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マルマエ(6264) 25/8 期連結決算開示 25/8 期増額修正決算メモ ポジティブ継続

2025/06/23 09:32
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25/8 期 60.7%増収、営利 17.23 億円予想に増額、KM アルミニウム連結で 26/8 期収益上伸


株価 1422 円(6/20) 時価総額 185 億円 発行済株 13053 千株
PER(25/8 期連結 DO 予 13.1X)PBR(2.4X)配当(25/8 期予)40 円 配当利回り 2.8%

 

要約

・25/8 期生産性工向上で単独予想を増額し 60.7%増収は微増額も、営利 17.23 億円へ増額

・25/8 期連結決算予想を開示、売上高 112.54 億円、営利 19 億円、経常 17.14 億円予想

・26/8 期 KM アルミがフル寄与、半導体向け回復、新規ユーザー拡大から収益上伸期待

 

 

25/8 期生産性向上で単独予想を増額し 60.7%増収は微増額も、営利 17.23 億円へ増額

 

 半導体・FPD 製造装置の真空部品や各種高精度部品を中心に事業展開。主力ユーザーは東京エレクトロン、日本発条で 60%を占める。


 6/20 に 25/8 期予想の上方修正と 10円増配がアナウンスされた。

 

 25/8 期単独決算は売上高 76.32億 円 ( 期 初 計 画 比0.32 億円増額、前期比 29.6%増)、営業利益 19.5 億円(同 0.5億円増額、18.08 億円改善)とした。売上面ではほぼ変更無いが、営業利益では生産性改善などが進み増額修正となった(セグメント別開示はない。

 

25/8期連結決算予想を開示、売上高112.54億円、営利19億円、経常17.14億円予想

 
 KMアルミニウム(KMAC)を4/8に子会社化、5ヶ月分を連結決算に加えて、25/8期連結決算予想を開示した。25/8期連結会社予想は売上高112.54億円、営利19億円、経常利益17.14億円、税引利益12.65億円予想とした。売上高についてはKMACの5ヶ月分売上高36.2億円が加わる。
 
 利益については暖簾償却等で約1億円、借入金増で金利負担増約0.77億円増が加わる。一方で営業利益ではマルマエの事業が1.2億円上振れ、KMACの事業連結で約4億円の営利増となる。
 
 4/4の開示資料でKMACの25/3H1業績が売上高44億円、経常利益6.2億円とあり、今回、5ヶ月分の売上36.2億円、営利4億円とのことで、KMACの5/3期は非開示ながら売上高87.6億円(前期比2%増)、経常11.0億円(同13%増)程度となったと見られる。現状、半導体製造装置においてはAIロジック、HBM関連など、全体として回復が進み東京エレクトロンの好調継続などが寄与する模様。またKMACも半導体製造装置向けが堅調に推移したと見られ、25/8期連結について、会社想定を若干上回る着地が期待される。

 

26/8期KMアルミがフル寄与、半導体向け回復、新規ユーザー拡大から収益上伸期待

 

 同社は中計目標として26/8期(単独)に売上高120億円、営利36億円目標に、半導体事業拡大を柱に半導体で26/8期102億円(既存60億円、新規42億円)、FPD他で18億円予想としている。

 

 25/8期については営利で1.23億円増額修正しているが、売上の伸びは大きくない。しかし26/8期は半導体生産の拡大が2025年度下期から先端半導体に加え、レガシー半導体についても回復が見込まれ、稼働率アップに売上高の2/3が消耗品日にネスということで、半導体生産の増加、半導体製造装置もエッチング装置の拡大に伴い同社収益が本格回復すると見られる。
 

 具体的に最大手ユーザーの東京エレクトロン(TEL)が26/3期予想として売上高2.6兆円(6.9%増)、この中でSPC新規装置売上を1.95兆円(4.8%増)とし、6/3H1にSPE新規売上8500億円(同期比0.4%増)、26/3H2に1兆1000億円(同期比8.4%増)と、下期拡大を想定している。また27/3期は2026年WFE市場が2桁成長し、TELは市場成長を上回る伸びが見込めるとしている。
 

 この中でMordor Intelligence の調べでは2024年から2028年にかけてエッチャー市場が平均8%程度の伸びを示す予想が出ている。現状、TELのSPCに占めるエッチング装置比率が35%を占め、しかもエッチング装置は約2/3がメモリ向けであり、25/3期はメモリ向けの1/3を占める用途としてDRAM向けがHBMなどの拡大で増加した。

