ロンドン金属取引所(LME)の銅市場で、3か月先物と現物の価格差(スプレッド)が6月25日に急速に縮小した。中国の業者が銅輸出を増やしているとの観測が浮上し、先行きの供給が増えるとの見方が広がった。先物と現物の相場が逆転するバックワーデーション現象はなお続くものの、緊張はひとまず落ち着いている。
過去3か月間のLME銅価格の推移($/ton)
LMEの銅3か月先物価格は6月25日に$9717/ton、現物価格は$9810だった。スプレッドは$93で、24日の$195、23日の$393から急速に縮小した。
米ブルームバーグ通信が6月25日に消息筋の話として伝えたところによると、中国では江西省政府系の江西同業や、安徽省の銅陵有色集団といった国有大手が、少なくとも3万トンを今後3週間以内にLMEの倉庫に配送する計画という。
また、ロイター通信も、中国の製錬所約10社がLMEの在庫に4万〜5万トンを供給する準備をしている、と報じた。足元の現物価格高騰で採算が見合わなくなるとの懸念から、輸出を増やし始めているようだ。
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もっとも、トランプ米政権が関税政策を開始してから、銅を巡っても対米輸出を先取りしようとの動きは根強い。LMEは大口ポジションの規制強化など相場安定に向け対応措置を採るが、波乱が再び起きる要素は残る。
(IR Universe Kure)