工プロセスの高度化、化合物パワー半導体(SIC、GAN等)対応機の拡充、難削材ウエハ対応のポリシャ、グラインダなどを投入、次世代材料向けで100億円程度の売上を見込む。特に今回、化合物半導体については全自動SiCインゴット研削システムを発表、また化合物半導体(SiCだけでなくGaN,GaAs等)に対して、母材加工からCPM工程まで、スライス加工では他社製品を組み入れ、トータルソリューションでの受注拡大を図る。


またSi貫通電極ウエハの超平坦・金属汚染フリー・薄膜化加工のための研削技術ではJSTにより開発成功認定を受けた。従来コストの問題や歩留まり(良品率)の低さが課題で三次元実装は一部の高機能デバイスでしか実用化されていない。同社のSi貫通電極ウエハ全自動研削装置は課題を克服し、三次元実装技術の普及を促進する可能性を持つ。また平坦化プロセスの化学機械研磨(CMP)の一部工程を代替する可能性もある。特にTSVリビール工程(ウエハの裏面を研削して、内部に埋め込まれたCu製のTSV電極の先端を露出させる)では、特定のCMPステップを不要にできる。最終的な表面品質要求によってCMPは依然として必要ではあるものの、一部代替が可能となれば大きな需要が期待できる。今後、次世代HBMや3D半導体の拡大で、年間60億円の売上げを目指す。また同社は、先端パッケージングを必要とする先端デバイスにおいて、「両面全自動BGテープ平坦化研削技術」も開発した。BGテープ表面を研削して完全に平らにする」という画期的なアプローチ。表面に高い凹凸(トポグラフィ)を持つウエハの薄層化において大幅な進歩をもたらすために、3Dパッケージングの多層化に不可欠なプロセスとなり得る。ハイバンプ(高い突起)などの特徴を持つウエハにBGテープを貼る場合、テープがその凹凸に追従し大きなうねりが残るが、薄く研削する際に厚さのばらつきや割れのリスクを高めるため、薄さや歩留まりを制限する要因となっていた。これに対し同社はBGテープ貼付、平坦化、ウエハ薄層化の3工程を、全自動ウエハグラインダで「ウエハの搬入・位置決め」「研削」「搬出・洗浄」といった異なる工程を同時かつ連続的に行う装置である。高い生産性、連続的で効率的な加工を可能で、高馬力・高剛性仕様なため硬脆材研削にも適する。ウエハを固定するためのワックスが不要なためワックス貼付、剥離、洗浄の工程が不要となっている。東京精密は装置本体の基本性能を極限まで高め、研削によって発生した微細な加工痕や厚さのばらつきは、その後のドライポリシング工程で除去し最終的な平坦度を確保し、高精度な加工を実現するアプローチとなっている。他社は同社のように研削前の「基準面」に加工を加えるのではなく、「研削」と「仕上げ」工程の精度を極限まで高める手法であり、コスト面で同社の優位性が発揮される可能性がある。
全体を通じ、中計において既存Si向けFPについて大きな伸びを見ていない。しかし今後、AI推論向けデータセンタ拡大により、超高速大容量のSSDが必要不可欠で、超多層NANDフラッシュ需要の本格回復が見込める。またAI搭載PCやAIスマホの普及などもウエハ需要喚起が見込める。また先端GPUでは基板大型化で1枚当たりのチップ枚数が激減、これもウエハ枚数の拡大をもたらす。このためAIにより改めてグリーンフィールド投資が必要となる可能性があり、結果としてSi向けFP需要も再拡大が見込まれる。さらに今後、ガラス基板が先端半導体で利用される場合、同社は過去に旭硝子(現AGC)に大型ガラス基板対応の超精密平面研削盤を収めた実績があり、ガラス基板の超平坦化が要求される場合に、新たなガラス基板向け半導体製造装置としての売上も見込めよう。
一方、工作機械事業では中心となる平面研削盤は、EV関連でリチウムイオン電池製造装置向けの長尺超精密平面加工向け、モーターコア製造用連装金型向けの超精密平面加工向けに大型超精密門形平面研削盤などの再拡大が期待される。また半導体製造装置・電子部品製造装置向けではセラミックス等の難削材加工向けに非金属加工工作機械として需要が高まろう。また岡本工機の歯車事業は生産能力が3割アップ、特に産業用ロボット向けのシェアが高く、最大手顧客のファナックのロボットの回復で需要拡大が見込まれる。さらに岡本工機の歯車の特長は、世界で唯一の「超音波援用歯車研削」により加工されている点にある。高速回転で高性能を発揮する歯車となっており、EV化で歯車の静音化ニーズから静音性の高い精密歯車への需要が高まる可能性があり、従来は自動車向け比率が低い歯車事業でEV用途が広がれば急拡大が見込める。このように工作機械事業も平面研削盤を中心に半導体、EV関連向けの拡大、加えて歯車ビジネスでも用途拡大で、中計計画の達成が期待される。
同社株価は11/12発表の26/3H1で、上期の収益が計画未達だったことから11/19に4115円まで下落したあと反発し、12/4の決算説明会を受けて本格反発し、4500円台に戻った水準にある。現在会社26/3期予想EPS453.79円に対しPER10倍は東証プライム機械平均のPER18.1倍に対し割安、ポリシングのOBARA(6877)の9.6倍に対し同等、東京精密(7729)22.6倍、ディスコ(6146)コンセンサス40.0倍に対し大幅に割負けている。現在、半導体関連装置の受注が本格回復局面にあり、工作機械も受注がボトムから回復基調に転じており、27/3期はAI半導体需要拡大により受注回復テンポが更に高まり、新製品群の需要拡大から収益の急拡大から最高益更新、配当も28/3期45%には配当性向目標を打ち出しており大幅増配が期待される。画期的な製造装置開発も行っており、先端半導体製造装置関連メーカーとして再評価されると判断、ポジティブ継続としたい。
(図表、写真などは会社説明会資料から、一部IRユニバース加工、チャートはフィスコから添付)



*ウエハ製造関連ディスコ(6146)、東京精密(7729)、OBARA(6877)との比較

*ウエハメーカーの信越化学(4063)、SUMCO(3436)、再生ウエハRSテクノロジーズ(3445)との比較

(IRuniverse Okamoto)