 

 対して2025年はDRAM向けが一服し横ばい見通しも、後半からメモリ向けの2/3を占める3DNAND向けが400層を超える次世代型の投入が本格化し需要が急拡大する見通しにあるため。特にTELは「深堀*低温*一括処理」の独自プロセスを確立、3DNAND向けで高シェアを有していることも背景にあると見られる。

 

 TELのエッチング装置については2025年4月に宮城のエッチング装置開発棟が竣工、エッチング装置の生産新棟が27年春に竣工予定で大幅な生産拡大が見込める。
 

 このため同社においても26/8H1より売上拡大が本格化、エッチング装置において先端半導体ではマルチチャンバー化で同社の真空対応部材の伸びが高まろう。


 また第2ユーザーの日本発条も半導体プロセス部材について2024年秋に長野宮田工場に加え伊勢原工場が稼働、2工場合わせ生産能力が50%アップし、25/3期半導体プロセス部品売上が202億円(前期比31%増)となった。また26/3期は273億円(同35%増)を見込んでおり、25/3Q3から本格回復基調になったものが26/3期も高い伸びが継続しよう。
 

 こちらも背景はエッチング装置用溶射付き冷却板や成膜装置用マルチゾーン制御ステージヒーターなど半導体関連装置の50%強を占める前工程関連製品群が伸び、従来の中計平均伸び率を18%から19%に上方修正、27/3期には323億円(同18%増)と伸びが続く見通しとしている。

 

 またこれに合わせ2026年稼働を目指し長野宮田工場の増力増強を行い生産能力について2024年時の倍まで引き上げるとしている。具体的には日本発条が東京エレクトロンなどの装置メーカー向けに伸びが高まるためで、同社にとって東京エレクトロン向けと同様に伸び率が高まろう。
加えて新規ユーザーの獲得ができ、26/8期には売上寄与が本格化するとのことで、26/8期同社半導体部材売上は伸長が見込まれ、26/8期は単独で売上高100億円乗せが期待される。
 

 このような中でアルミニウムのインゴット・ビレット・スラブ・合金の製造・販売、高純度アルミニウム地金の製造・販売を行うKMACの買収が完了、26/8期は25/8期が5ヶ月分の寄与に対しフルで収益寄与が見込める。


 KMACは九州三井アルミニウム工業を源流とし、現在は主に半導体スパッタリングターゲット用の高純度アルミニウム製品、アルミ電解コンデンサ用の高純度アルミニウム製品、低圧鋳造鋳物製品、アルマイト製品等を製造販売している。高純度アルミニウムニウム製品は自社で溶解し99.9995%以上の純度に精製した上で鋳造し販売している。

 

 

 この精製作業は世界でも欧米の巨大化学メーカーなど限られた企業しかできない高度な分別結晶法(偏析法)のノウハウを有しているのが強み。手法としてはアルミ溶湯を徐冷することで純アルミが先に結晶化し、残液に不純物が濃縮される。この純結晶部分を回収するもの。1回の処理で99.99%~99.9995%(4N~5N)純度が可能で、Cuなどの不純物は極低濃度(1~3ppm)まで除去可能。実際に高度なグロー放電質量分析法も利用し分析技術5N以上の製品も多く製造している。

 

 2022年に一般的5N5 (99. 9995%)アルミは半導体用スパッタリングターゲット用素材として使用され、5N0 (99.999%)アルミは液晶や有機EL用スパッタリングターゲット用素材として、高い世界シェアを有するとのこと。同業界向けではノルウェーHydro社が最大手と見られるが、Hydro社は三層電解法(Hoopers法:下層にCu-Al合金アノード、中層にフッ化物溶融塩、上層に純アルミカソードという3層構造で電流を流すことで不純物を残したまま上層部に準アルミが析出される)で4Nまで純度を上げ、その後別工程で5N以上の製品を製造し供給していると見られるが、コスト的にKMACが勝っている可能性がある。

 

