2025年6月のコバルト市況はまちまち。生産国であるコンゴ民主主義共和国(DRコンゴ)が、コバルト輸出の停止を9月21日までに3か月間延長した。市場ではLGコバルトや硫酸コバルトが供給ひっ迫懸念から上昇した一方、HGコバルトは下落しLMEコバルトは動かないなど、方向感の乏しい展開となっている。
コンゴの戦略的鉱物物質市場規制監督局(ARECOMS)が6月21日、同日付の期限延長を発表したと伝わった。再延長の有無は9月21日以前に発表する。対象となるコバルトは工業、準工業、小規模、および職人の採掘作業から抽出されたすべて。
ARECOMSは「市場には高水準の在庫が続いているため、一時的な停止を延長する」と説明したという。コンゴは2月22日から4か月間の期限でコバルト輸出を停止し、6月22日に期限を迎えていた。
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■LGと硫酸コバルトが延長後に上昇
過去3か月間のLGコバルト (Co99.3%)($/LB)価格の推移
ベンチマークとなるLGコバルトは6月26日に仲値$15.775/LBを付け、5月14日以来の高値に戻した。2月に一時$10割れしたもののコンゴの輸出規制で持ち直し、3月以降はおおむね$15超の水準で推移している。5月以降は特にコンゴの政策を見極めたいとの様子見気分から膠着感が強かった。
過去3か月間の硫酸コバルト価格の推移(20.5%min China)(RMB/Mt)
電池向けの硫酸コバルトも報道後に上昇した。6月26日に仲値はRMB4万7000と、4月上旬以来の高値を回復した。6月は半ばからRMB4万4500と直近安値で推移していた。
中国の一部市場では、コンゴの決定を受けてコバルト価格が急騰したとの報道もあった。
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■HG3月以来の安値、LMEは動かず
過去3か月間のHGコバルト (Co99.8%)($/LB) 価格の推移
一方、コンゴの政策を巡っては5月から禁止措置の延長観測も出ていただけに、全面的に上昇とはいかなかった。
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航空機向けなどのハイグレード品であるHGコバルトの6月26日仲値は$19.1/LBと、3月下旬以来の安値となった。
過去3か月間のLMEコバルト価格の推移($/ton)
国際価格のLMEコバルトも反応は薄い。6月26日高値は$3万3290/ton。6月9日に節目の$3万3000を割り込んでからは横ばいで、コンゴの決定後も動きは限られた。
■Topics
6月16日
カナダ深海鉱物調査会社のザ・メタルズ(The metals company、TMC)は6月16日、韓国の高麗亜鉛からの出資を受け入れると発表した。両社は精製ニッケル、コバルト、マンガンの米国向け供給の拡大を目指す。
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6月4日
コバルト資産の運用を手掛ける英コバルト・ホールディングスPLC(Cobalt Holdings PLC)は6月4日、ロンドン証券取引所で、計画していた同取引所への株式上場を断念すると発表した。同社は5月に上場計画を発表していた。
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6月3日
調査会社プロジェクト・ブルーは6月3日、大手町プレイス(東京・千代田)で、国際会議「Critical Materials Forum」を開催した。
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5月31日
国内非鉄製錬7社の2025年3期決算が出揃い、決算説明会も終わった。
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5月26日-28日
国際リサイクル局(BIR)は5月26日から28日まで、スペイン・バレンシアで世界リサイクル会議を開催した。
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(IR Universe Kure)
 
     
             
             
             
            