ニッケル相場下落の影響を受けて、同原料が含まれるアイテムの多くがマイナスとなった。ただし、直近のLMEニッケルの相場をみると6月後半からプラス転換していることから、関連アイテムもプラス転換する可能性も高い。なお、キュプロニッケルは銅との合金であるため、銅相場の上昇で相殺され、前月から横ばいとなった。

【チタン】
・純チタン板スクラップ(新断)「⤵」:280~300円/kg。前月から10円下げ
・合金6-4チタンダライ粉「⤵」:70~90円/kg。前月から10円下げ
・合金6-4チタンスクラップ「⤵」:120~130円/kg。前月から10円下げ
・フェロチタン「⤵」:実勢はキロ当たり4.8ドル/kg前後。前月から約0.3ドルの下げ
チタン系は前々月、前月に続き、軒並み下落した。継続してロシア産の安価なフェロチタンの流入の影響により原料のチタンスクラップが在庫過多となり、価格もマイナス基調となっている。海外メーカーのスクラップ買い止め状態も一部で続いているようだ。
【工具類】
・ダイス鋼MIX「⤵」:20円/kg。前月から5円の下げ
・SKD61「⤵」:50円/kg。前月から5円の下げ
・ハイス(ミックス)「→」:370~400円。前月から横ばい
・ハイス(一品もの)「→」:290~320円。前月から横ばい
・超硬スクラップ「⤴」:3100~3500円。前月から200円の上げ
ダイス鋼MIXとSKD61は前月の横ばいから若干のマイナスに転じた。関係筋によれば、世界的に需要が低下しているほか、鉄鋼の相場が下落していることも影響しているという。超硬スクラップが上昇に転じたのは2025年1月以来。需要の高まりが関係していると思われ、今後の動向に注視していきたい。

【モリブデン系】
・酸化モリブデン「→」:前月から約1.5ドル上昇し、仲値は22.125ドル
・フェロモリブデン「⤵」: 前月から約1ドル上昇し、仲値は51.25ドル。
・モリブデン新切れスクラップ「→」:3350~4350円/kg。前月から横ばい。
フェロモリブデンは前月に続き上昇。5月中旬と比べると約3.5ドルの上げとなっている。酸化モリブデンは6月中旬を過ぎたあたりから上昇トレンドとなった。超硬スクラップ同様に直近の変化に注意する必要がある。
【タンタル】
・タンタライト「⤵」:87~89ドル/lb。前月から6ドルの下げ
・金属タンタル「⤴」:325~335ドル/kg。前月から5ドルの上げ
・五酸化タンタル「⤵」:246~264ドル/kg。前月から3ドルの下げ
・タンタルスクラップPIN「→」:高値29000円/kg、安値27000円/kg。前月から横ばい
・タンタルターゲットスクラップ「→」:22000円/kg前後。前月から横ばい
タンタライトは5月後半からの下降トレンドが続く一方、金属タンタルは1月中旬から上昇基調にある。五酸化タンタルは1月中旬の大幅な下落以降は小刻みな変動を繰り返しつつ同水準で推移している。
【ステンレス 、耐熱系】
・SUS304「→」:140~150円。前月から横ばい
・SUS310「⤵」:365円/kg前後。前月から10円の下げ
・SUS316「⤵」:225~275円。前月から5円の下げ
・SUS330「⤵」:475~525円/kg。前月から15円の下げ
・SUS430「→」:66~74円/kg。前月から横ばい
横ばいからマイナスに転じたアイテムが複数みられた。ニッケル相場の下落の影響を受けたもので、比較的安定している為替相場が崩れれば、この一カ月でさらに一段階の下げが生じる可能性もある。
【ハイニッケル合金系】
・42アロイスクラップ「⤵」:610~670円/kg。前月から20円下げ
・インコネル718「⤵」:610~850円/kg。前月から20円下げ
・インコネル625「⤵」:880~980円/kg。前月から20円下げ
・インコロイ800「⤵」:445~485円/kg。前月から15円下げ
・ハステロイX「⤵」: 650~730円/kg。前月から20円下げ
・ハステロイC「⤵」: 780~880円/kg。前月から20円下げ
ステンレス系と同様にニッケル相場下落の影響を受けて、15~20円のマイナスとなった。なお、ハイニッケル合金系における国内メーカーからの需要は依然として根強いものがあり、流通量は少ないものの、モノがあれば売れる状態は継続しているとのこと(流通筋)。

【その他】
・キュプロニッケル(9/1)「→」:630~700円/kg。前月から横ばい
・キュプロニッケル(7/3)「→」:730~770円/kg。前月から横ばい
・コバール「→」:305~365円/kg。前月から横ばい
・カーペンター「⤵」:305~365円。前月から5円下げ
・ステライト(Co50%他)「→」:450円前後。前月から横ばい
コバールのみマイナスとなった。要因はニッケル相場の下落によるもの。当然、キュプロニッケルにもニッケルは含まれるが同アイテムは銅との合金であるため、銅相場の上昇で相殺され、前月から横ばいとして落ち着いている
(IRuniverse K.Kuribara)