 なお同社はレガシー半導体製造に使われる鋳造材や圧延材・押出材、Al配線材を中国、韓国などのスパッタリングターゲットメーカーに販売、年々売上拡大している。KMACは2006年に5N精製工場を新設、同分野のパイオニアとして実勢を積み、2022には超純度アルミ専用の溶解炉を導入、生産効率と品質向上がなされ、現在高純度アルミ1.6万トン/年の生産能力を有している。またKMACのもう一つの強みは地金の素材調達から顧客ニーズに沿った独自の合金開発、鋳造、熱処理、精密機械加工、更には特殊な表面処理(代表的にはアルマイト加工)まで、すべての工程を社内で完結できる垂直統合型の生産体制を有する点にある。

 

 特にアルマイト処理においては半導体製造装置向け「特殊硬質アルマイト処理」に強みを持つ。通常のアルマイトはアルミ製品の防食や着色などのために成膜されるが、KMACはより硬質・耐蝕性を高めた特殊仕様で、エッチング装置用(電極ホルダーやクランプリング等)が約9割を占める。具体的にアルミ素材表面に生成される硬質酸化被膜によりプラズマや反応ガスによる腐食・摩耗を抑制し部品寿命を延ばす効果が大きい。また高耐久アルマイト皮膜は基材のアルミと一体化して密着しており剥離しにくく微細粒子の発生も抑制できる点で、半導体製造プロセスでは重要な採用理由となっている。

 

 なお同社はアルミ鋳造技術にも長けており、低圧鋳物鋳造製品は半導体製造装置の主要部品(エッチング装置の部品となる真空チャンバー)として使用され、国内最大手半導体製造装置メーカー向けに1996年頃より8インチ機用の試作を開始、2001年頃より量産を開始し、高品質が認められ圧延材から制作する切削チャンバー等から切替需要が進み、延べ3万台の出荷実績を持ち国内リーディング企業として高シェアを誇っている。このほか重力鋳物では半導体製造装置用部品や半導体搬送ロボット用に鋳物鋳造製品を供給している。なお、非半導体向けではアルミ電解コンデンサの陽極箔向けに高純度アルミインゴットや圧延用スラグを販売している。26/8期にはフル連結されるため、同社の収益寄与が大きく連結決算を支えよう。

 

 今回6/20の情報開示では25/8期連結決算予想が開示され、KMACに関し、5ヶ月で売上高36.2億円、約4億円の営利寄与が示された。すでに前回開示で25/3H1と合わせて25/3期は25/3期は非開示ながら売上高87.6億円(前期比2%増)、経常11.0億円(同13%増)程度となったと見られる。今後KMAC決算も3月から8月に変更予定とのことであるが、仮に26/3期を想定すると、昨今の半導体製造装置、特にエッチング装置向けの回復が下期から本格拡大する見通しにあり、決算期変更を考慮しない場合、25/3期比で2桁増収増益が期待される。

 

 株価は10/11本決算で25/8期大幅回復見通しで一時的に上昇したが、東京エレクトロンをはじめとして株価下落の中で低迷、4/4の25/8H1決算発表で会社予想を上ぶれたものの通期予想を変更せず、全体相場下落の中で暴落、4/7は894円安値を付け、引け値も前日比251円安、率にして21.8%下落し899円となった。但し4/8にはKMACの株式取得完了がアナウンスされ、25/8Q3より連結決算発表することを評価する機運もあり株価が反騰、納入先大手の東京エレクトロン、日本発条などの25/3期、26/3期予想も好決算見通しなどもあり、徐々に値段を切り上げてきた。6/20に25/8期の単独利益増額、連結予想発表があり、加えて増配10円で年間配当40円を発表したことを受け、単独、連結での25/8期会社予想EPS99.9.円に対しPER14.2倍はプライム機械平均PER14.6倍に対し同水準となっている。25/8期の連結では税引利益がKMAC子会社化に伴う諸費用等で単独とEPSがほぼ同じとなっている。しかし26/8期はKMACのフル連結、一時的な販管費費用1億円などがなくなり26/8期は連結収益の上伸が期待され、連結PER予想は8倍程度に低下すると見られ、割安感がある。現在、東京エレクトロン19.4倍、エレクトロン向け50%のアバールデータ16.4倍、高周波電源で高エアのダイヘン11.4倍と比較して割安感が出てくる。しかも25/8期は再増額修正期待もあり、前回レポートから5割高となっているものの、ポジティブ継続とする。

 

*図表はマルマエ決算参考資料、HP、ニュースリリーズから添付、もしくはIRユニバース加工

*東京エレクロトン(8035)、アバールデータ(6918)、ダイヘン(6622)との比較

 

 

(H.Mirai)

 

 

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