2025年6月9日~6月15日のバッテリー業界では、ペロブスカイト太陽電池の実験の話題が目立った。アイシンや神戸空港などが設置を実験。FDKや韓国ミンテック、中国のDJIなどの新製品発売のニュースも多かった。
<国内>
●アイシン、ファスナー式のペロブスカイト太陽電池を実験 大林組と
アイシンは6月13日、自社ホームページ上で、「大林組(本社:東京・港)と共同で、着脱容易なペロブスカイト太陽電池の実用化に向けた実証実験を開始した」と発表した。 ファスナーを用いた取り外し式工法を開発し、大林組技術研究所本館の屋上へ施工した。
(出所:アイシン発表資料)
プレスリリース:大林組とアイシン、ペロブスカイト太陽電池の実用化に向けた実証実験を開始<br>~容易に交換できる工法と年間発電量を最大化する設置方法を検証~ | 株式会社アイシン 公式企業サイト
●神戸空港、ペロブスカイト太陽電池の実証実験 空港内で初
神戸市は6月12日、ホームページ上で、「神戸空港の制限区域内でペロブスカイト太陽電池の実証実験を開始する」と発表した。空港制限区域内におけるペロブスカイト太陽電池の設置は国内初。
積水化学工業、積水ソーラーフィルム、関西エアポート神戸と連携して設置する。実験期間は2025年6月-2027年3月。空港特有の耐風性能などの安全性の検証のほか、施工方法、耐久性・発電効率などを検証する。
(出所:神戸市の発表資料)
プレスリリース:神戸市:神戸空港にペロブスカイト太陽電池を設置~全国初の実証実験~
●東大、電池生産時の効率向上システムを開発 半導体ではTSMCと提携
東京大学は6月12日、ホームページ上で、「燃料電池の生産時の自動実験・自律探索システム『FC-ROPES(ロープス)』を開発した」と発表した。
金沢大学・九州大学・堀場製作所との共同開発。電池生産時の効率を大幅に向上し、また設備をエレベーターに乗るサイズに小型化した中での効果も実証した。
プレスリリース:燃料電池製造プロセスの自動実験・自律探索システムを開発 ―AIロボットを用いた生産プロセスインフォマティクスにより100倍の効率を実証―
なお、東大を巡っては、台湾半導体大手の台湾積体電路製造(TSMC)が同じく6月12日、「東京大学と先端半導体の研究や教育、人材育成を推進することを目的とした『TSMC東大ラボ』の運用を開始した」と発表した。TSMCにとって台湾以外の大学とのジョイントラボは初めて。
●FDK、高出力円筒形二酸化マンガンリチウム一次電池を量産へ
FDKは6月10日、高容量タイプの高出力円筒形二酸化マンガンリチウム一次電池「CR17500EX」の開発を完了するとともに量産体制を構築したと発表した。今年度下期から量産を開始する。
関連記事:FDK、高容量タイプの高出力円筒形二酸化マンガンリチウム一次電池の量産体制を構築 | MIRU
<海外>
●「MOVE 2025」が開催へ 6月18-19日、ロンドン
世界有数のモビリティ・イベント「MOVE 2025」が6月18-19日、英ロンドンで開催される。欧州自動車大手のステランティスなど約300社が出展する。
公式ホームページ: MOBILITY RE-IMAGINED | MOVE 2025 | 18 - 19 June 2025
●韓国ミンテック、EV向けバッテリーの迅速診断システムを発売
韓国バッテリー検査のミンテック(MinTech)は6月12日、自社ホームページ上で、「電気自動車(EV)向けバッテリーの迅速診断システムを発売する」と発表した。
車両からバッテリーパックを取り外すことなくバッテリーの容量寿命や充電の状態を検査できる。所要時間は10分以内と迅速なのが特徴だ。
プレスリリース: MINTECH
●中国ドローンのDJI、人気ポータブル電源の強化版を発売
中国ドローン大手の大疆創新科技(DJI)は6月10日、PR Timesを通じ、「人気ポータブル電源の強化版を発売した」と発表した。商品名は「Power 1000 V2」。キャンプなどの持ち運び用電源で、日本向け電源にも対応する。
DJIはドローンの世界的大手。世界でのドローン市場シェアは同社を含む中国製が7割超を占め、安全保障上の危機感から米国防総省が2022年にアメリカ人の投資禁止対象となるブラックリストに同社を追加した。米国の危機感は日本のドローン使用規制にも影響を与えた。
(IR Universe Kure)